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パーソナルゲノムが拓く未来

去年聞きに行って面白かった講演を、今更ながら記事にしておく
※全編通して「→」は私の所感。最後の章は講演後の話

これは、夕学(せきがく)五十講という慶應義塾大学がやっている社会人向け講座として開催されて、会社負担で出席できた。こういうところが会社員の良いところ👍

夕学五十講 ー講演者情報(株式会社ユーグレナ 高橋祥子さん)

ゲノム・遺伝子とはなにか?

ゲノムとは、Gene(遺伝子)と chromosome(染色体)を組み合わせた語で、遺伝情報の全体・総体を意味する。DNAは物質だが、遺伝子は情報
(画像は中外製薬HPより)

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ゲノムの配列分析は完了しており、ヒトとチンパンジーでのゲノム配列の差は1%、ヒト同士での違いは0.1%しかない。これが肌の色や体型の違いを生み出している


遺伝子情報解析サービス:ユーグレナマイヘルス

誤解している人が多いが、遺伝子情報は一生変わらないため、データはいつ取っても良い。一方で、解釈するための論文や研究の情報はアップデートされていくため、どの解釈を用いるかで結果が変わる

ユーグレナマイヘルスでは、最新の論文・研究成果を反映して、情報を随時アップデートしており、連動して個人の検査結果も変化する
→早く検査して継続的に結果を注視すると面白そう

高橋さんは、研究成果を実社会とつなぎ、実社会からのFBを研究に活かすサイクルを作るために起業した。まさにそのサイクルを回すサービスになっている


欧米では複数のサービスが爆発的に流行ってシェアを伸ばしており、祖先の解析が人気
→23 andMe は聞いたことがあった。移民が多い国や陸続きで複数のルーツを持つ人が多い国では、興味関心も高いし、知らなかった結果が出たりして面白そう!


アジアでは強力なプレイヤーはおらず機会あり。研究結果もアジア人を対象としたものは少なく、今後伸びしろあり。アジア人の情報を集めること、それを根拠に診断結果を出すことができるのは強み

遺伝要因と環境要因のどちらもあり得る疾患を対象に検査結果を出している。遺伝的に100%かかるため避けられないものや、精神疾患については技術的には解析可能だが、知ることにより気に病むなどのデメリットがあるため公表していない

性格診断的なものもできるが現時点では公表していない。最近流行っているがまだ根拠となる論文が少ないことも一因
→精緻化していけば占いのパーソナライズとか、メンタルヘルスケアに使えそう

高橋さん自身・母・姉は腎臓結石を発症したことがあり、再発率は50%程度。検査により遺伝的になりやすいことがわかった。そのため、環境要因で防ぐことができるようなアクションに繋げている(ex.緑茶や生のほうれん草を避ける)


ゲノム編集とダイバーシティ

ゲノム編集には
①生殖細胞の編集(生まれる前に遺伝的特性をデザイン)
②生きている個体の編集
がある。

どちらも副作用等の研究がされているが未知。①は本人の意思と反して編集されるため倫理的に問題あり。②は編集をしない場合に必ず死ぬ等の疾患であれば利用しても良いが、美容目的などで行うことには反発が大きい

全ての人がゲノムのレアな配列をいくつかは持っており、全ての特性が良い人/悪い人は存在しない。多様性があることにより種としての生存可能性が上がる。ゲノム編集によりダイバーシティが失われることは、その観点でも問題あり

高橋さんは「新しいことに対して意欲がある」遺伝的特性を持っている。サービスを開始した際に遺伝情報を医療に利用していた医師等から、なぜそんなサービスをやるのか?新しいことをやりたいのはなぜか?と意見をもらったが、これも遺伝的に異なるためしょうがない(保守的な人も存在しないとすぐに種が滅亡する笑)

→絶対に意見が合わない人は、種の保存のためには必要ということ。視点が大きすぎるが、誰かと衝突した際に大らかな気持ちになれそうな指摘である


Q&Aで面白かった話

・脳腸相関と言われるように、腸内細菌の働きはメンタルや脳の働きに関連性が高い

・遺伝子組み換え食品同様、ゲノム編集食品に対しても知らないことによる怖さ、ネガティブイメージが広がってしまうことへの懸念がある。拒絶感が広まる前に正しい情報を広めていく必要がある

・ピーター・ティール著ゼロ・トゥ・ワンでも書かれている通り、バイオ系スタートアップは不確実性が高く大変。アメリカのスタートアップは調達額が大きい。一因には、VC側にMBAとPhDを両方持っている人や、技術への理解が高い人材がいることもある


ユーグレナマイヘルス 実際にやってみた

興味が湧いたので同僚と夫氏にも紹介して、みんなでやってみた。キットで唾液を採取して返送し、3週間ほど経って結果が出たとのメールが届いた

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マイページにログインすると、こんな画面が見られる。詳細な結果の開示は控えるが、
 ・筋肉の柔軟性が一般的なタイプ
 ・非言語IQが低めのタイプ
という結果は少し意外だったし、逆に
 ・旨味の感受性が高めのタイプ
 ・胸囲が小さめのタイプ
 ・忍耐力が高めのタイプ
というのは、自己認識と合致する部分だった。「尿中のアスパラガス臭を感じることができる可能性が一般的なタイプ」というのも当てはまっていたが、これは一体。。。

遺伝情報で全てが決まるわけではないし、実際に結果を見て今の自分と違うところもあると感じた。生まれ持った特性だけでなく、環境要因も私を形作っているのだ

特にユーグレナマイヘルスでは環境要因で変えられる要素を開示しているので、単純に楽しんでみたり、体質改善の際のヒントに使えたら良いと思う。サンプルが溜まれば研究の発展にも繋がって一石二鳥なので、ぜひ一度試してみて!

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