ため口が苦手

サラマンカに留学している、一つ上の先輩がいる。
とても優しく気前の良いところもあって、「お姉さん」のような親しみのある先輩だ。その人は、敬語じゃなくていいよ。と言ってくれた。
ぼくは、苦手なんですよね。と言った。

最初からため口で話してたなら、大丈夫。
実際、ため口で話してて、後から年上だったことを知った人もいる。
その人らには、ため口を続けられている。
スペインでは特に、歳に関係なく、皆フランクに話す。
(他の海外国の事情は分からない。)
せっかくスペインにいるんだし、それに倣ってフランクに、ため口で、
話そうよ。と言ってくれる人がぼくの周りには多い。ほんとに優しい。
しかし、それができない。
意識してため口を使ってみたけれど、意識して使っているからか、
ぎこちない気がして、少なくとも自分の中では少し気まずい。

自分が先輩にため口を使ったその瞬間に、
相手を舐めているかのように自分を自分で戒める気持ちになる。
それにだんだんいたたまれなくなってきて、自分の中で限界が来て、
だんだんと敬語に戻っていった。
それにそのことばかりに気が向いて、会話の流れもスムーズではないように感じた。気まずい。

先輩にもぐいぐいと距離を縮められる人、
かわいがられる人、適度に冗談をぶっこめる人に、
憧れる。
でも、「誠実」でさえあれば、信頼を得られるとも信じている。


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