絶対に負けられないクイズ
サムライJapanがカタールに渡ったころ、
私は東京都の豊洲にいた。
目的は東京ガスの科学館
「がすてな~に」。
ガスの歴史やエネルギーのことが学べる
入場無料の素敵な施設だ。
無料だけど展示は見事。
大人でも楽しめるし、たくさん学べる。
展示を楽しんでいると館内アナウンスが。
「シアターでクイズ大会が始まりまーす」
娘に急かされシアターへと向かう。
映画館のような席のひじ掛けに、
4つの押しボタンがついていた。
係員さんがクイズの説明を始める。
「5問の問題が出ますので、
正解率と、回答までにかかった時間で
順位を決めていきまーす」
どっかで聞いたことがあるルール。
そうだあれだ。オールスター感謝祭だ。
クイズ好きにはたまらない。
クイズのジャンルは「ガスと料理」
会場には50人ほど集まっていただろうか。
クイズ好きとして、食を職業とする者として、
絶対に負けるわけにはいかない。
脳に流れるW杯のテーマ(あの、あれ)
心の楽天カードマンがささやく。
周りは小学生ばかりだけど本気だしてイーンですか?
イーンです。絶対に負けられないんです。
しかしまぁ、所詮子供に出すレベルでしょ?
早押しに集中すればいけるんじゃない?
そう思っていたら見事に裏切られた。
「次の画像のうち、おいしく焼けた
タマネギの断面はどれでしょう?」
いやレベル高!ガチじゃん。
ガチで東大王がやるレベルじゃん。
隣で我が子が相談してくるのを一切無視し、
VTRと出題者の言葉に集中する。
人生で学んだ全ての食の知識を総動員。
そしてボタンを即押し。
久々に神経を研ぎ澄ました。
難問5問が終了し、いよいよ結果発表。
10位から順に発表されていく。
自分の席次はC-3。
第5位、、まだこない。
第3位、、、、、まだこない。
第2位、、、、、、、C-3!
正答率100%、平均回答時間0.40秒!
その瞬間思ったことは、
上位でよかった!ではなく、
「じゃあ1位のやつどんだけ速いんだよ」
ということ。もっと上がいるの?
「第1位、K-5!
正答率100%、平均回答時間0.10秒!」
画面に映るのは、小学校低学年の女の子。
このときふと、
「世代交代」という言葉が脳裏に浮かんだ。
もう、代表を引っ張るのは俺たちじゃない。
南アフリカ大会で中村俊輔が見せた覚悟。
クイズの世界もまた、若き才能に
その席を譲る日が来ているのだ。
老兵はただ去るのみ。。
「お父さん、2位で凄いね!」
娘の言葉に我に返った。
この結果に胸を張ろう。
胸を張って帰国しよう。
こうして豊洲での熱い戦いは終わった。
この熱い気持ちが少しでもカタールに届けばいい。
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