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バリー・コーガンの魅力を余すことなく利用した映画『Saltburn』

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』で鮮烈な監督デビューを飾ったエメラルド・フェネル監督。

 批評家の評価とおりに第93回アカデミー賞(2020−21シーズン)では作品賞・監督賞・主演女優賞・脚本賞・編集賞の5部門にノミネートされ、見事脚本賞を受賞しました。

 アカデミー賞では主要6部門とされる作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞に目が向きがちですが、賞を参考にして面白い作品を見つけたい場合、断然注目すべきは脚本賞・脚色賞です。

 脚本賞・脚色賞にノミネートされる作品というのは、文字通り本が面白いのです。
 そんな面白い本の中で、エメラルド・フェネル監督が初ノミネートで脚本賞を受賞したというのはすごいことなのです。

 脚本賞というのは映画オリジナルで、原作となる作品(小説や漫画など)がないということです。
 初監督作品でストーリーまで考えて、脚本を書いて、アカデミー賞まで受賞!?とんでもねぇ!ということで、次回作をめちゃめちゃ期待しておりました。

主役として選んだのがバリー・コーガンというのがまたすごい

 そもそも前作『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、キャリー・マリガンこそAリストスターではありますが、その他のキャストは地味め。
 次に有名なのってチョイ役のアダム・ブロディかも…という感じ。

 キャリー・マリガンも『プライドと偏見』で鮮烈なデビューを飾り、『17歳の肖像』でアカデミー賞受賞目前まで行ったものの、その後話題作に出演するにも関わらずいまいち評価が伸びきらなかったので、このまま地味なキャリアになってしまうのかしら…と思っていました。

 自分は『SHAME -シェイム-』とかも好きだったので、『プロミシング・ヤング・ウーマン』に主演し、超ド級の演技を観たときはすごく嬉しかったし、「エメラルド・フェネル、わかってんじゃん」と推し監督入りしたわけです。

 そんな次回作の主演がバリー・コーガン、共演にロザムンド・パイクとわかったときは、「やっぱりわかってるぅううう」と興奮しました。

 ところがです。今年(2023-24シーズン)の賞レースで旋風を巻き起こすかと思いきや、批評家も観客の評価も悪くないけど良くもない感じで、可能性がありそうなのはロザムンド・パイクの助演女優賞くらい。

 さらに日本では配信スルー(劇場公開がないこと)となり、「駄目だったか…」と残念な気持ちになっていたのでありました。

期待してなかったからかもだけれど

 そんなこんなで観た『Saltburn』、全然良くないのかと思いきや悪くなかったし、バリー・コーガンを120%堪能できる作品に仕上がっておりました。

 逆にバリー・コーガンが苦手なひとは辛いかもしれないです。ロザムンド・パイクもいいけど、彼女を楽しむほどは出演時間が長くないし…。

 あとはジェイコブ・エロルディがかわいいので、イケメン好きは良いかもしれません。

 『Saltburn』が合わなくても『プロミシング・ヤング・ウーマン』は超絶傑作だから絶対観て欲しい!いまはNetflixで観れます。

https://www.netflix.com/title/81035544

本日の一曲

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』で使用されたこの『夜明けの天使』は実はカバー曲。
 これはカントリーのままリリースされましたけど、「エンダァアアアア」の『オールウェイズ・ラヴ・ユー』もカントリーのカバー。

 カバーしたホイットニー・ヒューストンは亡くなっちゃったけど、ソングライターのドリー・パートンはいまも現役。(77歳)
 サイボーグみたいでもう本人かどうかよくわかんねえけど。

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