20240617_うるに会いたい

うるに会いたい。

うる(本名はうるし)は元彼と飼っていた犬の名前。

うるに出会ったのは吉祥寺のペットショップだった。当時板橋に住んでいて、バスで中央線に行くことができたからたまにその辺でデートをしていた。
元彼が元々犬を飼うことに興味があり、自分はなかったどころかペットショップというもの自体の非人道的さに引いていた。

たまたまその日も彼に連れられ吉祥寺のペットショップに入った。
そこでうるに出会った。今まで犬に興味なかった私が本当の一目惚れを経験した。
一生の中で犬をお迎えするしかこの子しかいない。そう思い、当時ペット不可の物件に住んでいたが色々な葛藤の結果飼うことにした。

子犬の時のうるは真っ黒だったので「うるし」と名付けた。シーズーとポメラニアンのミックスで毛がふわふわで目がくりくりしていた。子犬の頃、ちょうど休職していたので一日中一緒にいることができた。当時はとてもやんちゃでそこら中のものをガジガジしたり、カーペットでおしっこしたりと、可愛いながらも大変だった。生後3ヶ月まではトリミングも行けなかったのでモップみたいな見た目になってたりした。
程なくして神奈川のペット可の物件に引っ越した。

うるの誕生日にはケーキを買ったり、ワンちゃんも食べれる焼肉屋に行ったりしていた。毎日お昼休みに散歩に行き、雨の日は家でおもちゃを投げて遊んだ(遊びのことをビュンビュビュンって呼んでた)。

うるは寂しがり屋だったから私や元彼が帰りが遅い日はソワソワして鳴いたりした。
仕事中も相手に欲しいと鳴く癖があり、その度に怒っていた。
怒りすぎたこともあったのでとても後悔している。
特に睡眠導入薬を飲んだ後に怒りすぎていたようで、元彼からもう好きじゃないと言われた時にはうると一緒にいて欲しくないとも言われた。

元彼と別れそうになった時、自分は責任能力がないから引き取ることはできないだろうと思った。なのできっと元彼が戻るであろう彼の実家のご両親に、もし万が一別れることになってうるが家に行くことになったらお世話になります、どうぞよろしくお願いしますと挨拶をしに行った。(後々ご両親はこの会話について元彼に話したようで、私がうるを彼の実家に完全に任せようとしていたという解釈をされていた)

別れるとなった際、思っていた通り彼に「あなたは通院しているし、薬で記憶がないときもある。責任能力がないから任せられない」と言われた。反論することができなかった。今は月一で3時間ほどうるに会わせてもらっている。

うるをお迎えした当初、私はかなり鬱病がひどく、毎日泣いて暮らし生きる気力を失っていた。でもうると出会ったことで守るものができ、仕事にも復帰することができた。
不安になり私が泣いているとうるは寄ってきて慰めてくれた。毎日一緒に寝ていた。
うると寝ている時間が1番幸せだった。ふとした時に「置いてかないでね」とうるに泣きつくこともあった。

きっとうるは今とても大事にされていて、楽しい毎日を過ごしているだろう。元彼のご両親もうるのことが大好きだ。元気に生きている。
でも私はうるのことを思い出すと胸が張り裂けそうになる。息ができなくなる。本当に会いたくて、一緒にいたくてたまらない。自分は間違った選択をした、もっとちゃんと反論したり折衷案を提案すればよかった、と深く後悔する。心に大きな穴が空いてしまった。写真を見ると涙が止まらなくなる。

うると一緒に過ごした2年半、私は愛を教えてもらった。初めて、愛おしさを学んだ。
文章にしたところでうるを思い出した時の悲しい気持ちは変わらないけれど。
7月末にペットも泊まれるホテルでお泊りをすることになっている。悲しいだけじゃなくてそういった面会も楽しみにできるようになるといいな。

いつか元彼の判断で面会もできなくなるだろう。一緒にいられる時間は一分一秒、大事にして噛み締めたい。

あぁ、うるに会いたい。

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