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早朝、朝陽は鞄の中身を確認する。 財布やスマートフォン、部屋の鍵、電子ノート。それから、とノートとペンを鞄に突っ込んだ。現場に行くのにこれを忘れたら馬鹿馬鹿しい。 外はまだ真っ暗だが、そろそろ出掛けなくてはならない。 部屋を出ると、鋭い寒さが朝陽の頬を刺激した。かじかむ手で鞄から鍵を取り出すが、出した拍子にうっかり落としてしまう。 しゃがんで拾った鍵には、小さな鈴のキーホルダーが付いている。本当は革製のブランド物を付けたかったが、落としても気が付けないので仕方なく安っぽく光