zoo-tomoサービス終了について
いつもzoo-tomo(ズッ友!)と全ての動物を応援して頂きありがとうございます。事業責任者の根井です。
非常に悔しい想いではございますが、題名の通り本サービスを終了することになりましたのでご報告させて頂きます。
今回の記事では終了理由や想いなどを書き連ねております。サービス終了に伴う方針や具体的なスケジュールについてはコチラの記事をご参照ください。
始めに
まず最初に皆様へのお礼から伝えたいと思います。
企画段階から2つ返事で検証への協力を申し出て下さった東筑波ユートピア様、「どうせなら動物をちゃんと好きな人と共同したい」と言って下さったアキバフクロウ様、右も左も分からず不安な中参加して下さった那須アルパカ牧場様、ご支援いただいた皆様、応援の気持ちで会員登録だけしてくださった皆様、お話を聞いたり興味をもってくださった展示施設とtwitterの皆様すべてに感謝の念でいっぱいです。
ありがとうございました。
この記事を残す意味
以下の文章では、私が(企画から数えて)2年間、動物展示業界に向き合う中で感じたリアルな課題を共有したいと思います。
課題を無責任に露呈させたいわけではなく、今後動物展示業界を変えたいとチャレンジする人が現れた時のヒントになるような情報を残せれば、と思っています。
業界内に席をおいている訳でもなく税金を扱っている訳でもない、一般の民間企業という側面から感じた課題を個人的な推論含め共有致します。
(余計な忖度は無しに情報を残すことが動物展示業界のために今の私が最大限できることだと思っています。)
改めて明記しておきますが、この記事に動物展示施設やそこで働く皆様を非難する意図は一切なく、今後動物展示を変えようとする方や未来の自分のため、また、応援や興味をもって下さっていた方々への説明資料として現状を分析しているに過ぎませんので、予めご理解の上読み進めて頂けますと幸いです。
サービス終了に至った経緯
まず一番大きな理由は会社にこの事業の可能性を十分に示せなかったことです。これは単純な数字の話で、先日日本にある民間の動物園/水族館/観光牧場の全てに声を掛け終えたのですが、その結果参加してくれた数や興味を示してくれた数が少なかったという話です。(実はzoo-tomo1周年となる11月中旬から参加予定の施設様も複数いらっしゃいました)
しかし上記会社都合だけでドライに撤退が決まった訳ではなく、動物展示を変えたいという想いは一切冷めやらぬ中でサービスを終了するに至っています。
では何故私が(あくまで今現在は)サービスを終了させた方がいいと思ったのか、あるいはzoo-tomoを通じて動物展示2.0を実現することは難しいと判断したのかを簡単にご説明いたします。
先にざっくりとお話すると、大きな理由は3つほどあります。
1. 分かっちゃいたけど忙しすぎる
2. 日本の動物展示は人気業
3. 良い意味でも悪い意味でも困ってない
それでは1つ1つ説明しましょう。
1. 分かっちゃいたけど忙しすぎる
これはtwitterでも何度もお話したことと思いますが、とにかくリソースに余裕がありません。そもそもヒトが足りない上に飼育員さんはお客様対応含め拘束時間が長いので裏方さんにたくさんの仕事が回ってきます。
そうすると連絡をとるだけでも一苦労で、参加の可否に関わらず1往復の会話をするのに1か月かかる、なんてことも良くありました。
何かを変革する時には一旦どこか一部の人には負荷を掛けさせて頂くしかないのですが、既にどこの部署も負荷がかかり過ぎている、というのが正直な感想です。
2. 日本の動物展示は人気業
忙しすぎるなら、と動物好きの一般人の皆様を巻き込む形やzoo-tomo運営スタッフが代わりに業務を行う形式にサービスを変更する計画を練り、興味を示して頂いた施設様にヒアリングなどを行ないました。
しかし展示施設の名前を使って外部に何かを任せることに抵抗があるようで、感触はイマイチでした。
”忙しいけど他には任せられない”という現状を見て、日本の動物展示はつくづく人気業なのだと痛感しました。
アメリカやヨーロッパの動物展示施設だってもちろん人々の応援は必要です。ですがその応援の獲得の仕方は『一貫して同じメッセージを伝え、唯一無二の施設であることをアピールする』いわゆるブランド業です。”こういう未来を描いていて、そのためにいつも正しい行動をしている”という文脈になります。
対して日本の動物展示施設は人気業です。つまり人間を楽しませて人間に来てもらう、そしてそれ以上に『炎上しない/嫌われない』というのが大事だということです。そうなると新規事業に取り組むこと自体がリスクだと感じる方も少なくありません。
だとするとやはり日本人の皆様には自分が通う/応援する動物園をしっかり環境や動物福祉的な観点から取捨選択していただくしかないのですが、まだまだその考えは浸透していないのだと感じました。
3. 良い意味でも悪い意味でも困ってない
まずこの事業を2020年に開始しようと思ったのは「今までの制度に何の疑いも持っていなかった動物展示施設であっても、コロナをきっかけに真剣に次の形を模索しなければならないと感じてくれるのではないか」という仮説があったからでした。
しかし日本の補助金制度が優秀であったり、クラウドファンディングのプラットフォームの皆さんも色々工夫して動物展示施設が参入しやすい環境づくりをしていたり、そこでたてられたプロジェクトを通じて動物を大切に想っている皆さんの支援が届いたりしていたことで、多くの施設にとって「食うには困らない」状態が保たれていました。
これは本当に素晴らしいことで、ドイツのように一部の動物を殺処分やエサにして何とか施設全体として食つなぐいわゆる『命の選択』を迫られることもありませんでしたし、中国・韓国のように無責任な廃業と夜逃げによって大量の動物が放置の末に餓死するような例も今のところ聞いてません。
ですが一方で『通常の運用+α で動物の福祉も考えなくてはいけない』という言葉や想いが、どこか夢や希望を含んだもののままになってしまったと思います。
もっと緊迫感と飢餓感をもった『動物福祉を』となるのは上記の例を含めまだもう少し時間が掛かるのかな、と感じた次第でございます。
zoo-tomoが成功しなかった原因は...
と、ここまでエラそうにお話してきましたがzoo-tomoという方法が上手くいかなかった原因は私の力が至らなかったらに他なりません。
信頼性、安心感、実績があれば上記3つの理由なんて吹き飛ばせたかも知れませんがどれも示せずにいました。飼育員さんや広報の方々個人単位では熱いお言葉をたくさん頂きながらも、せっかく変わりたいと本気で願っているその少数の方々のお力にはなれませんでした。
プラットフォーム事業として第1段階としては多くの展示施設様の賛同を得られるかが大事になるので、ユーザーさんを増やすことに重点はおいておらず、現在参加している施設様/動物の皆様/ユーザー様にも十分貢献はできませんでした。
企画時のnoteから語っていますが、私は個人的に一時的な収入に本質的な意味はないと思っています。通常の入場料は5倍にして支援者だけ毎日入り放題でもいいと思いますし、環境問題の多い服飾やコーヒーを売って得たお金で設備投資するのは如何かと思っております。動物展示施設側から本当の意味で環境に配慮した収益性の低い商品を展開できるような国にしようと息巻いていましたが圧倒的に能力が足りませんでした。
今は申し訳なさと悔しさで胸がいっぱいですが、今回の結果を冷静に分析し、日本の動物展示を一気に推し進める時が来た時に何か役に立てるよう、力を蓄えたいと思います。
最後に
最後となりますが、小さな小さな段階の動物支援事業に真面目に向き合い、たくさんのお言葉をいただいた展示業界/支援者/応援者の皆々様、本当にありがとうございました。
私個人としてこのテーマはまだまだ追い続けることになるでしょうし、できることが見つかったら全力でお手伝いさせて頂きたいと思います。
それでは、1月31日のクローズ日までまだ少々のお時間がございますので、是非引き続きお付き合いの程宜しくお願い致します。
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