見出し画像

【ドラフト】『ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察(序文)』

こんにちは、ぞんびです。

前回M21に引き続き『MTGA上でのゼンディカーの夜明けドラフト』について発売に先立って予測の形で考察記事を書かせていただこうと思います。
基本セットと違い新規キーワード能力やメカニックで満ちたエキスパンションでは全体像やカード評価をする際の軸がそれらを踏まえたものとならざるを得ません。
そこで、今回はこの序文にて前回よりもさらに力を入れて

・新規要素が与える影響
・各アーキタイプのまとめ
・ピック基準に影響する要素

にフォーカスを当てて解説することで各色毎のカード評価を見ていただく際に筆者の基準を理解したうえで呼んでいただくことを狙いとしています。

少々長くなりますが、その分より深く考察するための足掛かりになると思っていただければ幸いです。

各色個別のカード評価編は以下リンクから読めます。

・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察白編
・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察青編
・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察黒編
・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察赤編
・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察緑編
・ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察多色&無色編

1:『新規要素が与える影響』

ここではゼンディカーの夜明けに登場した新規、あるいは再録要素についてリミテッド目線で考察していきます。
各アーキタイプ(2色の組み合わせ×10)に関連する部分はそちらでより詳しく書くので順にお読みください。
雑感としてですが、ゼンディカーの夜明けは要素が多く、またそれぞれの要素がやや剥離的で互いに絡みにくい部分があります。具体的にはパーティとそれ以外で多少の壁があります。
そのためか、直接要素やアーキタイプを支援するカードの枚数はそれぞれ少なめであり、要素の点に絞って統一感のあるデッキを作ることは難しいかもしれません。


1-1:『新規要素』モード付両面呪文

新規登場した新しい形の両面カードです。必ず片方の面が土地となっており、呪文としても土地としても扱えるという特徴を持っています。
そのため、『序盤に引いて土地を伸ばしたいとき』『終盤1枚でも呪文が欲しい時』『手札に大型呪文を持っていてマナを伸ばしたいとき』などで柔軟に扱うことができます。

まず最大の問題は、『呪文としても土地としてもちょっと弱い』ことですね。
神話レア以外のカードは土地として置くときにタップインが必要になるため、1マナ必要になってから置いても結局使えるのは次のターンとなってしまいます。
そのため、土地としておくことを考える際にはタップインによりもたつかないよう早めに判断をしておく必要があります。
効果を発揮するタイミングが狭い呪文も多く、そういったものをうまく使おうとしすぎると呪文としてみた際も、1マナ低いカードと同等程度の効果のカードが多く手放しで使えるものではありません。
更に、多く両面カードを取ったうえで通常の土地枚数のデッキを作ってしまうと結果として土地が多くなりすぎる可能性もあります。

そのため、予めピック/構築段階でこの両面カードは呪文として数に入れるか土地として数に入れるか決める必要があると思います
『ある程度以上強い呪文の場合は、基本的には呪文として扱う。どうしても必要な場合のみ土地として置く』
『そうでない場合は土地としてカウントする。後半引いて唱えれる時以外は土地として置く。』
などの目安ですね。

ちなみにテクニックとして、ゼンディカーの夜明けには何枚か場の土地を手札に戻すカードがあります。
呪文が必要になったときにそれらで両面カードを戻す動きを意識して点数をあげることがあるでしょう。
また、上陸やキッカーと緩やかに相性がいいです。
デッキの中に無理なく土地を増やすことができるので上陸機会を増やしたり、マナを伸びやすくしてキッカーに備えたりができます。


1-2:『新規要素』パーティ

ゼンディカーの夜明けでは4つの職業(戦士、クレリック、ウィザード、ならずもの)をパーティの構成要員として扱っています。
パーティの構成要員を何体コントロールしているかを参照するカードがいくつかあり、それらを強くするためにパーティを揃えるということになります。
これらのカードをうまく使うためにはピック時から気に賭ける必要があると言えます。
通常のカード評価に加えて、『どの職業か』『その職業は自分に必要かどうか』が流動的な軸として加わります。
ただし、パーティチェックをするカードはそこまで多くなく、遭遇頻度の高いコモンアンコモンに絞ると各色4~5枚(緑は2枚)程度しかありません。
更に実用的なものに限るともう少し減るため闇雲にパーティを重要視してもリターンが少なくなることも考えられます。
パーティチェックするカードはほとんどの場合で『1体いれば平均的なカード、2体でやや強く、3体でかなり強い。』くらいのバランスになっています。
そのカードがクリーチャーである場合には自信も数に数えるため、他にパーティが一人もいなくてもある程度扱えるカードとなっています。
そのため、無理にパーティを意識しすぎるよりは自然な強さを重視して取り、カードパワーが近い選択肢でパーティを意識するくらいのほうがいいかもしれません。

また、このパーティの要素は試合中にも選択肢を発生させます。

画像1

上の画像のように、除去を打つ際、または戦闘で相打ちする際などでも普段のカードの評価に加えて『相手のパーティを崩す必要があるか』を意識するべき時があるでしょう。また、相打ちする際などには自分のパーティが崩れるのかどうかももちろん評価軸に加わります。
更に加えて、パーティカウントによってマナコストを軽減する強いカードがいくつかあるため『いつ除去を打つか』も関わってきます。通常インスタントは相手ターンで打つことがいいとされますが、相手がマナコスト軽減されたカードを唱えてからではそれを妨害することができないため自分のターンで打つかどうかはしっかり考える必要があるでしょう。


1-3:『新規要素』職業ごとのテーマ

パーティをさらにややこしくさせる要素として、パーティ以外に同じ職業同士のシナジー及びテーマがあることが挙げられます。
具体的な内容はアーキタイプ説明でしますが、ここで評価軸として気をつけるべきことは『各アーキタイプや職業を参照するカードは意外と少ない』ということでしょう。
各職業ごとに支援カードは5~6枚程度、しかもアンコモン以上に多くデッキとしてまとまる意味があるほど取れるかはやや怪しいです。
どちらかというとカード単体単位のシナジーではなくデッキ全体として『戦士だから攻撃的』『ならず者だから回避能力で攻めたい』などのようにまとめる方がやりやすいでしょう。
もちろん、支援カードそのものの性能は高く、特にアンコモンは扱いやすいため早い段階で取れたならそちらに舵を切る選択肢も必要です。

これ以降のメカニズムは各アーキタイプの中で説明します。


2:各アーキタイプ

ゼンディカーの夜明けには各色の組み合わせ毎に10個のアーキタイプがあります。
また、大枠として『緑を含まない色の組み合わせは職業系アーキタイプ』『緑を含む組み合わせは職業以外のアーキタイプ』となっています。
緑にも職業を持つカードはありますが各職業ごとに2枚ずつ+全職が2枚と枚数は抑えられています。
そのため、ゼンディカーの夜明け全体の傾向として緑をピックしているかどうかによってアプローチ及び職業の有無によるカードの評価軸が変わることを意識するべきでしょう。

2-1:『アーキタイプ』白青パーティ

白青の組み合わせは自然と全職業が集まりやすく、パーティを組むということそのものがアーキタイプとなっています。
類似アーキタイプである赤黒に比べるとフルパーティであることを参照するカードが青白のレアに固まっているためそれらが取れた場合に最大値を狙って組むことになりそうです。
色の傾向として積極的に攻めることは苦手ですが扱いやすい除去や回避能力持ちはいるためそれらとパーティサポートカードを組み合わせることで細い攻め筋を擁立することは意識できるでしょう。
漫然となりやすいので、アンコモン以上のカードで早めに方向性を見つけたいです。


2-2:『アーキタイプ』赤黒パーティ

赤黒も自然と全職業が集まりやすいです。
また、赤と黒のパーティ参照系のカードは相手のライフを減らすことにつながるカードが散見され、マルチカラーの装備品の特徴もあり『相手のライフを減らす』という方向性でデッキをまとめることが可能でしょう。
除去は数があるものの特に赤方面で範囲に不安があり、アタックにより盤面を打開する状況と除去により打開する状況は使い分ける必要がありそうです。
フルパーティを参照するカードは使いにくいものが1枚あるのみなためフルパーティを意識しすぎるよりは『攻撃性』という方向性でまとめたほうがいいと思われます。
パーティを参照するカードもやや少ないためそれらがない時は攻め手に欠けそうです。


2-3:『アーキタイプ』白黒クレリック/ライフゲイン

白黒はクレリックが多く、またその職業的特徴としてライフゲインすることを誘発条件としたカードが散見されます。
それらを全体的に用いて『ライフを獲得して長期戦で差をつける』戦いがメインになるでしょう。
クレリックを出すこと、死亡すること、ライフ獲得すること3つの条件で相手のライフを奪うシステムカードがありこれらを軸にしてライフアドバンテージをつけていきたいです。
ライフを獲得するカードであれば何でもシナジーに貢献できるためデッキとしてまとめることは比較的楽と思われます。


2-4:『アーキタイプ』赤白戦士/即用装備品

赤白は戦士と、戦場に出たときに自動的に装備される装備品がアーキタイプとなっています。
とはいえ装備品とシナジーがあるカードは少なく、これもデッキの方向性で纏める方が賢明と言えます。
戦士には攻撃的に使えるカードが多く自然と集めることで赤白らしい戦い方ができるでしょう。
注意点としては、赤と白でパーティをカウントするカードは戦士である割合が多く、少し意識しないとパーティカウントするカードはあるけどデッキの中には戦士しかいないということになりえます。
攻撃的に使える戦士以外のカードをあらかじめチェックしておくといいでしょう。


2-5:『アーキタイプ』青黒ならずもの/8枚切削

青黒はならずものと、相手のライブラリーを切削すること、特に相手の墓地に8枚カードをためることがシナジーとなります。
まずならず者は回避能力持ちの割合が多く、それらを用いるだけで自然と回避ビートダウンの形にはなるでしょう。
8枚切削は扱いが難しく、8枚墓地にカードをためることは自然なゲームではやや間に合わないことがあります。
そもそも8枚墓地にあることによるボーナスを得るカードもやはり少ないです。
ただし、8枚溜まるのであれば強いカードが多く、それらを先に取ってから目指すことは自然な流れとなるでしょう。
ただしやはり相手のライフを減らすことに直接繋がる動きではないため、削るのか殴るのか意識を分ける必要はあります。


2-6:『アーキタイプ』赤青ウィザード/インスタントソーサリー

ウィザードは、インスタントかソーサリーを唱えること、およびウィザードを唱えることで誘発する能力を持っているカードがいくつかある。
これまでの能力と比べてウィザードそのものでも誘発するため、デッキの中の生物:呪文の比率を気にしなくてよくなっているのは大きな変化でしょう。
これも能力自体は少ないものの、特に多色のウマ―ラの神秘家は使いやすく、ウィザードを志すきっかけになるでしょう。
崖崩れの魔術師も相応に強く、どの職業アーキタイプもですがアンコモンをきっかけに始めることになりそうです。
また、ウィザードの中にはキッカーを持つものも多くそこと兼用することができそうです。

2-7:『アーキタイプ』赤緑/緑白上陸

復活メカニズムである上陸は赤緑と緑白に割り振られています。
どちらかというと赤緑は瞬発的なサイズアップが多く、緑白は継続的な手段として扱うことが多そうです。
上陸を持つカードはそれが軽いか重いかで評価が大きく変わりやすいです。
重い上陸カードは、それを出した後にもう土地が残っていないことが多いためですね。
今回は両面カードと、いくつかある『土地を戦場から手札に戻すカード』が重い上陸の支援にもなるため下げ幅は少ないと思いますが完全に0になるわけではないです。
赤緑の場合は上陸カードにこだわらず攻撃的にふるまえるカードがメインになるでしょう。緑の戦士の質が悪くないため戦士シナジーを取り入れることも可能です。
緑白の場合は職業を活かすことはやや難しいかもしれません。クレリックの攻めの軸になるカードが黒にあるからです。
レアやアンコモンから入って継続的な上陸が出来ないと避けたいアーキタイプに見えます。
その分ムラーサの根食獣が安く回ることになる事も期待でき、1枚取ったなら2枚目を期待して進めていいかもしれません。上陸で可能な限りそろえることが完成度に影響しそうです。

2-8:『アーキタイプ』青緑キッカー

これも復活メカニズムです。
今回のキッカーはキッカー抜きでもカードの水準が低くなく、その上でキッカーすることによるボーナスを増やすシナジーカードがあります。
キッカー自体は枚数もある程度あり、コモンのクリーチャーと除去とドローにバウンスと青に手広く揃っています。
青のクリーチャーからとり始めて、キッカーを増強するカードを見てからこのアーキタイプを始めるといった流れになりやすいかもしれません。
キッカーを使う性質上ややデッキの動きが遅くなりがちなので通常よりも序盤戦のカードの評価が高くなりがちです。


2-9:『アーキタイプ』緑黒カウンター

緑黒にはカウンターを乗せるカードとカウンターが乗っているクリーチャーをサポートするカードがあります。
カウンターを乗せること自体は白でも可能なため、カウンターシナジーのカードもあまり緑黒という組み合わせにこだわらず白を絡めて使うことが出来そうです。
そもそもカウンターを乗せる行為は強い行為なのでカウンターを乗せるカードだけ奪い合いになり、結果このアーキタイプに進みづらいことは起こりえます。


3:チェックポイント『除去の質』

最後に、ドラフトの環境考察をするうえでどの環境でも考えておかないといけない、除去の質について触れます

遭遇頻度の高いアンコモン以下の除去が、『何をいつ除去できるのか』を把握しておくことでここのカード評価の軸に除去に強いか弱いかを加えることができます。
色毎の今回の除去の特徴として
白:確定除去は3マナのうえに、場に残る(パーティを妨害できない。
  レンジストライクはパーティに応じて大変強くなる。
  直接ダメージを与えるカードもあり、この辺りは強い。
青:バウンスとオーラは高水準。
  クリーチャーによるバウンスもできる。
黒:確定除去が3種もあり強め。ただしどれも多少の癖があり、全体的に素早く殴られると撃ちづらくなる。
  隠然たる襲撃は似たようなカードの中では扱いやすい。
赤:コモンに4種、アンコモンにも3種+全体除去が1枚と数は多い。
  ただし範囲に難があり、タフネス5は7マナソーサリーでしか除去できず
  ブロックに参加しないタフネス3(4)以上のクリーチャーも対処が一手遅れやすい。そのためタフネス3,4,5はそれぞれ評価が加算される。
  M21の頃のような相手の出方を見てからの介入としては不安が残る。
緑:狂気の一噛みになった。一方格闘としては使いやすく、中盤にうって盤面を押し戻すことがしやすい。サイズで対抗できる。

となっている。主に黒と赤の除去の種類が評価に影響しやすく
タフネスが5以上であるアタッカー
タフネスが3以上あるシステムクリーチャー、特に出したターンに影響のあるもの。
マナコスト軽減して出せるもの
あたりは追加で評価がされます。



4:補足

今後の記事に使われる用語の説明を最後にさせていただきます。・越境性:そのカードが複数のアーキタイプにおいて使えるかどうかを示します。・専門性:そのカードが特定のアーキタイプに偏らせることで強くなり、他のアーキタイプと混ざるほど弱くなることを示します。・Pカウント:パーティカウント。パーティの数を数えることを示します。

この記事はここで終わりとなります。
各カード個別の評価は各色+多色/無色で6回の記事に分けてまた投稿しますのでそちらをお読みください。



また、今回の記事は無料公開としていますがもし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。

ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?