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STAGE GATE VRシアター vol.1 Defiled[ディファイルド]

こんばんは。
自粛開け2回目の舞台観劇です!自粛開けと言っていいのかわかりませんが!
やっぱりこれがないと私生きていけないようです、舞台万歳!

今回観てきたのはSTAGE GATE VRシアターという新たに始まった体験型演劇を提供するプロジェクトの第1作目「Defiled[ディファイルド]」です。
何と舞台作品をVRで配信してしまうという!全く新たな観劇スタイルです。
こんな映像作品があったらなあと思ったことはあったけどまさか現実になる日が来るなんて...状況的には喜ばしいものではありませんが技術の進歩とアイデアの飛躍には天晴れとしか言えませんね。
とはいえ今作は配信だけではなく実際に劇場での観劇もできたので私はそちらに行ってきました。VR配信の方は観ていないし見方もよくわからないのでどんな感じに見えているのかは全くわからんです🤔笑
劇場の方でも座席の間隔は空いていてかなり人数少なめ、さらに舞台と観客席との間にも十分距離が置かれていたり常時換気をしていたりとかなり安全対策がなされていました。各回50人しか座席に座れないんですよ...本当にチケット取れたの奇跡😭

さて本作品「Defiled」の中身に触れてまいります。

ハリー・メンデルソン、図書館員。自分の勤める図書館の目録カードが破棄され、コンピュータの検索システムに変わることに反対し、建物を爆破すると立てこもる。目まぐるしく変化する時代の波に乗れない男たちが、かたくなに守り続けていたもの。神聖なもの。 それさえも取り上げられてしまったら…。
交渉にやってきたベテラン刑事、ブライアン・ディッキー。緊迫した空気の中、巧みな会話で心を開かせようとする交渉人。拒絶する男。次第に明らかになる男の深層心理。危険な状況下、二人の間に芽生える奇妙な関係。
果たして、刑事は説得に成功するのかー。

「Defiled-ディファイルド-」公式HPより

というのが本作のおおまかなストーリーです。
役者二人、刑事と立てこもり犯による交渉劇といった感じです。
Defiledとは「気高く、神聖なものが汚されること」といった意味。
ハリーは目録カードという完璧なシステムを備えた、自分にとって神聖なものである図書館がテクノロジーの侵入で汚されていくことに耐えられず図書館に爆弾を仕掛けて立てこもります。
それに対してブライアンは建物とハリーどちらも救いたいと図書館内に交渉に入る。交渉を拒絶するハリーとコミュニケーションを取る中でお互いの考え方が露わになっていきます。

私の主観ですがハリーとブライアンは全く違う考えの持ち主。内情もかなり正反対です。
人間の二極化と言ったら大げさかもしれないけど確実にどちらのタイプも存在している感じがします。
恐らくハリーの主張を全く理解できない人もいると思うし、逆にハリーに共感できてブライアンを違う世界の人間に感じる人もいると思います。だからこの劇面白い。

要はハリーのしたいことって「高貴なものが朽ちていく様をただ眺めることしかできないならいっそ高貴なものとして在るうちに壊してしまおう」ってことだと思うんです。
でもブライアンはそんな考え方理解できなくて、図書館のカードのために死ぬなんて馬鹿馬鹿しい、人間が大切にするべきものは家庭だったり日常の幸せであるはずだというのがブライアンの主張。
私はわりとハリー派で、ハリーの考え方にはすごく共感できます。ブライアンのこともわからん訳ではないのですが…笑
どちらかというとハリーの主張の方が理解され難いんですよねきっと、だからこそ話が展開していくにつれてハリーの気持ちに飲み込まれていくと正直辛くて苦しくてたまらなかったです。

なんかこのザワザワする感覚知ってるな〜…とよくよく考えてみたら、映画「JOKER」を観てる時の感覚と近いものがありました。
あの映画ほど劇薬さはないけれど登場人物に異様なほど感情移入してしまって心が押し潰されていく感覚はすっごくよく似ていました。
演出もかなり心のザワザワを掻き立てるものが多くてわりと冒頭から感動とかではなく恐怖で泣きそうでした🥺笑 これ人によっちゃめっちゃ怖いと思うんだけど🥺
すーーごく好きな舞台だったのですがとにかく不安感がすごかったので生ではもう観れないかもなあ…もうちょい図太くなるかお酒でも入れればワンチャンいけるかもしれません。
まあそれくらいなかなか刺激強めの舞台ってことですね。私だけかな?

この劇、いつも私が観ているような通常の舞台とは大きく異なります。
というのも本作は朗読劇。朗読劇とはステージの上で役者さんが台本を手に台詞を読み上げながら物語を展開させていく演劇スタイルです。(声優さんがやられることが多いようですね)
実は私はじめての朗読劇でした!ずっと気になってはいたのですがなかなか観る機会がなかったので今回観られてとってもよかった!👏
やはりいつも観ている舞台に比べると格段にステージ上の動きが少ない、というかほぼほぼ動かないので物足りなく感じてしまうのでは...と思ったのも本当に束の間、声やトーンだけではなく表情だったり仕草で魅せてくるのであっという間にのめりこみました!!
本作目立った動きがあったとすれば水を飲むシーン、これもきっと水分補給のためなんだろうけどその水を飲むだけの動きにちゃんと役の感情に沿った仕草が加えられていてゾクゾクします。あとは常に座っている状態なのですが、足を大胆に組んでみたり、これ後ろの人に見えてんのかな?って思うレベルの細かさで貧乏ゆすりしたり。
むしろこの表現に限りがある状態だからこそ魅せ方が上手いと余計にその役者さんの凄さを思い知らされますよね、ディスタンスさえなければ至近距離で全部見たい...!(これこそVR配信で見るべきな気もします)
あと照明や音響の演出も凄くて!舞台上に動きがなくても場面が動いているのがすごく伝わってきます。
初めての朗読劇、それができる凄さと面白さを一気に学びました。

本作、出演者2人だけの舞台なのですがそれを務めるキャストがめちゃめちゃおる!!!
加藤和樹さん、岸祐二さん、水田航生くんや三浦宏規くんなど幅広いタイプの役者さんたちがいろんな組み合わせで30回程の公演を作り上げていくのです!これはね、何度もいろんな組み合わせで観たくなるのわかりますわ……
私が観たのは小西遼生さん(ハリー役)と伊礼彼方さん(ブライアン役)!
この組み合わせ本当に観たかったので嬉しい、いややっぱりチケット取れたの奇跡ですよね?🤔笑
二人とも流石といいますか、どちらも表現力の塊だなと…派手なメイクもなければ印象的な衣装を着ている訳でもない、もちろん朗読劇なので大げさな仕草で魅せてる訳でもないのに紛れもなくハリーとブライアンとして存在してました。
いつもの舞台で観ているお二方の印象とはかなり違う、また違った表現の仕方だったり表情が観れたのが嬉しかったな〜

小西さんは言わずもがな私のスーパー推し俳優さん。
言っておきますが序盤で散々ハリーを持ち上げたのは小西さんだからという理由ではなく本当にキャラクターとしてのハリーに共感したんです!これほんと!!
最後に生で拝見したのは2月のライブだったからとっても久々に綺麗な御顔を拝見できて眼福でしたァ〜、あとページをめくる指先とか本当綺麗ですね!!
お顔だけじゃなくてお芝居も本当に繊細なんです。
言葉に詰まって唇を震わせたり、座っている足を小刻みに動かしたり、水を飲むのを一瞬ためらったり…すごく細かいところまで魅せてくるのでどこまで見てても楽しいです。
あと声もすごく印象的だし感情表現がお上手、朗読CDとか出してくれたら多分私一生聴いてられる!!

伊礼さんはすごく久しぶりに拝見しました。
この人はいろんな舞台で見るたびにガラッと表情を変えてくるなあという印象があるのですが本作も例外ではなく。
ベテラン刑事としての威厳を醸しつつ少し庶民感も感じさせていて、すごくアメリカンで親しみやすいなあと思いながら観てました。
ブライアンはハリーと比べて感情的で大胆、朗読劇の中のちょっとした仕草にもその感じがよく出ていて舞台映えしてました。朗読劇なのに舞台映え!天才ですね
あとまた声が良くてさあ……!!伊礼さんの台詞の読み方や声色でブライアンのイメージ像がハッキリと伝わってくる!これが朗読劇じゃなくて普通の舞台だったらこういう芝居するのかなとかいろいろ想像させられる!
まさにブライアンに命を吹き込んでいる芝居でした!

こちらの舞台ですが劇場では8月2日(日)、VR配信は8月14日(金)まで上演・上映されております。
もう是非多くの方に見ていただきたい!
珍しく私の筆が早かったのでちゃんとおススメできるのが嬉しいです、公演期間中に書けるのがベストですよね頑張ります
本当に多くの組み合わせがあってそれぞれで全然違う形になっているようなので他の回を観たらまた違った感想が出てくるかもしれません。
生では怖くてもう観れないけど配信でもう一度観てみようかなと私も思います。
こんな情勢でオンラインが加速する世の中、本当に大切なものが何なのか気付かされるかもしれません。


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