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外伝:バルボーレじじいとの激闘二週間

PART1 バルボーレ・ビギンズ

    スクーターを処分することとなった。別にまだ乗れるし不調もないのだが、TWがやってくるので場所を空けなければならない。俺は都会のもやしっ子なので駐輪場を探すのも大変なのだ。

マラグーティ・ファントムマックス250

    こちらが当時、俺が乗り回していたスクーター。250の割りに小柄で軽く、なおかつ出足が良いので街中ではとても良かった。メンテナンスもちゃんとしたピアジオの取扱店で定期的にやって貰っていたし、不具合は全部潰してあるので良い車体だ。古びてはいるが。

    とは言え場所がないのもあり、まあ飽きたのもあったし、処分することにした。何の不具合も不満もなかったから、ちょっと惜しかったが仕方ない。

    めんどくさいからバイク王に買い取ってもらおうとしたのだが、査定ゼロ円どころか処分費用寄こせみたいに言うので、別に急がないしと思って、ダメ元でヤフオクに流してみた。
    適当に10万くらいにした。他のポンコツもそんな価格帯だったので、ちゃんと整備してる俺のやつが強いくらいに思っていた。

1/17に見に行ってその場で決めてきたから
翌日からヤフオクに流している

    とは言えそうそう都合良く売りさばけるという筈もなく、まあまあウォッチリスト入りはするのだが入札はない。一応、他に駐輪場空いてないか調べてみたら、空いているところがあったので、いつまでも寿司牛さんとこに置いておく訳にもいかんと思い、そっちを契約して引き取るだけ引き取っておくことにした。

なかなかよろしいものが来た

    このタイミングでヤフオクに動きが発生し、落札される雰囲気も出ていたので丸く収まりそうだと思ったのだが、全然違う話になる。

やべーのが来た。来なくていい。
入札もせず突然の値下げ交渉

    値下げ交渉自体はあってもいいと思うが(ヤフオクにそんな機能ないけど)よそで買いますってなんだよ。じゃあよそで買えよ。こちとら商売じゃねえんだ。

入札しないので出品も終わる
(当たり前)

    落札されなければ当然、再出品なのだが、その時に希望落札価格を上げたり下げたり即決価格を決めてみたり色々やる。
     再出品ごとに落札価格を上げようと下げようとそれは俺の自由だ。何せ入札されてないんだからね!

疲れている
質問欄で住所を訊いてくるバカ

    当たり前だが「質問欄」に書いたら、みんなに見えてしまいトラブルのもとになる。なるので、現車確認とかの場合、メールとかでやりとりすることになる。普通の話。何でインターネットに俺の駐輪場の住所書き込まなきゃいかんのですか。
    ということでメールでやりとりすることとなった。というか納得して貰った。

まだ俺は人間を信じていた。まだ。
なのになんか急に怒りだしたんだ

    元々、値段が再出品のたびに上下してたんだが、上でも書いた通り、極端に値下げしたときに食いついてきたバカがめんどくせえ質問しかしてこなかったので、消えて欲しくて上げた。50000円から95000円に。帰ってくれたのかと思ったら違ってて、「50000円に戻せ」という恫喝だった。

    知らねえよ。50000円の時に入札しろよ。
    入札しなかった奴にそんなこという権利はないというか、お前に来て欲しくないから即決価格上げたんだよ。

俺にしか見えないのに暴れていた
悲しきモンスターが来てしまった
ヤフオクの基本
「気に入らないのなら入札しなければ良い」
ヤフオクというか人生の基本だが
人生の基本そのいち
ポリ公マンに頼る
ドンケツ18巻のゲンコの気持ち
個人的にはトラブルなどない生きてる実感が欲しいが
その後も絶え間なくメールで恫喝されたが
俺は既にポリ公マンを頼っている
判断が遅い
もはや言っていることが分からない
何故俺が逃げなければならない
分からない
ポリ公マン的には
これはギリ恫喝ではないらしい

    仲間たちを連れてお前の近所を散歩するぞ! って恐ろしい恫喝を受けていたが、まだ大丈夫らしいぞ。というか実害がないと厳しいらしい。確かに仲間たちと俺んちの近所を散歩する自由は誰にだってあるから仕方ない。

メールに本名書いてある

    これも謎なのだが、最初のメールの差出人は普通に本名っぽかったのに、いざ訳分からん恫喝じみた面白メールになった途端、差出人がハンドルネームに変わった。PDFに打ち出すと、途中からほんとに変わるので見た目が面白かった。

    ○本○郎みたいな差出人が「バルボーレ ジュリエッタ」に変更され、ポリ公マンが何度も本名とバルボーレを発音するの面白くて仕方なかった。

    これがバルボーレ出現までの経緯である。

PART2 バルボーレ・ジュリエッタ

    バルボーレからのメールはポリ公マンが間に入っているとも知らずまだ続く。ポリ公マンに言っちゃったよと伝えても良かったが、そっとしておいた。
    この時点でもうスクーターの処分は忘れている。
    俺はバルボーレが何を言い出すのかを楽しみにしていた。そういうの悪いクセだが。

一応、欲しいは欲しいのは伝わってくる
本当は幾らでもいいのだが、乗りたいのなら
なんでおかしな真似をする
知り合いで欲しいって人いたら
ほんとにあげても良かった
単に幾らかになるかなと思っただけ
俺の優しさが垣間見える
最後に泣くのはお前
バルボーレの名言中トップクラス

    この「最後に泣くのはお前」はのちのちまで尾を引くこととなる。凶兆的な意味で。

じじいの可能性を察知
これは更に再出品したのだが、性懲りも無く
詐欺です詐欺ですとコメントされ続けた
誰にも聞こえない警鐘を、一人で……
俺はポリ公マン大好きなんだ
俺も挑発しまくるのは気が引ける
ただこの時は勝手に向こうから超えそうだった
バカ

    本当に不思議だったのが、喧嘩モードに入ってから突然のバルボーレなので、意味が分からなかった。逆ならちょっと怖かった。実名で怒り始めたってことだから、やる気だなってなるから。この時点ではただのバカにしか見えん。実際、充分にバカなのだが。

呼ばれたくないし俺は牧場主ではない
落札は全くされそうになく、
ただただ一晩中、バルボーレのメールの相手
何してんの俺
ほんとだよ
お前だけだよこんなの
ただでもいいがお前にはやらない
そういう気持ちになっているし要求も呑まない
ステイツはテロには屈しない
ほんとそっち買え

    ちなみにだが、六万円のランナー200は見るからにポンコツの不動車寸前の代物であり、そんなものと天秤にかけないでほしい。こっちは普通に乗り回しているんだ。わかるだろそれぐらい。分かんないんだと思うが。

    余談だが、俺は「通報する」という脅しを最も軽蔑している。それと通報しました、とか言ってどっかのメールフォームから送る奴も認めていない。警察署に自ら足を運んで初めて通報と言えよう。

酷いことを言うな
そうとしか思えないが
絡み方で分かる、この手のは
本当に最悪。
待ち合わせ場所とか時間とか決めさせるの
相手を拘束してるようなものなので。
店で買えとしか言いようがない
必要無いというか仲がいいならそいつから買え

    このようにして無意味に時は流れた。今更どうでもいいと思っていたふしもある。というか、こいつはもう俺のファントムマックスは落札しないだろうと思っていた。そのぐらいメールでバチバチ言っていたし返信も来なくなった。
    だが時は動き出す。

また入札もせず現車確認
まあそれ自体はいいのだが
心に余裕のある生き物、それが人間
なんでだよ

    その後、何回やりとりしても存在しないメールだしあっちからこっちに送れと言っても頑なに「送れません!」と繰り返す。なんでだよ。フィルタで弾いてんのかなとおもったけどお互いヤフーメールだし。なんなんだよ。

緊張感が漲ってくる
是非、お会いしたい。
そういう気持ちになってきた。
なんらかの工作員説
実際はこんなにめんどくさいならバイク王で良い
(変なのだけヤフオク)
メールの不具合ではなく
「メールの使い方が分からない」奴の動きをしていた
こんなめちゃくちゃな言い訳あるか
ヤフオク使ってんだろお前は
完全に老人の挙動
まあ、嘘だったんですけどね
お客様気分のやつ
実際には客ですらないが
いやがらせを交渉と思い込んでいるタイプ
現車確認に来るらしい

    メールが使えません分かりません、ここ(ヤフオクの質問欄)でやりとりすればいいと思います! ってうるせーから(何でだよ)こっちもやる気になって、直近のコンビニの住所を書いてやった。
    お前は来るだけだからいいかも知れんが、こっちは一方的に住所書くというリスクを冒している。普通だったらやらんがお前だけは別だ。

一応まだ別人
言うほど俺の個人情報には価値はない
結局、時間指定しなかった。ざっくりとしか。
相手を拘束してる自覚がない。

    こうして遂に現車確認と相成った。
    果たして何がどうかるのか、俺の近所を仲間たちと散歩するのか、それとも俺をやっつけるのだろうか。答えは翌日出ることとなる。

PART3 バルボーレ・ライジング【完】

バルボーレ怪文書その1
バルボーレ怪文書その2
俺の挑発文

    ここまでやってもまだ上記のような怪文書が届き、それとは別で入札があった。そいつは頑なにメールでのやりとりを拒否し、公開質問欄に現車確認場所を書き込ませようとしていた。
    別に何処か適当な場所でもいいのだが(大体そうする)もう廃車にしているので動かすのがめんどくさいから近くのコンビニを指定した。押していける距離。

度重なる虚しい警鐘
(俺が返事しないと見えない)
突然現れた謎のあほ
取引経歴二件

    @のうしろを書かないテクを使うくせにメールが使えない。この番号はと言われても困るんだ。お前の@の前の文字列もなんなんだ? というかお前バルボーレだろ。何を企んでいるんだ。

ここは質問欄だ

    「ここでメールするばいいと思います」と言われてもここでやることは質疑応答であってメールではないしここはチャット欄ではない。スマホでメールやったことないとか、さらっと凄いことを言うな。そんなやつそうそういないぞ。

ここでニュースが発生
お分かりだろうか
アイコンに注目していただきたい
何故お前が来る

    マジで意味が分からなかった。アカウントの切り替えを間違ったんだろうけど、そんなくだらない間違え方するわきゃねーと思って「正体は私だ!」ってびっくりさせたかったのかと思った。
    そうでなかったらこいつが「仲間」ということになる。二人がかりで俺を襲うつもりだろうか。

興奮する俺
時間の指示は相変わらず適当。
千葉から行くから分からない、じゃねえよ。
それはお前の都合だろ。
大体お昼だしゆっくり来るらしいからな
事故のないように
何回考えても分からない
何故あんなことをする
薄い可能性であって欲しい
理由は同レベルのバカが二人来ることになるから
バルボーレが俺にいやがらせしたかったら
一番いいのはここですっぽかすこと
俺を疲れさせるだけだが
許すらしい
許されなくなった
二重人格者かよ
交番も近くにあるよ
このぐらい言ってもいいだろうと思ってした返信
たまにはちゃんと言わないと俺もストレスフル
そして現場へと向かい始める

    現場到着。
    時間の30分前に待つ。このような時は相手より先に到着するのが鉄則である。精神的に優位になる。なんなら一時間先でも良い。覚えておこう。
    肉まん食ってたらすぐ来た。


なんで!?
あまりにもおじいちゃんだったので別人だと思った
なんか別に普通のじいさんだった
あの狂ったメールを出してきた奴とは思えん
弱々しかったし
この時は別にバルボーレがいることにしていた
あまりにもおじいちゃんすぎたので
そう思うよね
俺は考えてしまうが
信実は常にシンプル
これはのちのちもそう
消してないからね
確かにそんなやつにメールも出来ん
そんなやつバイクにも乗らない方がいいが
警戒はするが対策はしない
めんどくさいから
世の中の悪を想像してみる
空白の一日みたいなの気にしている

    既に書類は渡してあるものの名義変更してなかったら、それはまだ俺のバイクという気がする。かといって盗難なら立派に事件なのだが、こっちがめんどくせえ。そしていやがらせならやりかねない。質問欄に場所を書いたから他の奴にも見られる。そういうとこが困るんだよね、こっちは。

もっと変なことおきるよ

    俺から「人を信じよう」という言葉が出るとそれを合図に不気味な出来事が発生するという気がしてきた。だが人を信じて何が悪い(頭が悪い)。

「律」神の手が存在する
バルボーレか否か断言できない

    おじいちゃんの挙動はバルボーレとは思えないが、バルボーレでないと矛盾が多い。偶然にしてはおかしい。だがあのおじいちゃんが仲間と俺の近所を散歩するとか言うだろうか。
    人を信じたい俺の気持ちは、他ならぬツイッターが粉砕することとなる。

そもそもメールの名前本名だったのが無防備

    俺がなんとなく検索してみたら出てきたアカウントを、まさかなと思って遡ってみたら、さっき見たのと同じバイクが映っていて千葉だしヤマハだしじじいだし最早完璧だった。完璧過ぎて逆に意味が分からなくなった。こんな人いるんだ。この状態であんな脅しかけられる人が。

「仲間に諭された」かなり可能性が高い
友達は大事
解決

    まあまあすっとしたが、あとはこれから取りに行きますの連絡があるまでちゃんと駐輪場にあるかどうかを確認しておいた。何もないと思うが。

何故、連絡をしない

    この後、本当に何も連絡が無いので、こっちとしては持っていったのか盗まれたのかすらはっきりしなかったが、残念ながら俺はお前のツイッターアカウントを知っている。

3/5はまだこっちにあるんだ
怖いからやめろ
何もかも怖い
さすがにそれはない
理由はあいつただのバカだから
携帯番号を知られたくなかったのかもしれない
変なところ警戒すんな
警戒してえのはこっちなんだよ
おじいちゃんだからね
(ツイッターに釣り歴50年とが書いてある)
そんな話してないのにしてきた
やはりじじいは脳が……
ちなみにこのあと、ここにしばらくフォルツァが入ります
数奇な運命
確認終了
最後まで身勝手だったが90000円くれたので許す

    携帯の方は「バルボーレじじい」固定の方は「バルボーレひみつきち」という名前でまだ登録してある。こういうのは記念品として保管する。

    以上が俺とバルボーレじじいのサイコホラーな二週間となる。TWを巡る物語の前日譚、というか俺の手元に来たときから既に何かが始まっていたという、嵐の暗示。
    こうしてバルボーレじじいは倒れたが、その向こうからはいずれ嵐が来るとリンダハミルトンが言っている。正確には、ガソリンスタンドの犬が吠えているのだが。

    この物語は事実である。
    あなたにとっても事実であったなら、嬉しい。

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