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Solitude -作品を分析していただきました

 文学フリマ東京35でたまたまお隣になった、サークル「猫の潜水艦」のがんべあさん(Twitter:@gunber7)がエニアグラムを用いたキャラクターとストーリー分析をされているとのことで、『Solitude』を読んで分析結果を送ってくれました!

がんべあさんによる分析

 以下、いただいたメッセージそのままを記載します(ご本人に許可をいただきました)。

「Solitude -How He Found a New Way of Life」のキャラクターとストーリー分析です。
表と裏(※)の主人公に対するキャラクター配置が完璧で驚かされました。すごい構成力ですね。
※ エニアグラムの性格には裏表があり、困難に追い詰められて「表の性格」では対処ができなくなった時に「裏の性格」が現れます。

がんべあさんからのTwitter DMより引用
がんべあさんが作成してくれた画像1

○エンリコ【主人公:タイプ5w4(偶像破壊者)】
タイプ5w4(因習を打破する人)は独立心が強く、集めた知識を分析して活用する事が得意(タイプ5)、それに加えて「個性・ロマン・創造性」を求め人とは違う道を進もうとする(タイプ4)性格。
5w6より感情的で内省的で創造的。ひとりで創造的活動に従事する。

○スティーブンス【裏の主人公:タイプ9w1(夢見る人)】
"タイプ9w1(夢見る人)はマイペースなのんびり屋さん(タイプ9)、それに加えて真面目で融通が利かない(タイプ1)性格。"
9w8より内向的。冒険を好まず控えめ。

○ウォルター【ヒロイン:タイプ7(楽天家)】
(明るく人生を楽しみたい楽天家)
楽しいことが好きで、多忙なタイプ
自然体。 多才。 欲しがり。 散漫。

○マルティナ【主人公を導く者:タイプ8(統率者)】
(パワフルで決断力があるリーダータイプ)
パワフルで、 掌握するタイプ
自信がある。 決断力がある。 強情。 対決的。

★お話の基本構成
5w4のお話:「理論の世界(異世界)」にいた主人公に「現実世界」が浸透してくる。
悪い「偶像」を「破壊」した先に真実があると信じ、破壊するために理想を根拠にして論破する。しかし攻撃性が高すぎて安息まで壊す恐れがあり、その回復には裏人格9w1が必要となる。
※エンリコにとっての「理論の世界」は実業家の世界。「現実の世界」は事業とは関係ない純粋な人と人とのふれあいの世界だと分析します。

がんべあさんからのTwitter DMより引用

筆者注:ここでの「ヒロイン」とは、以下の意味で使用されている言葉です

②【ヒロイン(宿敵の場合も有)】
 この本で「ヒロイン」とは俗に言う「お姫様」ではなく「主人公の憧れや宿敵」を示しており、性別や恋愛対象とは関係ありません。ヒロインが思想や自然など人間以外のケースもあります。
ヒロインは主人公の憧れであると同時に最終的に攻略(救い出す)すべき存在。

「誰も教えてくれない成長物語の黄金パターン」制作:がんべあ(p.4)より引用

がんべあさん作成画像2

○主人公(テーゼ)がヒロインを助け出す為には裏の主人公(アンチテーゼ)と闘い成長する事によって新たな道(ジンテーゼ)を見つけ出す必要があります。
エンリコ(主人公)の表の性格(5w4)は理想が高く攻撃性が高いため、ついに自分自身の心を破壊してしまい入院する事になります。入院中エンリコは困難に対応(回復)するために裏の性格(キケ:9w1)となります。
しかし主人公の表(テーゼ)と裏(アンチテーゼ)の性格は相反するのものであり、そのままではこの2つが混じり合って新たな解決策(ジンテーゼ)は出てきません。
相反する表と裏の性格を融合させる為には第3の人物「主人公を導く者(マルティナ)」の存在が必要となります。
そしてマルティナの導きによって裏の性格(キケ:タイプ9)となったエンリコに対応する新たな「ヒロイン」と「主人公を導く者」が物語に登場します。

○ロージー【裏の主人公に対応するヒロイン:タイプ6(忠実な人)】
(考えすぎで心配性のお嬢様・お坊ちゃま)
真剣にかかわる、安全志向のタイプ
人を引きつける。 責任感が強い。 不安。 疑い深い。

○レイラ【裏の主人公を導く者:タイプ3(達成する人)】
(プライドが高く成功を追い求める)
成功志向で、実際的なタイプ
適応力がある。 卓越している。 駆り立てられる。 イメージを重視する。
※レイラ(3w2)はもう一人の主人公であるウォルター(7w8)の「裏の主人公」も兼ねています。

ここまでがメインとなる登場人物。
それ以外にウォルターを主人公とする物語のキャラクターが登場します。

がんべあさんからのTwitter DMより引用
がんべあさん作成画像3

○ヒューバート【ウォルターを主人公とする物語の「ヒロイン」:タイプ1(完璧主義者)】
※ヒューバート(1w2)はロージー(6w5)を主人公とする物語の「裏の主人公」も兼ねています。
1w2(擁護者)は基本的に真面目で理想を求める(タイプ1)完璧主義者、それに加えて理想を示す為の方法として人々を救おうとする(タイプ2)性格
1w9より現実にかかわりをもつことを好む。気性が激しく、行動的。
適応力がある。 卓越している。 駆り立てられる。 イメージを重視する。

○ロビン【ウォルターを主人公とする物語の「主人公を導く者」:タイプ5(観察者)】
(理性的な学者気質)
強烈に思考する、理性的タイプ
知覚が鋭い。 革新的。 秘密主義的。 孤立している。

がんべあさんからのTwitter DMより引用

 がんべあさんからはこの他にもご感想をいただいて、特に印象的だったのは、「タイプ5が主人公の物語は少ない」、「成長した主人公が最後に行う行動が完璧な流れ」というところでした。
 主人公をよくある物語の主人公タイプからは外したかったこと、成長後の変化については、私なりに研究した物語の構成のメソッドを試しに組み込んでみたので、意識的に書いた部分を正確に読み取っていただけて驚きました。
 改めまして、丁寧な分析をありがとうございました!

お知らせ

 がんべあさんが今回分析を行ってくれたエニアグラムの解説は、ご著作『誰も教えてくれない成長物語の黄金パターン』で紹介されています!(通販あり)
 サークル「猫の潜水艦」さんは今後も文学フリマに参加されるそうなので、気になる方はぜひチェックを!

 また、「私の作品のキャラクターも分析して欲しい!」という方は、がんべあさんのTwitterアカウント @gunber7 にDMしてみてください。
エニアグラムを使ったキャラクター分析ブログはこちら↓