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バンクシー展があまりにも酷かった

※このnoteは『バンクシー展 天才か反逆者か』という横浜で開催されている展示会に僕が実際に足を運んだ感想ですが、特にネタバレとかの要素はありませんのでこれから行きたいと思っている方もこのまま読み進めていただいて大丈夫です。

まず最初に、僕はBanksyの才能は本物だと思っていますし大好きな作品がたくさんあります。

また、このnoteではBanksyやBanksyの作品について論じるつもりはありません。現在横浜で開催されている『バンクシー展 天才か反逆者か』についての感想です。

それでは本題に入らせていただきます。

アソビルという謎のリノベ物件

まず展示会に行く前の僕の期待はこんな感じ
「バンクシー展めちゃくちゃ面白そう」
「ストリートアートの展示会ってどんな感じなんだろう?」
「てか3/15〜9/27って開催期間めっちゃ長いな」
「会場のアソビルって建物聞いたことないな」

そう、このアソビルが諸悪の根源でした。(アソビルのプロジェクトに関わった皆さんごめんなさい)

どうやら横浜中央郵便局別館をリノベーションした建物らしいのですが、これがとても中途半端でまさにリノベーションの失敗例でした。

リノベ元物件自体の問題なのか駅からのアクセス、館内の動線、インフォメーションがとにかく最悪で、全てがものすごくわかりづらく、無理やり感がすごかったです。

建物入ってすぐの一階が飲食店街のようなスペースになっているのですが、ラーメン屋から飲み屋までぐちゃぐちゃに入居していてカルチャーの匂いや趣は一切なし。さらに躯体現しで天井高が高く照明はフードコートの如く明るいため落ち着かない。そこに漂うのはとにかく安っぽく雑多な雰囲気。

もちろんどう見てもバンクシー展には関係ないスペースだったのですぐにエレベーターを探し、バンクシー展の会場が何階かエレベーター前で確認しようとしたら、バンクシー展のポスターに「アソビル」とあるものの階数の記載がない。

後々よく見てみるとそもそもネットニュースでバンクシー展の存在を知ってWebでチケットを取ってアソビルに来るまで一度も「何階で開催されているか」が記載されていませんでした。

(もし発見できていないだけだったらすみません。けれど僕も含めたバンクシー展目当ての多くのお客さんがエレベーターホールと階段付近で右往左往していたのは確かなので、ホームページの端っこかどこかでアナウンスしているんだとしてもそこは適切な場所ではありません。)

入場時間指定で予約したのに数十人の待機列に並ぶ

結局それらしい階をしらみつぶしに回ってなんとか会場を発見しましたが、今度は謎の列。

なんとその列はバンクシー展のチケットを持っている人が並ぶ列でした。

僕は公式サイトの指示(コロナの感染拡大防止)に従い入場時間指定で予約してチケットを購入していた上、入場時間ちょうどに到着していたのでまさか数十人の待機列に並ぶことになるとは思いませんでした。これではコロナの感染拡大防止のために細かく時間指定してチケットを販売している意味が全くないです。

スタッフはドン・キホーテ系のDQN

十数分並んでいる間に会場の外の看板に目をやると安っぽい画質の粗い印刷で、チケットバーコードの読み取り後に渡された展示エリア入場証なる物は首から下げる入館証ケースのようなビニール素材の袋にペラ紙を入れたもの。本当にこんなつまらないことでいちいち気持ちを冷めさせないで欲しい。

さらに待機列付近にはハンターハンターやジョジョの脱出ゲームなどがデジタルサイネージで爆音で流されていて、派遣のアルバイトと思われるスタッフのお兄さんは金髪プリンオールバック磁気ブレスレット

なんてダサいんだ。

とにかく全てがBanksyと関係なく、アートやカルチャーとは縁遠い世界でした。

会場に入ったかと思ったらすし詰めのムービーエリア

正直この時点で展示会場内に入る前からもうすっかりテンションは下がり切っていましたが、そんなこんなしている間に僕のいた集団が入場できる時間が来たようです。

スタッフさんの説明が始まります。
全エリア撮影OK
「三脚使用NG」
「フラッシュ撮影NG」
「リュックは体の前持つ」
などなど...

ん?撮影OK?珍しいな...
なんて思いながらも案内されたドアの奥へ進むと、謎のムービーがスクリーンに映し出されている。そしてそのムービーを仰々しいレンズをつけた一眼レフを握り締め最前列のベンチを陣取りガチ撮影する集団

そのせいで部屋はすし詰め状態。
みんなコロナのことなんて気にしてないんだな...。

僕はやっぱり今は他人と長時間密着しているのは不安なので、ムービーは諦めてその部屋を出ました。(きっとこの手の映像は後日YouTubeで見ることができるでしょう)

するとさっき並んでいたスペースに出ました。そして案内されるまま進むと本会場に入場できました。(何かと動線の悪い建物です)

展示会場内も結局は写真大会になっていた

本会場内でも撮影がOKなためか多くの人がずっとスマホでパシャパシャしていて非常に鬱陶しい空間でした。(きっとその写真を見返す日はこないんだろうなぁ)

それに加えて多くの展示は「再現」ばかりで、作者の魂のようなものが伝わる展示物は見当たりませんでした。

というか大声で騒ぐ大学生の集団一眼レフで本気の撮影をしている人スマホで写真を撮りまくる人だらけで、あまり集中して作品と向き合うことはできませんでした。

最後に物販が出口ゲート前にありましたが、一人だけいるレジスタッフはスマホをいじいじ

帰り道でもちゃんとガッカリさせてくれる

僕はこんなところに何も思い残すことはないため再入場不可のゲートをためらうことなく出て帰路につこうとエレベーターへ。

その途中の廊下に雑然と置かれたファンヒーターにはガムテープが貼られ、油性マジックによる手書きで「つけたら消す」の文字。

そしてエレベーターを待つ僕、ドアが開いて出てきたのは掃除用具を台車にのせた業者さん

まとめ

はっきり言ってこの建物は展示会には向いていない

その言葉に尽きると思います。

おそらくアソビルのプロモーションをかねているのでコストが圧縮できて開催期間を長くできたのでしょう。しかし、今回の展示会によるBanksyのブランディングへの悪影響は計り知れないと思います。

なんとなく日本では、ストリートアートに社会風刺を込めるクールな覆面アーティストという印象だったと思いますが、今回の展示会に行った人は今後もその印象ではないはずです。

もちろん本人がどこまでどのように関わっているのか、また何に対してどこまで許可を出したのかなど定かではありませんが、あえて言葉を選ばず言うなら『バンクシー展 天才か反逆者か』は文化祭の展示物でした。

『バンクシー展 天才か反逆者か』 から学んだこと

僕はこの展示会での経験を通して、クリエイターやアーティストのブランディングに大きく関わる展示会というイベントづくりの難しさ、責任の重さ、UXデザインの重要性を学びました。

国立新美術館やBunkamuraで開催していれば、スタッフの教育をしっかりしていれば、撮影NGにしていれば...。

最近縁あって僕が今考えているプロジェクトについてUXデザイナーの方からゆっくりアドバイスをいただける機会があったのですが、やっぱりUXデザインって並大抵のことではないですね...。

バジェットと相談しながらお客さんに素晴らしい体験を提供するというこおtは、当たり前だけど本当にほんとうに難しいことなんだと、今回はお客さんの立場から痛感しました

だいぶ長文になってしまいましたが、ここまで読んでいただきほんとうにありがとうございました!

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