苦しい毎日でも希望はあるのだと説く『ミッシング』
はじめて観た𠮷田恵輔監督の作品は、たぶん『さんかく』だったと思います。
タイトルとおり「三角関係」を描いた作品なのですが、その三角関係は何千ものドラマになってそうな三角関係(姉妹と男)であるのに、今までにない映画だったので衝撃を受けたのを覚えています。
田畑智子さんは既に演技派としての地位を獲得していたので、キャリアに恥じない素晴らしい演技だったのですが、サプライズは高岡蒼佑さんと小野恵令奈さん(当時AKB48)。
特にえれぴょんはめちゃくちゃ良くて、今後の活躍に期待していたのですが、引退してしまってとても残念。(高岡さんも…)
以来吉田恵輔監督にはずっと注目していましたが、ここに来て主演に迎えたのが石原さとみさんだったのはとても意外でした。
実際『ミッシング』のインタビューでも「華がありすぎる」と監督も言っていて、正直これまでの監督作品から考えると、どメジャーすぎるんですよね…。
ただ『さんかく』の高岡さんと小野さんしかり、「え!こんな演技するの!」と感じさせてくれる吉田監督の演出を考えると、すごいものが観れるのではないかという期待のほうが自分は大きかったので、楽しみにしていました。
マスコミやSNSの暴走が描かれてはいるけれど
『ミッシング』で最もクローズアップされるのは、マスコミとSNSの暴走です。ただこのテーマ、一部のレビュワーが指摘していたとおり、ありふれた題材といえばそう。
例えば『search/サーチ』。これは2018年。
邦画だと『白ゆき姫殺人事件』。
『search/サーチ』より全然前で2014年なので、もう10年経ってる。
ただ現実に少女の失踪事件が起きたら、似たようなことはあるだろうし、故に描かざるを得なかったというのが実際のところで、この映画が伝えたいのは別の部分にあると思います。
行方不明者は年間8万人もいる
警察庁の発表によると、ここ10年の行方不明者は8万人前後で推移しています。
そしてこのうち1,000人前後が9歳以下となっています。
行方不明者が見つかる確率は8割と言われており、実際年間約8万人が見つかっています。(但し、これは"すべての行方不明者"のうち"8万人なので、その年の行方不明者ではありません)
ですが、仮に8割が見つかったとしても、約200人もの子どもたちが行方不明なわけです。
もし自分の子どもが突然いなくなったら、8割は見つかるかもしれないけど、2割も見つからないという現実がある。
親だったら、家族だったら見つかるまで探し続けるでしょう。この地獄のような苦しみの中で生きていかなければならない。
自分がこの映画で感じた絶望感というのは、ここにあります。
苦しい現実からの「希望」
現実世界で苦しい毎日を送るのは、行方不明者の家族だけではないはずです。
この作品で描かれるのは行方不明者の家族ですが、今回監督が選んだ題材が女児の失踪だったというだけで、この作品はいまも苦しい毎日を送るひとたちに向けた作品なのだと思います。
その先の未来はわかりません。
ただどんなに苦しい日々でも、そこには何かしらの希望があるのだとひとつの答えを示したのが『ミッシング』という作品だと思います。
本日のドレス:ヴァネッサ・ハジェンズ
今年の妊婦枠を担当したのはヴァネッサ・ハジェンズ。
『ハイスクール・ミュージカル』シリーズ以外は、誰かの彼女という印象が強かった彼女も母に。
ただ(妊婦の)ボディラインが強調されるドレスは、ディバインを想像させる…。(★☆☆)
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