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宇宙からの約束

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

【登場人物】
 父・健太(42歳) 
母・里香(39歳) 
娘・陽菜(12歳/白血病を患う)

【場所】
自宅

【シーン1】
(自宅で健太と里香が話をする) 
健太:「陽菜の卒業文集を読んだんだが、夢がユニークだったよ」 
里香:「そうなの?どんな夢なの?」
健太:「宇宙飛行士になりたいって書いてあった」 里香:「わあ、素敵な夢ねえ」
健太:「陽菜はいつも大きな夢を見ているからな」
里香:(うつむきながら)「でも、陽菜は...」
健太:(里香の手を握って)「わかっている。でも陽菜には夢を見せてあげよう」
里香:(うなきながら)「そうね」

【シーン2】 (家庭訪問で先生が自宅にきて)
先生:「陽菜さんが学校で書いた将来の夢の作文を持ってきました」 
健太・里香:「え!?」
先生:(作文を読み上げる) "私は宇宙飛行士になりたいと決めています。"
"でも私には秘密があります"
"私は白血病を患っています。でも諦めたくありません。
夢を叶えるため、小さな体でも一生懸命頑張ります"
健太・里香:(涙を流しながら聞く)
先生:"きっと叶えられると信じています"
健太:(号泣しながら)「陽菜...」

【シーン3】 (白血病末期になり助からないことが確定した自宅療養の陽菜が両親に話しかける) 
陽菜:「お父さん、お母さん」
 健太・里香:「陽菜」
陽菜:「私の夢は、叶えられそうにありません」
 里香:(泣きながら)「そんなこと言っちゃダメ...」
陽菜:「でも、諦めたくない。だから約束して」 
健太:「約束?」
陽菜:「私が天に旅立っても、夢を見守ってください」
健太:「分かった。陽菜の夢必ず叶えるよ。どうにかするよ」
健太・里香:(うなずきながら抱きしめる) 
陽菜:「ありがとう。きっと宇宙から、ずっと二人を見守るから。約束するから」

【シーン4】
(数年後、テレビに人工衛星の様子が映っている)
ナレーター:「陽菜さんの夢を継いだ、日本の新たな宇宙開発プロジェクト
人工衛星『陽菜』がご両親の強い思いにより実現しました
人工衛星『陽菜』は地球からも見ることができるほど強烈な光を放っています」

【シーン5】
(自宅のベランダにて)
健太:「陽菜、これで約束を守ったことにしてくれないか
お父さん陽菜がうれしいならうれしいよ
こんな形でしか約束を守れなくてごめんね」
里香:「陽菜は宇宙から私たちをずっと見守ってくれて
ちゃんと約束を守ってくれてるね」 (天に向かってカメラが旋回し、人工衛星となった陽菜が光っている)

【ラストシーン】 陽菜の遺影の前に、陽菜の書いた作文が添えられている


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