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サイカの近況

 今年46歳(推定)となるシロサイのサイカ。

 国内で飼育されているシロサイの中では最高齢となりました。年齢のせいか筋力もめっきり衰え、歩くときに脚が前ほど上がらず、すり足のようにゆっくり歩くようになりました。

 以前はカラスにいたずらされても怒って振り払う元気がありましたが、近頃では逃げるのもままならず、この冬、つつかれて腿や踵、尾などに傷ができてしまいました。
 その後様々なカラス除けを設置することで被害は見られなくなり、またその時できた傷も治ったので、カラスについては一安心しているところです。

 しかし、横になってから起きる際や、ぬかるみなどでバランスを崩すことも多く見られるようになり、冬から春にかけて3回、転倒してしばらく起きられなくなることがありました。幸い観察中の出来事だったためすぐにそばに駆けつけて落ち着かせ、何とか自力で立ち上がりました。こうしたことがなくなるよう、その後放飼場全体に厚く砂を敷きましたが、放飼中は目の離せない毎日が続いています。
 安全な部屋の中だけで過ごすことが出来ればいいのでしょうが、サイのような動物は運動不足によって消化器の働きが悪くなってしまうことがあります。現に昨年11月、治療のためにしばらく外に出さない日が続いた際、疝痛という病気となってしまいました。
 立ち上がることもできずぐったりし、食べ物も受け付けない状態となり、正直もうだめかと思ってしまったほどです。しかし大量の点滴を獣医師、飼育係総出で行い、持ち直してくれた時はサイカの強さ、生命力に感動を覚えました。

サイカ点滴

 しかし問題は他にもあります。特に昨年夏頃からできはじめた右腿の傷は、ケアの甲斐なく悪化が進んでいます。小さな傷のうちから様々な薬や消毒方法を試し、化膿はしないものの、傷の範囲は現在も広がるばかりです。 
 この状況の大きな原因の一つはサイカが横になる際、必ず右側を下にすることです。体重の多くがこの傷に集中し、また立ち上がる際にも大きな力がかかってしまうのです。昔から横になって休むのが好きですが、高齢となったことで更に休息時間も長くなり、一層治りにくい状況となっています。

 何とか傷にかかる力を緩和しようと、室内に分厚い牛用のマットを敷いたのは昨夏のことです。また包帯、治療用フィルム、パテ、入れ歯安定剤、ウェットスーツを使った自作のサポーター等、何とか傷を保護しようと様々な物を試してきましたが、腿の形状や動きの複雑さによって全て数分で脱落してしまいました。
 現在は消毒と薬を塗った後に汚れないよう、ワセリンを厚くぬることで対処していますが、残念ながら力の分散という根本的な解決には至っていませんので、何かいい物がないか、今後も諦めずに知恵を絞って探していこうと考えています。また両後肢の踵は横になるとしょっちゅう傷が付くようになったので、現在は外に出るときは予防のため、包帯を巻いています。

サイカ②

 若い頃はケガしてもすぐに治ったサイカですが、やはり年齢を重ねると色々な部分が弱くなってしまうのは避けられないことです。根気よく、できるだけサイカが快適な毎日を送れるよう、これからもケアとサポートに全力を尽くしていきますので、皆さんもサイカをどうか応援してあげて下さい!

シロサイ担当 丸山