「刀剣男士の電報略号」(実地訓練)

 みなさーん、先生の話聞いてましたかー?
 いいですよ聞いてなくても。そのまま話し続けまーす。

 さて、初期刀5振を略号にしてみましょう。

 略号というのは、「おやま駅」も「ヤマ」、「みたか駅」も「ミツ」とせねばならないほどに識別にシビアです。現に三鷹は「ミ・タ・カ」をどう組み合わせても他と重複するために、読みに存在しない「ツ」が登板しています。無理やりな解釈ですが、「タカ→ミツタカ」と読み替えて、そこからを拾ったのでしょうか。田町という駅も「タマチ」ですが電略としては「チタ」となっています。業界用語みたいに。また埼玉県の川越駅は「カワゴエ」ですが、旧仮名遣い時代のままの「カハコエ」から「ハエ」とされています。識別に利用できるものは何でも使って電報を短く、駅名を二音に収める努力をしてきたんですね。あ、三重県の「」は開き直って「ツツ」にしてますよ。何が何でも二音。中には稀に三音の所もあります。また会社として三音で設定している所もありますが、おおよそほぼ二音です。
他にも例を挙げればキリがないのでやめておきます。念のため申しますと、全国で略号の重複する駅はいくつもあります。ただ同一の管轄下や路線内では重複のないようにしているようです。管轄は国鉄時代の鉄道管理局、現在ではJR各社の支社に相当する範囲となります。

 ここで一旦、電報略号の割り出し方法を纏めておきます。私家版ですので、他の機関が用いているものに必ずしも適用できるものではありません。ちょっと法律の文っぽくなりますよ。

【碧泉亭版 電報略号の原則】


1.文字列は公式に定められた全称の音から使用し形成するものとする。
1-1.濁音および半濁音は使用不可とし、すべて清音に置き換えて使用する。
1-2.拗音、促音および撥音にあたる音は可能な限り使用しない。
2.一字目は可能な限り全称の頭文字の音を使用する。
2-1.全称の頭文字を使用しないとき、全称が二以上に分割可能な場合は、その二以降の頭文字の音を使用する。
3.二字目は下記による。
3-1.可能な限り全称における一字目の次の文字の音を使用する。
3-2.一字目が全称の頭文字の音を使用し、かつその次の文字の音を使用しないとき、全称が二以上に分割可能な場合は、その二以降の頭文字の音を使用する。
3-3.前々項および前項をもって容易に識別できる文字列を形成できないときは、全称に含まれる一字目と別の文字の音を使用して識別可能な文字列を形成するものとする。
3-4.前項をもってなお容易に識別できる文字列を形成できないときは、以下の例外をもって文字列を形成することを可能とする。
4.形成された文字列により他のものを強く想起させる場合はそれを避け、別の文字列を形成するようにする。
4-1.この際に形成する文字列は、可能な限り全称に含まれる文字の音を使用する。
4-2.前項をもっても容易に識別できる文字列を形成しえないときは、以下の例外をもって文字列を形成することを可能とする。
5.例外を以下の通りとする。
5-1.一字目と二字目に全称に含まれる別の音を使用することができないとき、同一の音を使用することを可能とする。
5-2.全称の文字列にない文字を使用することができる場合を以下の通りとする。
5-2-1.旧仮名遣いにより容易に識別可能な文字列を形成することが可能なときは旧仮名遣いの文字の音を使用して文字列を形成する。
5-2-2.通例的に呼称が確立しているとき、その呼称の音に準拠して文字列を形成する。
5-2-3.複数の全称の音に著しい重複があり識別可能な文字列を形成することが難しいとき、一方または双方(三以上の場合はその数を限りとする)の文字列について、その全称に含まれない各別の音を使用して文字列を形成することを可能とする。

(以上です)

 というところで。おわかりいただけなくても進みます



「初期刀5振」の略号



●加州清光(カシユウ キヨミツ)
 この場合、現段階では「カシ」とするのが妥当でしょう。拗音(小さいヤユヨ)促音(小さいツ)にあたる部分は基本的に使いません。


●歌仙兼定(カセン カネサタ)
 こちらも「カセ」としてよいでしょう。濁点や半濁点は外して考えます。役所や金融機関の書類で「濁点も1文字として記入してください」ってありますよね。点字でも濁点は別枠ですよね。電報略号ではしっかり略して考えます。


●蜂須賀虎徹(ハチスカ コテツ) 
 「ハチ」で問題ないでしょう。あの有名ボカロPと同じになっちゃいましたね。あれは八十八からきてるんでしょうかね。よう知らんのですが。


●陸奥守吉行(ムツノカミ ヨシユキ)
 こちらも「ムツ」でしょう。よく審神者の皆さん「むっちゃん」呼んでますよね。私はだいたい「ムツ」で通してます。


●山姥切国広(ヤマンハキリ クニヒロ)

 で、コイツが難題になってくるんです。「ヤマ」にすればいいと思いますじゃん? 実は同じ国広作の太刀に「山伏国広(やまぶしくにひろ)」というのがありまして、刀剣男士として最初期から実装されています。どっちも「ヤマ」。これでは識別できない

 逆に言うと、ここからが電略の本領発揮でして、まあ頭のひねりどころになるわけです。

 新潟県に「越後川口」という駅があります。上越線と飯山線の接続駅で、米どころです。埼玉県の「川口」と区別するために「越後」と付けられましたが、むしろ新潟県は「越後○○駅」の宝庫。むしろ「越後田中」(飯山線、電略はチナ)も「魚沼田中」(只見線、電略はウタ)という駅と区別がされるほど。一時期の田中選手が4人いたファイターズのようです。で、越後川口は「エカ」となっています。かつては「ヱチコカハクチヱカ」だったようです。こういう例がそこここに散見されます。越後田中も苦しんだ跡が見られますね。

 そして山姥切国広です。もうひとつ問題があって、先述の「長義作」ですが、こちらも「山姥切長義」という名で実装されています。なので「ヤマンハキリ」まで重なっているんですね。多分この2振がもっとも識別にややこしさを抱えるのではないかと。

 では(また新潟県ですが)越後湯沢が「ユサ」であるみたいに「クニ」ではいかんのかといいますと、また問題があります。

 堀川国広の手になる刀として、新撰組土方歳三の用いた脇差があったという話で、こちらが刀工と同名の「堀川国広」で実装されていまして。また他にも「国〇」という刀工は多く、刀剣男士にも採用されている実績があります。

 となると、ここは号全体の頭文字刀工の頭文字を組み合わせた「ヤク」とするか、審神者の皆さんから呼び習わされている「まんば」という渾名を流用して「マハ」とするか、といった所です(撥音「ン」も基本外して考えます)。でも「ヤク」だと山伏国広も該当しうるし、高原地帯の家畜とかイケナイお薬みたいなイメージも湧くので、「マハ」にしておきましょう。よし、解決。

 え? 山姥切長義(ヤマンハキリ チヨウキ)はどうするのかって?

 それは別の文字列になるようにすればいいんですよ。幸い、実装されている長義作の刀剣はまだ本作だけです。「ヤチ」「チキ」あたりを割り当てるのが妥当でしょう。
 誰ですか、物陰で「クソっクソっ」とか言ってるのは。

 山伏国広(ヤマフシ クニヒロ)についても、審神者から「ぶし」と呼ばれていたりしますから「フシ」にするとよさそうです。

 初期刀5振も長義も山伏もまた後で出てきます。


 さあ、やり方はこんな所です。あとは各刀剣に割り振った電報略号を並べていきますよ。

 刀剣男士には公式のリストがありますので、そのリスト「刀帳」順に示します。番号が飛び飛びですが公式情報に基づくものですので「そういうもんだ」と呑み込んで下さい。

[続く]


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