幕の内弁当と日本酒
今日の夕飯はコンビニで買った幕の内弁当。
左半分はゴマがまぶしてあるだけの白飯で、梅干しもない。まあ、あったら日の丸弁当になっちまうからな。
右半分は玉子焼きやら、小さな天ぷらやら、薄いコロッケやらといった面々で、隅っこに紅色の漬物が数切れ。さながら幕の内弁当のステレオタイプのようなものである。
このとおり、質素っちゃ質素。でもこれだけじゃないんだ。日本酒がある。
先日近所を散歩していたんだ。数か月前にこの街に引っ越してきたけど、まだまだ未開のエリアが沢山あると思ってな。成果は上々で、クリーニング屋とか、靴屋とか、ちょっとしたステージのついている小洒落た飲食店とかを見つけた。そしてその日の一番の収穫として見つけたのが、古めかしい佇まいの酒屋さんだ。
中に入ると、棚という棚に酒瓶が所狭しと陳列されている。日本酒もあれば焼酎もあり、中にはスパークリング日本酒のような変わり種もあった。ワインはなかった。
これはせっかくだから日本酒を一本買っていくかと思って商品を選ぼうとするのだが、一人で日本酒を買ったことなんてないもんだから何を選べばいいのかわからない。そもそもぱっと見では日本酒なのか焼酎なのかも判別がつかない。「純米大吟醸」って書いてあるものはたぶん日本酒だなと分かるのだが、逆にいうと「純米大吟醸」でない日本酒は何て呼ぶのかもわからない。「不純米大吟醸」とか「純米微吟醸」とかいうのだろうか。
悩んだ挙句なんか自分でも名前を知っている八海山を購入した。初回はスタンダードなブランドを購入し、次回以降は違うブランドも購入してみる。これを繰り返して、少しずつ日本酒に聡くなっていこうという魂胆だ。
待っていろ、八海山よりもテクニカルな日本酒達よ。
話を戻して、今日の夕飯のなんの変哲もない幕の内弁当に日本酒を付ける。これだけで、質素な夕飯から小粋な飲んだくれ被れ体験入学メニューに早変わりだ。
というわけで、幕の内弁当の香りが新しい口の中へ八海山を注ぐ。うーん、この二つ、思ったより味が合わないぞ。人生経験だ。
今日の夕飯は幕の内弁当と日本酒。
あ、今思い出したけど幕の内弁当を食べ始める少し前に野菜不足解消のためのサラダを平らげていたのだった。
今日の夕飯はサラダと幕の内弁当と日本酒。
(著:ビタファ)