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読書完走#527『大分断』エマニュエル・トッド 2020

分断された世界はパンデミック以後にどう変わるか。フランスの人口学者・文化人類学者が社会の分断について“教育の階層化”をキーワードに日本のメディアに語った。

自由と平等を重んじるフランスでも教育の階層化が新たな社会階級を生み出し、学業と知性の分離が既に始まっているという。社会グループの相違を観察するのに最も適している変数が今は敎育レベルなのだ。

直系家族構造における不平等を受け入れる価値観と江戸時代の特殊なヒエラルキーの2つをベースに、それと同時に能力主義があるという日本の特殊性を著者は指摘する。

グローバリズムに関しては、自由貿易が国家を崩壊させるのではなく、教育の階層化が国家を崩壊させ、それが自由貿易をもたらすという。

人口学の知見からソ連の崩壊やトランプ当選を予言してきたトッド氏から日本人へのメッセージは「無秩序を学び直す必要がある」というものだ。江戸時代には社会には、クリエイティブな無秩序さが見られたという。さて、社会はどんな方向に向かうのだろうか。