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「あおもり絵合わせカードゲーム『チーキィ』」のクラウドファンディング取り消し騒動について、考えたことを長々書いてみる

数日前のTwitterで「青森ドブル」という単語を見ました。そのワードに関するコメントを追ってみると、タイトルのような騒動があり、Tablegame In The Worldでも記事としてあがっていました。

ペンとサイコロさんのブログでは、今回の騒動の見解や今後のあり方(ボードゲームを制作する環境、など)について語られていました。

今回の騒動を知って、「自分の見解はどうなんだろう…」と色々考えてみました。で、ふと思い出したのです。

最近Kickstarterでこれと似た事例「TAKARO!」(マオリ語ドブル)が成功していたぞ。

2019年7月4日に達成率222%で成功しています。カードの内容も「ドブル」そのものです。特徴として、2枚のカードにある同じ絵を指し示すときにその絵を「マオリ語」で発声しないといけない縛りがあります(教育目的という側面もあり、1個は購入してもう1個をニュージーランドの学校に寄付する、というプレッジも選べました)。
「チーキィ」もそれに倣って「青森県の方言」で発声しないといけないという縛りをいれても面白いかも知れません。

一方のクラウドファンディングは批判を受けての取り下げ。他方は達成成功。双方とも「ドブル」とほぼ同じ構成であるのだが、なんでこんな差が起きたのか。

青森ドブル騒動(と自分勝手に名付けてしまいましたが)の火種と思われる批判された原因として、大きく2点あると思われます。
1つ目。「絵合わせカードゲーム+トランプ」というアイデアで特許を申請出願していること。
2つ目。「ドブル」というプロダクト(製品)をデザイナーや出版社に対し無許可で剽窃した(と思われている)こと。
これらについて、あれこれ考察してみます。

「絵合わせカードゲーム+トランプ」というアイデアで特許を申請出願していること

特許出願の是非についてですが、弁理士さんが問題ないといえば問題ないと思います。ただし、僕自身は出願することに反対します。なぜなら、

このアイデアで特許が取得できる確率はほぼ0%

だと考えてるからです(弁理士さんの「問題ない」は「出願書類を作成すること」を指しているのではないかと)。

結果、クラウドファンディングで集めた資金が無駄に費やされてしまうこと必至。出資者全員に対しても大変な精神的苦痛を伴います。

「絵合わせカードゲーム+トランプ」のアイデアは言い換えると、「印刷紙媒体で表現できる複数の遊具を単体として製造する」です。ところが、もうすでにそれに類似したものは、百均ショップにもあるじゃないですか。

花札トランプ

花札トランプが特許を取得しているかどうかは不明ですが、少なくともこの前例に対しての比較検討はされるでしょう。そうなると特許を取る条件として、これよりも革新的な製造方法(とてつもない「印刷技術」もしくは「カード型抜き技術」など)を示さないと無理(特許取得できる勝算はない)だと思います。

あと、商標登録を出願していることに関しては是非やるべきなので頑張ってください。


「ドブル」というプロダクト(製品)をデザイナーや出版社に対し無許可で剽窃していること

いきなり余談から入ります。「ドブル」のデザイナーって誰でしょうか?気になってみたので調べてみました。Bordgamegeekにアップされている「Spot It!(ドブルの英語版)」の情報から探ってみたところ、Denis Blanchotさんということがわかりました。ところがこのデザイナーさんのデータはほぼ載っていません(おそらく、「ドブル」1点しか製作していない)。余計に気になりますので、何者なのかさらに検索してみました。結果、フランス語で書かれたサイトが見つかりまして……
健康分野のジャーナリストでした(Amazonも検索してみるとタバコの表紙の書籍(喫煙関係の内容でしょう)を執筆していました)。兼業や片手間で作る人がいても不思議ではないのですが、意外な職業でした。……ただ、同姓同名で別人という可能性もあるので100%この人だ、とは言い切りません(言い逃れ保険です、はい)。


話を戻します。青森ドブル騒動において「チーキィ」を「ドブル」の剽窃と捉えて批判されたのが、

ルールが「ドブル」と同じ

という内容の記述があったということです(「チーキィ」のクラウドファンディングを立ち上げたはちつぶさんも「ドブル」を参考にして作成したと明言しています)。


……えーと。
これから書くことは、ペンとサイコロさんのブロクで書かれていることの根底を覆すことになります(なのであえて「ドブル」を「ボードゲーム」ではなく「プロダクト」と呼ばせて頂きました)。非常に申し訳ないですが、こんな考え方もあるのだ、ということで書かせていただきます。読まれた方々においては色々な批判などあるかと思います。存分にしてください。


「ドブル」のルールですが、(特に批判されている)皆さん気づいていますか?「ドブル」というタイトルの付いたゲームのルールがないということを。
「ドブル」を購入すると5つの遊び方のルールが付いてきます。
それらのタイトルは
・The Towering Inferno(タワーリングインフェルノ)
・The Well(井戸)
・Hot Potato (あつあつポテト)
・Catch Them All!(みんな取っちゃえ)
・The Poisoned Gift(毒された贈り物)
です。「ドブル」というタイトルのついたルールのゲームは存在しない、ということです。

屁理屈だ!と思われても仕方ありません。しかし、

「ドブル」は、トランプやドミノなどと同じ遊具(おもちゃ)に分類される

としたらどうか。遊具としての「ドブル」のルールとは一体何を指すのかと考えると、「ドブル」という遊具の使い方になります。すると、ルールが「ドブル」と同じはどういうことかというと、

「ドブル」という遊具と同じ使い方ができます

ということでしょう。なので、ゲームルールの剽窃(パクリ)とは異なります、という見解もできてしまいます。

だからといって、デザイナーや出版社に対して無許可で剽窃してもよい、とか、敬意を払わなくてもよい、というわけではありませんよ。

とりあえずの結び

Boardgamegeekのカテゴリに「Game System」というのがあり(トランプやドミノなどにタグ付けされています)、このカテゴリの説明に「これらは道具でありボードゲームではない」と書かれています。
実際のところ、「ドブル(Spot It!)」はこのカテゴリのタグ付けはされていません。しかし、「Game System」とされているものの特徴を較べつつ検討してみると、「ドブル(Spot It!)」はこのカテゴリに入る要因が相当揃っていて、タグ付けされてもおかしくありませんでした。

Boardgamegeek本体などでも、どんな(どの)ゲーム(プロダクト)を「Game System」として扱うか、明確には定まっていないとことも見受けられます。
今回の反論のもととなった「Game Systemのボードゲームには、それ自身のタイトルのルールのゲームはない」というのは、自分の仮説になります(勿論例外もありますが、大多数が当てはまる事象でした)。

「Game System」についての記事やコメントなど、日本だと、全くとは言わないまでも非常に少ないようです(他のボードゲームと同様の内容でレビューを書けないことも一因にあると思います)。

今回の騒動を思案した中で、「Game System」と少なからず関係した話だったので、書き上げた次第です。「Game System」のさらなる深い話については、近いうちnoteに自分が考えたことなど綴っていこうと思います。

最後に余話「豪華なガイスター」を。
ある同人Aが、「ガイスター」を豪華な気分で遊べるように、ハンドメイドの立派な駒16個を作成して頒布しました。
また別の同人Bが、「ガイスター」を豪華な気分で遊べるように、ハンドメイドの立派な盤面1枚を作成して頒布しました。
2つとも購入したある人Cが、購入した価格とそう変わらない値付けで、まとめて一度にオークションへ出品しました。Cはコメントに書きました。
「ルールは「ガイスター」と同じです」。

……やばい。今回の内容に似ている分、こっちの話のほうが炎上必至だな。


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