俺のバイク:ロベルタ編(3)
俺には何が何だかよく、分からなくなってきた。
人以外の何かと必死で会話しているのではないかという、そんな気がしてきた。人以外の何かがバイク屋さんなど経営していていいのだろうか。そういうのを取り締まる法律とかなくて大丈夫だろうか。
俺は生きていてこんなことに関わり合いを持つとは思わなかった。
まあこの話は全て、そうなのだが。
それでも相手が人ではないという可能性は考慮していなかった。
人未満というか。
簡単な言葉で言うとバカなのですが、程度ってもんがあるだろう。規格外のバカだとは本当に思っていなかった。どうしてバイク屋さんなど経営していられるのだろう。バカでも出来るのかな、バイク屋さんって。
薄々感じていたことだが「俺が舐められていた」というのではなく、世の中全部を舐めていたということがくっきりと分かったのであった。
「全部が全部あいつのウソ」とは今でも思っていない。色んなトラブルなどがあって先延ばしになりますとかそういうことは実際にある。乗り物なのでちゃんとして欲しいし、譲るところは譲る。だがそれが一年近く続いてしまったため、あの男の元からあったバグが取り返しの付かないことになったのであろう。
まあそんなこと忖度する義理はないのだが。
「同じバイク好きですからね」という気持ちにも限度はある。
バイクとか車とか保管場所が必要だし契約も必要だし明日からどうぞって話にもならないので、出来ます出来ましたなんて簡単に言われるくらいなら出来てませんって言われた方がいい。俺も余計な準備しなくて済む。タダじゃねえんだぞ。
一つもいいところがないな。「言い訳が面白い」くらいしかいいところがない。二年間ずっとこんなことを繰り返していたと思うと凄いな。向こうは一週間前のことくらいしか覚えてないと思うが。
余談だが、ロベルタは当初「四月中には終わりますね」と言っていたが、俺はそんな事はあり得ないのではという一抹の不安があった。その通りになった。俺は法に詳しくないがあのおっさんの動きには詳しい。
ひろゆきが有名なだけで「ああいう金は払わなくて無視していていい」という謎の文化はある。謎の文化というとか「金がないのにどこから持っていく気だよ」ぐらいの開き直りというか。裁判とか弁護士とかがあまり身近にないというのもイメージに拍車をかけている。あと実際、最近まで金がないと言われればどうしようもないとかなってた。ひろゆき無双すぎて法改正された。
正直、その手前までもいかなかったと思うが、なんとなく最初の一週間で俺はこうなる予感がした。めんどくさいし金もかかるし時間もかかるのだが、法廷に引き出すより他なくなったのは向こうのせい。
俺が言いたいのは、ここまでやろうと先延ばしにしようと大して結果なんか変わらないだろって話ですよ。反論あるんならちゃんとやれ。時間がないんなら弁護士に任せろ。話を進めろ。進める努力をしろ。何故、放置する。放置しても何も変わらないし、なくなったりもしないの!
大体、何がどうなるにしろ、バイク邪魔だろ、それだけでもさっさと返して話を先延ばしにするっていうんなら分かるよ俺も。何かの係争材料にしようとかそういう訳でもなさそうだし。
なにせ連絡がないから何も進行してない。
ロベルタもキレかけている。
「調停」だと感覚としては、「話し合いの場所が裁判所、立ち合ってくれるのが裁判官」みたいなもんっぽいのだが、「告訴」となると法廷が展開される。例の半円形のしきりみたいなのがあるところに立つことに。
俺も立たせたくはなかったが。
ここまで話が進まないのでは仕方ない。
こうして遂に来るところまで来てしまった。
果たして全ての不義に鉄槌は降るのか。鉄槌すら通じないほどのフニャフニャぶりを発揮するかも分からない。
ではロベルタ編(4)に続く