和製フェイクドキュメンタリーの系譜

昨日、ツイッターを見ていたら映画「ノロイ」を褒めるツイートが流れてきまして。

https://youtu.be/ecbGeu3eyOo
「ノロイ」は2005年、白石晃士監督の作品。
オカルトを追跡するドキュメンタリー形式のフィクション作品でいわゆるモキュメンタリー、フェイクドキュメンタリーなどとも呼ばれたりします。

この形式として海外で有名な作品としては「ブレアウィッチ・プロジェクト」が挙げられるかもしれません。
フェイクドキュメンタリー形式には観客に「実際に起きたんじゃないか?」という錯覚を起こさせる狙いがありますからPOV(一人称視点、主観映像)という撮影方法は非常に向いていて、さらに撮影者視点は予算も多少安く済むためにホラーに使われることが多いのかもしれません。

この記事では日本における「フェイクドキュメンタリー形式」の作品をいくつか、自分の知る(観た)限りで振り返ってみたいと思います。
需要はあまりなさそうですが…。

白石晃士

https://youtu.be/32W93wQOlHE
「ノロイ」を撮った白石監督のフェイクドキュメンタリーとしては「オカルト」も忘れられない作品です。
通り魔事件の取材を切っ掛けに超常的な世界に踏み込んでいくといった内容でして「ノロイ」よりさらにドキュメンタリー形式にこだわった作品。
かなり面白いのですが、残念ながら特殊効果がチープなんですよね。
雰囲気はすごくいいのにあともう少し予算さえあれば…。

https://youtu.be/b8OfpQ4k4h0
さらに「カルト」という作品もあります。
こちらはテレビの心霊バラエティという設定で、あびる優などタレントが本人役として登場。
悪霊払いに密着する中、彼女らも巻き込まれていく…という内容。
白石監督の「雰囲気はいいんだけどクリーチャーなど超常がチープ」がここでも発揮されてしまうのが残念なところ。
仮面ライダーオーズのアンク役で人気だった三浦涼介が中二病みたいな(アニメに出てきそう)霊媒師役で登場します。

長江俊和

https://youtu.be/40y1k3QO0CA
フェイクドキュメンタリーといえばドラマ「放送禁止」を連想される方も多いと思います。
一見、ザ・ノンフィクションのような密着ドキュメントでありながら画面の隅々にメッセージが隠れていたりして、それらを読み解くことで別の物語が浮かび上がってくる。
「ある呪われた大家族」や「ストーカー地獄編」辺りは非常に面白いですしホラーが苦手な方でも楽しめるかと思われます。
実際観ると予告編ほど怖くないですよ。

ドラマシリーズの他に映画も作られ、ディレクター長江俊和氏によるオリジ
ナル小説も出版されました。

「出版禁止」「出版禁止 死刑囚の歌」「出版禁止 いやしの村滞在記」と三作出ていますがシリーズものではないのでどこから読んでも問題なく読めます。
特に一作目の「出版禁止」はミステリ好きにもお勧めできるクオリティの仕掛け。
他に短編集「放送禁止」(ドラマを元にしたノベライズ)や「掲載禁止」などあるので興味のある方はどうぞ。

Youtube

さらに長江氏といえばフジの深夜枠で不定期に放送されていた「eveのすべて」がありますね。
こちら何の説明もなく女性の住む部屋の隠しカメラの映像が流れ、撮影者がそこにテロップを入れ、Youtubeにアップロードする。
隠しカメラの映像ですから当然事件が起きず、ひたすら監視カメラの映像と撮影者の怖さが滲むゾクッとする内容。
観ていた当時は長江氏の名前もなく始まったんですが、フジの深夜でこんなキモイ(実験的な)ことやるのは長江氏だろうと思ったら案の定でした。
テレビとYoutubeの連動番組でしたので今もYoutubeに上がっています。


https://youtu.be/mKVq82u_JDc
さらに近年ではYoutubeで公開されている「フェイクドキュメンタリーQ」がありますね。
こちらはYoutube用に作られた考察系ホラー。
たまにTwitterで流れてくるので知っている人もいるかもしれません。
画面をよーく観ていると、、、。
こちらもYoutubeで是非どうぞ。

他にもテレ東で放送されたフェイクバラエティ「奥様ッソ!」や番組表にすら載らなかった「蓋」
かが屋演じるYoutuberと編集者のもとに送られてくるドキュメンタリー映像の謎を暴く「この動画は再生できません」などなど、

フェイクドキュメンタリーは映像で描く表面だけではなくその裏面を考察する楽しみがあるためか深夜に放送されることが多い。
ドキュメンタリー形式にするため有名人を使いづらい(「カルト」のように本人役を演じたり、有名人の密着ドキュメントなら別ですが名のある俳優さんが演じているとドキュメンタリーとして観れなくなるので)。
さらに最初から「これはフェイクドキュメンタリーです」と堂々と謳ってしまうと興が冷めますから、知る人ぞ知る知名度はないがカルト的人気がある作品が多いのかもしれませんね。

こうしてみるとフェイクドキュメンタリーといっても大きく
・事件を追っていくうち思いもよらない世界に踏み込んでしまう
・普通のドキュメンタリーに見せて裏がある
この二種類に分かれるようです。
前者がホラー、後者が考察系と呼ばれるもの。
映画はホラーが多く、規制の厳しいテレビではやはり後者が多いですね。

いかがでしたか?とまとめるには濃く狭いマニアな内容ですが興味のある方は是非どうぞ一度どうぞ。
古い作品が多いので観るのはなかなか難しいものも多いですが。
白石監督の作品はアマゾンプライム対象のものも多いですよ。

もしこの記事の反応が良ければ海外編も書いてみます。

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