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【後編】「ゴッサム賞」ノミネーション発表/賞レース展望(23-24シーズン)

 後編は今年度ノミネーションから見る今後の賞レースについて考察してみます。


23-24シーズンノミネーションの(個人的)ビックリポイント

作品賞

 以下3作品が自分のリストに入っていませんでした。

作品名|監督|RottenTomatoes
『パッセージ』|アイラ・サックス|94/73
『リアリティ』|ティナ・サッター|93/66
『ショーイング・アップ』|ケリー・ライヒャルト|88/46

ゴッサム賞作品賞にノミネートされたノーマーク作品

 『ショーイング・アップ』は、お気に入りのミッシェル・ウィリアムズ主演なのに!
 'Past Lives'はともかく、'A Thousand and One'も想定外でした。

主演俳優賞

 以下4名がリストになかった主演俳優のみなさんです。

フランツ・ロゴフスキ『パッセージ』
Babetida Sadjo 'Our Father, the Devil'
テヤナ・テイラー 'A Thousand and One'
ミシェル・ウィリアムス『ショーイング・アップ』

ゴッサム賞にノミネートされたノーマーク主演俳優

 アーンジャニュー・エリスは、『ドリーム・プラン』でオスカー候補経験済み。作品はエイヴァ・デュヴァーネイ監督(『グローリー/明日への行進』の監督で、同作でアカデミー賞作品賞の候補者にもなった)によるもの。
 個人的には『メンタリスト』の理解ある上司マデリーンの印象強し。

 リリー・グラッドストーンが、'The Unknown Country'で候補入りしたのにもちょっとビックリしたのですが、昨年コリン・ファレルが『アフター・ヤン』でノミネートされたケースに近い感じがします。
 つまり、リリー・グラッドストーンのオスカー候補入りはほぼ確実。

 グレタ・リー、アンドリュー・スコット、ケイリー・スピーニーも現在のところ候補入りの可能性は高そうです。

 一方、ジェフリー・ライトは、'American Fiction'が他部門でノミネートされなかったことが心配ポイント。

助演俳優賞

 助演俳優は、5名がリストになかったです。

ジュリエット・ビノシュ『ポトフ 美食家と料理人』
ジェイミー・フォックス『ゼイ・クローン・タイローン 俺たちクローン』
グレン・ハワートン 'BlackBerry'
レイチェル・マクアダムス 'Are You There God? It's Me, Margaret.'
チャールズ・メルトン 'May December'

ゴッサム賞作にノミネートされたノーマーク助演俳優

 ジュリエット・ビノシュはいざというときに賞に強いイメージがあるので、『ポトフ 美食家と料理人』が北米で評価されれば可能性ありそう。(ボディダブル疑惑を自分は持っていますが…。)

 ジェイミー・フォックスとレイチェル・マクアダムスはふたりとも好きな俳優なので嬉しい。

 ペネロペ・クルス、クレア・フォイ、ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフの5名は候補を確実にしたと言ってよいと思います。
 全然インディペンデントじゃない『バービー』で候補入りしたライアン・ゴズリングにはビックリですが、これで受賞まで言ったら嬉しいけど、なんか複雑な気分。

脚本賞

 『ヨーロッパ新世紀』は「知らんよ!なにそれ!?」と思ったら、『4ヶ月、3週と2日』の監督クリスティアン・ムンジウによるもので、2022年のカンヌのコンペ部門に出品されています。(つまり昨年)

 'Anatomy of a Fall'と'The Zone of Interest'は、評判とおりのノミネートで、ちょっと意外だったのは『異人たち』と'May December'。

 というのも『哀れなるものたち』と'The Holdovers'を蹴落としての候補入だからです。
 『異人たち』は今年のベスト1の可能性ありなので、とっても嬉しいのですが。

国際映画賞

 'Totem'は賞を獲りまくっているそうなので、ノミネーションを得たのは意外ではないのですが、個人的にはハマらなかったので意外と言えば意外です。

 ゴッサム賞の国際映画賞は、レギュレーション上、言語が英語でも候補入りするので、そんな中ノミネートしたということは、アカデミー賞でも候補入りの可能性は高いと言えるかもしれません。

ゴッサム賞ノミネーションを受けた賞レース展望

作品賞

 過去3年分しか数字を算出しなかったので、それより前はどうなのよと思われるかもしれませんが、ゴッサム賞にノミネートされた作品がそのまま候補入り可能性は決して高くありません。

過去3年間のゴッサム賞作品賞の候補/受賞状況

 もちろんアカデミー賞>ゴッサム賞では全然ないのですが、やはりインディペンデント映画を対象とした賞なので、そこは難しいところです。
 たが逆に言えば、インディペンデント映画で公開が早いものについては、ゴッサム賞にノミネートされなかった場合、オスカーの可能性はかなり低くなります。

 個人的にはゴッサム賞でノミネーションを受けた作品のうち、可能性がありそうなのは'Past Lives'くらいかなという感じです。

俳優部門

 では俳優部門はどうかというと、作品賞と同じでゴッサム賞を受賞しても候補入りすらしていない俳優も少なくありません。

過去3年間のゴッサム賞俳優部門の候補/受賞状況

 ただ前述の内容から見て、以下の皆さんは候補入り確実とみています。

▼主演女優賞
リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
グレタ・リー 'Past Lives'
ケイリー・スピーニー 'Pricilla'
▼主演男優賞
アンドリュー・スコット『異人たち』
▼助演女優賞
ペネロペ・クルス 'Ferrari'
クレア・フォイ『異人たち』
ザンドラ・ヒュラー 'The Zone of Interests'
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ 'The Holdovers'
▼助演男優賞
ライアン・ゴズリング『バービー』

ゴッサム賞ノミネーションからみたオスカー候補(俳優部門)

 あっ助演女優賞の枠が4つも埋まってしもた…。

脚本賞/国際映画賞

 脚本賞と国際映画賞は、アカデミー賞と大分レギュレーションが異なるのであまり参考にならず。

 ただ'Anatomy of a Fall'がアカデミー賞のエントリーから漏れたことで、'The Zone of Interest'が国際長編映画賞を受賞するだろうというのが大方の予想ですが、またそれが高まった感じがします。

 'Anatomy of a Fall'がエントリーされなかったのがほんと残念。

こんな感じでオスカーウォッチングすると、アカデミー賞が100倍楽しくなる

 ゴッサム賞のノミネートだけでこれだけ楽しめるのが、オスカーウォッチングがやめられない理由です。

 どの作品、俳優がオスカーを手にするのでしょうか。振り返りがいまから楽しみです。

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