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LINE Seed JP: 誰でも使える和文フォント


「LINE Seed JP」は、2022年10月にLINEが発表したコーポレートフォントです。コーポレートフォントとは、ブランディングの一環として企業が社内外で統一的に利用することを目的に開発・指定するフォントのことです。例えばメルカリの「Mercari Sans」やGoogleの「Product Sans」などが相当しますが、日本語のフォント(和文フォント)をゼロから設計した例はほとんどありません。その希有な例として挙げられるのがこのLINE Seed JPです。

最大の特徴は字画の角が丸まっているところで、「カドマル」というそうです。ひらがなから英数字、さらには他言語版LINE Seedに至るまで、全てこのカドマルが適用されていて、このフォントのトレードマークとなっています。

公式ページ:https://seed.line.me/index_jp.html

1. 概要

先述の通り、LINE Seed JPはひらがなから漢字のひとつひとつに至るまでベースとなるフォントが存在しない、完全オリジナルのゴシック体です。さらに、誰でも無料でダウンロードして商用利用も含めた使用ができるのも大きな特徴です(SIL Open Font License)。これにより例えば自身のスライド・文書・出版物などで使うことができます。ただし「商用利用の場合は、製品・サービスに帰属を含めることを強く推奨します」とあるので、その点は注意が必要です。

ふところ(画線に囲まれた領域)が広く包容力の大きい印象を受ける一方、シンプルかつジオメトリックな側面も持ち合わせるモダンなフォントです。英語と日本語の佇まいは共通していて普遍性を感じますが、それと同時にひらがなや漢字からは「優しい日本語らしさ」も伝わってきて、不思議な魅力を醸し出しています。まとめると「多様な使い方を許してくれそう」です。

ウエイトはThin, Regular, Bold, ExtraBoldの4つがあり、見出しから本文に至るまで大活躍しそうです。

2. ディテール

ひらがなの曲線はゆったりしていて、かわいらしいです。Fontworksの藤田重信さんは、「大人のひとが微笑んでいるような印象を持った文字」をイメージしてこのフォントの監修にあたられたそうです。

カタカナは、複雑な字画を削ぎ落として特にシンプルな形になっています。例えば「ク」では1画目が突き出さないものが採用されています。

漢字はジオメトリックで洗練された風貌です。またカタカナと同様に複雑な字画が省略されています。例えば、「蕾」ではゲタ(「田」の部分の1, 2画目の出っ張り)がなくなっています。

(LINE Seed EN)

上の画像で示しているのはLINE Seed ENですが、JPの欧文が与える印象も変わりません。JPの従属欧文は、日本語に調和するように字幅や字面などが調整されているので、日本語と英語が混在する場合でも気にすることなくLINE Seed JPを使うことができます。ジオメトリックな字画で構成されていますが、そのなかでも「R」はチャームポイントだと思います。

3. ビジュアル

いくつかの使用例を紹介します。

薄田泣菫『桜の花』より
Florence Du Cane『The flowers and gardens of Japan』より
春の季語

ぜひ使ってみてください!

公式ページ・ダウンロード:https://seed.line.me/index_jp.html

4. 関連リンク

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