痛みを抱いて生きること

「痛み抱いて取り零さないで 傷もなんもない心なんて oh 魅力なんてないでしょう?」

 11月4日に発売されるSexyZoneの新曲「NOT FOUND」の中で、わたしがいちばん好きな歌詞です。

 今、この世界の中で自分の痛みを大切にできるひとがどれだけ居るのでしょうか。自分の傷ごと愛せるひとがどれほど居るのでしょうか。身体の傷でも、心の痛みでも、蓋をして、見ないふりをして生きていないでしょうか。わたしは、この時代で自分の痛みをきちんと感じて生きていくのは酷く難しいと常々感じます。

 それは身体の傷だったり、心の痛みだったり。誰もが身を切られながら生きているのに、それを服の下に、笑顔の下に隠して生き抜いている時代な気がします。わたしは幸いひとに恵まれて日々安らかに生きられていますが、わたしの大切なひとたちは自分の傷を痛いと感じるのが苦手なひとが多いから。

 怪我をしているのに「大したことないよ」「痛くないよ」と誤魔化すひとたちを見る度に、わたしは勝手に自分の心が痛くて溜まりませんでした。自分を大切にするには、まず自分の痛みを感じなければいけないけれど、それに気づくのは酷く怖いことだから、追いつめられているときほど優しいひとは平気な顔をして隠してしまうのでしょう。

 それに、自分の痛み、ひいては他人の傷にも無関心であること、痛みを誤魔化し誤魔化し目を瞑って生きていくことが賢い生き方だ、というような風潮すらある気がします。傷は醜いものとして見ないふりをするのが不文律のような世界で、「痛み抱いて取り零さないで 傷もなんもない心なんて oh 魅力なんてないでしょう?」と歌うSexyZoneの姿は確かにわたしの救いであり、誇りでした。この時代に、痛みに負けるな、ではなく「痛みは痛みのまま、傷を抱いて生きろ」と歌う5人の姿を見て、"信じられる"と思いました。

SexyZoneは前作「RUN」でも「痛みに気付かないふりをするな」と歌っています。彼らが歌うからこそ、意味があります。自分の痛みも、他人の痛みも大切にして、傷ごと愛していける5人が歌うからこそ、ちっぽけなわたしが昨日よりもほんの少し強く、優しくなれるのです。

どうか、NOT FOUND を聴いたひとりでも多くのひとが痛みを抱いて生きていけますように。

11月4日 release SexyZone「NOT FOUND」に寄せて。

(気になった方は下の公式レーベルのリンクを見ていただけると嬉しいです)

https://topjrecords.jp/3385





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