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【後編】第96回アカデミー賞のスルーとサプライズ

 昨日に引き続いての第96回アカデミー賞のスルーとサプライズ、主要6部門編です。


スルー/Snub

カラーパープル(作品賞)

 オスカーを狙って年末公開した本作は、スピルバーグ版は作品賞にノミネート。
 ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルではありますが、再映画化はやはり難しいことがよくわかります。

グレタ・ガーウィグ『バービー』(監督賞)

 元々監督賞は複数の女性監督のノミネートが期待されてました。
 それが『バービー』と『パスト ライブス/再会』です。

 ところが入ったのはジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』でした。

セリーヌ・ソン『パスト ライブス/再会』(監督賞)

 彼女はノミネート当落戦上にいましたが、グレタ監督すら漏れたことで、5番手にすらつけてなかったことがわかりました。

 逆にインディペンデントスピリット賞は手にしたと言って良いでしょう。

 でも作品賞にノミネートされただけですごいかも。なんせ公開が6月ですよ。ここまでバズを保ったということは素晴らしい作品である証拠。

アレクサンダー・ペイン 'The Holdovers'(監督賞)

 作品賞にノミネートされ、受賞の可能性もある作品の監督が候補漏れ。

アンドリュー・スコット『異人たち』(主演男優賞)

 前哨戦のノミネート数でいえばトップ5に入っていました。
 『異人たち』がまったくノミネートされたのは残念でしかありません。

マーゴット・ロビー『バービー』(主演女優賞)

 グレタ・リーが外れるだろうという予想は当たりましたが、アネット・ベニングが候補入り。当落線上にいるときのベテランは強い!
 前哨戦はアンドリュー・スコットと同じくトップ5に入り、キャリー・マリガンを上回っていました。

 マーゴット・ロビーが評価されていないというより、「コメディに冷たいの法則」が変わっていないということかもしれません。

ウィレム・デフォー『哀れなるものたち』(助演男優賞)

 SAGに入ったので入らなかったマーク・ラファロが外れるかと思いきや、結局入ったのはマーク・ラファロ。
(マーク・ラファロは実は3回も候補入りしているので、会員お気に入りと思って良さそう。)

チャールズ・メルトン『May December』(助演男優賞)

 前哨戦のノミネート数、受賞数ともにトップ3に入っていました。

 May Decemberはほんとに人気がなかった!結局俳優は誰も候補入りできなかったこともあり、逆に気になってきました。

レイチェル・マクアダムス『神さま聞いてる? これが私の生きる道?!』(助演女優賞)

 賞レースがはじまったときには完全にノーマークでしたが、蓋を開けてみればトップ3に入るノミネート数に。

 好きな俳優なので期待していましたが、さすがに作品規模が小さすぎたようです。(日本も配信スルー)

サプライズ

ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』(監督賞)

 サプライズにはなりましたが、一昨年のパルドールである『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンドも作品賞と監督賞にノミネート。

 「カンヌとアカデミー賞は相性が悪い」の定説は完全に崩れたと言っていいでしょう。

アメリカ・フェレーラ『バービー』(助演女優賞)

 俳優部門で一番の驚きは彼女が候補に入ったことです。

 来週末公開の『ダム・マネー ウォール街を狙え!』を試写にて拝見させていただいたのですが、彼女がダントツに良かったです。
 『ダム・マネー〜』票もかなり入り、合わせ技と見ました。

本日の一曲

 『ONCE ダブリンの街角で』で旋風を巻き起こしたジョン・カーニー監督。

 どの作品も好きなので、トロント映画祭で観客賞に推してみたりしたのですが、いざ観たら「またこんな感じ?」と大分飽きが来てしまいました。
 音楽映画以外の作品も挑戦してほしいですね。

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