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イチョウが音もなく散る午後 わたしは一人 公園のベンチに座っていた カーディガンの感触が少…
学校帰り 受験勉強のために立ち寄った図書館で 机に向かい勉強する君を見かけた その怜悧な眼…
高校入試の帰り ぼくは電車に揺られていた 窓を見ると 頬に少しにきびのある 学ラン姿の自…
神門をくぐると そこは静謐な空気に包まれていた さっきまでビル街を歩いていたはずなのに い…
校門をくぐると 桜並木の坂道がある 懐かしい母校の校舎へと続く道 すでに花は散り 今では青々…
そこを抜ければ光が差すと 誰かが言った そこを抜ければ明日が来ると 誰かが言った そもそも…
排水管 こぽこぽ かぽかぽ 小川 さらさら ちょろちょろ ハト ぷっぷく ぷくく セミ じゃりじゃり しゃりしゃり ススキ ざわざわ ざわーん 自転車 すーすー きこきこ 子ども とことこ わらわら 風 びゅーびゅー そよそよ 夕焼け きらきら じわじわ 鉛筆 しゃかしゃか とんとん 本 ぺらぺら ぱたん ミシン とことこ ととと 蛍光灯 じーじー ちかちか 包丁 とんとん ざくざく 換気扇 ごーごー ぶんぶん 夜 ゆらゆら すやすや 星 きらきら ぱらぱら
おさな子の手を引いて 金木犀の香る児童公園を訪れた おさな子は砂場を見つけると 弾けたよう…
突如として大地が激しく揺れ 人が 動植物が 家具が 自動車が 建物が 次々になぎ倒されていった…
透き通るような青 何もかも吸い込んでしまいそうな どこまでも澄んだ青 それはずっと高く遠く…
どんなに手を伸ばしても届かない それでいて 前だけ向いて進もうとしても ずっと纏わりついて…
耳をつんざく破裂音 響き渡る轟音 大地が砕け散る 建物が砕け散る 人も砕け散る 無色の景色と …
喧騒の先に 友が呼んでいる 足音が連なる イチョウ並木から 木漏れ日が降り注ぐ 生垣に 朝露が…
すべての命はここから始まり すべての命はここで終わる 太陽の光を吸い込み 地球を浸す どこまでもどこまでも 広がっていく トビウオの群れが跳ねる クジラが潮を吹く シャチが食いちぎる クラゲが水面を漂う サンゴが卵を飛ばす イソギンチャクが揺れる クマノミがひょっこり顔を出す 貝が砂地を這う 白い砂浜 寄せては返す波 サンダルの足を止めて屈む 貝殻を拾う 砂の粒が指先に吸いつく ゆっくりと太陽が落ちてくる ほどなくして 辺りは夕闇に包まれ始める 波音がいつまでも静かに