「やんばるの森の仲間たち」
<舞台裏>シリーズ No.18
かいのどうぶつえん 園長です。
貝の動物の制作現場では、毎日さまざまなエピソードが生まれています。
このシリーズでは、舞台裏の失敗談や内緒話、奇想天外な空想や徹底した“こだわり”などをチョイスしてみました。
第18回目は「やんばるの森の仲間たち」です。
2021 年4月のこと。沖縄本島北部でオオムカデの新種が発見されました。
翡翠色に輝く巨大ムカデは、体長約20cm、体幅約2cm(大人の親指くらいの太さ)で国内最大。日本初、世界で3例目の渓流に潜む半水棲ムカデで、独特な生態や希少性など話題満載。沖縄の故事にちなんで、「リュウジンオオムカデ(琉神大百足)」と名付けられました。
以前、普通のムカデはつくったことがありましたので、さっそく貝を選んで制作。スピーディーに新作紹介メールを配信しました。
ただ内心では、間違いなく女性たちに嫌われるだろう。反応は皆無だろうと覚悟していました。ところが配信するやいなや、文字通り“即座”に返信が殺到しました。
最初の返信はメール配信5分後。手袋に隠れたムカデに咬まれ、ショック状態で病院にかつぎ込まれた体験者からでした。
アメリカの友人からは「本物は見たくない」と素直な感想。
タイ在住の知人からは子供の頃、防空壕でムカデ狩りをした思い出話など。
ほかにも、鳥肌がたった!目をそむけた!など素直な感想や、作品はかわいいけど、検索したら実物は気持ち悪いなど、メール配信直後から様々な声が届き、ニューメディアの即応性を、あらためて実感しました。
ちなみに、既存メディアのテレビで「かいのどうぶつえん」が取材・放送されることがありますが、番組の視聴者や時間帯などによって、反応はさまざまです。
たとえば、夜に放送された「人生の楽園」(テレビ朝日)の場合、放送直後に園長の携帯電話が鳴りました。電話番号は非公開なので、局に問い合わせ(たぶん強引に)担当者から聞きだしたのでしょう。年配者が多く、かなり強引に見学や作品購入を希望されました。テレビショッピング感覚ですね。
NHKの番組で、「あさイチ」と「おはよう日本」は朝の放送。(想像ですが)アクティブな主婦層が、番組を見て間髪入れずにネット検索したのでしょう。サイトへのアクセス数が、かつてないほど急激に増加しました。
ラジオや新聞、雑誌やタウン誌などの反応は、それぞれに異なっています。
さて、閑話休題。
5月になって再度うれしいニュースがながれました。ユネスコの諮問機関が、奄美大島や沖縄本島北部と西表島の森林などを、世界自然遺産への登録にふさわしいと勧告したのです。
本島北部は、通称”やんばるの森”。天然記念物の「ヤンバルクイナ」など希少な固有種が生息しています。
わが「リュウジンオオムカデ」もその一員。ちょっと怖いけど、いつまでも自然のままに、そっと見守ってあげたいですね。 つづく
貝は「割らない。塗らない。削らない」のスッピン勝負
「リュウジンオオムカデ」〜成分表〜
★胴節:イシダタミ ★歩肢:ムシボタル
★触覚/曳航肢:ヒメキリガイダマシ+アカウニ
★顎肢:貝名不明+アカウニ ★複眼:ヒメカノコ
★川:マドガイ
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