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CLEフロントの評価 その2

 いろいろありましたがT. バザーナがドラフト全体1位で指名されました。良かったです。ようこそ、CLEへ‼️

 少し遅れましたが前回お伝えした通り、今回はフロントのメイン業務である、トレードとFA、そして育成(ドラフト含む)に関してCLEの現在のフロントがどう評価できるのか、考察したいと思います。


①トレードに関して

 今オフのみならず、CLEの現フロント体制がトレードがあまり上手くない、というのは今や各メディア始め共通の意見の様です。

当方がnoteの初めての記事でその点について指摘したのは3年前(月日は早いもので)でしたが、その時にはそうした評価は皆無に近かったと思います。

それはまだサンプル数が少なかったり、また売り手に回ってからの期間がまだ短かった、という事もあるでしょう。

 Xで以前つぶやきましたが、アントネッティの前任のM. シャパイロは売り手としての成功率が非常に高い人でした。

それが2000年以降のCLEのチームの基礎になっていた訳です。しかし逆に買い手に回った時のシャパイロはお世辞にもあまり上手くなく、その結果が13年間の在籍中2度しかPSに進出できなかった要因だと思います。いわゆる

「買い下手の売り上手」

と言えるでしょう。

 一方アントネッティの場合、フルシーズンで望んだ2016年以降、2018年までは買い手側にいました。その間の買い手としての動きはシャパイロと比べれば随分良かったと思います。しかし2019年以降、売り手に回りながら競争力を保ってコンテンドする、という難しい事態に直面しました。贔屓目で見るならば、それがトレード内容に反映された事は否めないかもしれません。実際2015年途中から今のフロントになって以来10年近くになりますが、完全に売り手になったのは2021年シーズン後半しかありません(だからこそ前回も引用した記事の様に他チームから評価されているのでしょう)。

 とはいえ、それでトレードの劣さが肯定される訳ではないのは当然で、やはり獲得後の育成も含めた選手の評価・見極めに何らかの問題があるのは明らかです。当方が指摘してとはんから3年の間にトレード下手が周知されてしまった事、そして変わらずに(あまり改善せずに)発揮されている事がただただ無念でなりません。

②FAに関して

 次にFA補強に関してですが、現体制になってからの主なFA移籍を列挙してみます(マイナー契約からの補強除く)。尚、引用したfangraphのroster resourcesでは2020年からのデータしか出てきませんので、その前の分含め主だったものだけ挙げていきます。

2015-16オフ

◯ M. ナポリ(1B)
◯ R.デービス
J. ウリーベ(3B)

2016-17
◯ E. エンカルナシオン(DH)

2017-2018

Y. アロンゾ(1B)

2019-20
◯ C. ヘルナンデス(2B)

2020-21
E. ロザリオ(OF)

2022-23
J. ベル(1B)
M. ズニーノ(C)

 名前の前に◯がついているのが比較的成功とされたケースですが、無惨な結果で驚いております(絶対数が少ないとはいえ)。その年のトップFAだったエンカルナシオンは別格として、それ以外でFAで成功したのが2016年と2019年、2016年CLEにはその翌年から地区ライバルのMINのフロントトップになったD. ファービーがまだ在籍していた事、そしてファービー体制下でのMINのFA成功率を見ると、いろいろ考えさせられます。

 残念ながらなぜCLEがFAで失敗し続けているか、情報がありませんでした。ただ前回の投稿でも引用した記事にもある様に、FAでの失敗を受けて組織内での育成による選手登用に変更した、というのは間違いないようです。


 資料がないので憶測は控えますがらトレードにも共通しますが、やはり選手の評価システムが気になります。

③ドラフト・育成について

 トレードとFAが前述の有様という事もありますが、現体制下ではドラフトが一番の戦力の供給源となっています。

現ロースターにおいて、短縮シーズンで指名人数の少ない2020シーズンドラフト含めて2人以上コンスタントに40人枠に輩出しています(2021年まで)。中でもビーバーやシバーレらを輩出した現体制最初のドラフトである2016年やネイラー弟やクワンを指名した2018年、そして現ローテの中心たるT. バイビーやG. ウィリアムズを指名した2021年は評価が高いです。個人的には昨年2023年や今年のドラフトも非常に良かったと思います。

ただなかなか一位指名が活躍できていないのは少し残念ですね。

 一方インターナショナルドラフトは絶対的スーパースター、ホセラミ以外はなかなか定着できていません。最近昇格して活躍しているA. マルティネスやJ. ノエルが定着してくれると良いのですが。 

 ドラフトが一番の戦力の供給源になっているのはスカウトの働きもさる事ながら、やはり定評ある投手の育成力が理由に挙げられます。一方、野手はというと、再三指摘されるようにトレード組同様苦戦しているのが実情です。それでもドラフト組が多いのはやはり一番長期的に育成できるからでしょうか。

 CLEが他チームに比してコンタクトスキルを重視しているのは有名ですが、守備に関してはインターナショナルドラフト中心に内野手はSSを、外野手に関してはCFを守れる選手を集めて来ました。しかしクワンやホセラミ、ネイラー兄以外はAVGで.250以上コンスタントに打てていませんし、ポジションに関してはSSはリンドーア以降、CFに至ってはG. サイズモア以降レギュラーを確立できていません。いろいろ探していたら昨年Cleveland.comにこの様な育成に関する記事がありましたが、この通りにできているか、またそれが良い結果に繋がっているかは疑問です。

 しかしながら昨年の失敗や監督・コーチ陣の交代を機にかなりアプローチは変わっていると思います。昨年三振率がMLB最低だったのが少し高くなって(=三振が増えて)いますが、一方でFB率が上がってその分HR数が増えており、それが今季の躍進に繋がっていると思います(7月に入ってHR/FBがかなり悪くなっているのは心配ですが…)。

ただ育成という面で見ればそうした変化によりS. クワンがHRも打てる非の打ち所がない選手になってASに選出されましたが、他に才能が開花したと言える選手は残念ながら名前を挙げる事ができません。前述のマルティネスやノエル、D. シュニーマンもレギュラー獲得とまでは言えない状況です。

 一方でいろいろな形でCLEを離れた後に新天地で才能を開花させた選手は少なくありません。昨季AL首位打者のY. ディアズ(TB)を始め、G. ウルシェラ(DET)、W. カストロ(MIN)らには痛い恩返しを今季も喰らっています😭その中でもW. ベンソン(CIN)やN. ジョーンズ(COL)のケースは先の引用記事(FAの項参照)にある様にCLEの補強方針さえ変えてしまった位ですから、フロントの受けた衝撃の大きさが伺い知れます。「CLEを出る喜び」が冗談なのか、本気なのか、分からないですね😣

今後に関して

 全般的に辛口な評価になってしまいましたが、これを受けて今後フロントに何を期待するかと聞かれれば、

たとえ苦手でも、足元見られても、トレードやFAは可能な限りどんどんして欲しい

と思います。もちろん悪い点は改善すべきでしょうし、個人的には可能ならトレードやFAに関して優れた人材を確保・起用すれば良いと思いますが(残念ながらそうした動きはまだ見られません)。

 ファンの間で先述のW. ベンソンやN. ジョーンズ、Y. ディアズの放出を嘆く声は少なくありませんが、自分がいつも思うのは、

「CLEに留まっていたとして、同じ様な成長を遂げられたとは限らない」

という事です。むしろ先述の育成の現状や、これまでの様々なケースを考えれば、

「もしCLEで活躍できずに結局DFAなどでリリースする位なら、少しでも価値があるうちにどんどんトレードすべき」

と思います。言葉が良くないかもしれませんが、投資で言う損切りが必要だという事ですね(トレードという言葉が共通する様に、投資の考えはチーム運営においてかなり役立つと思います)。ただ残念ながらB. ジマーやJ. バウアーズのケースから分かる様に現フロントはなかなか損切りができない嫌いがあります(ジョーンズらの件で拍車がかかっていないと良いのですが…)。

 今季のTDLを間近に控えていますが、まず必須なのは

自分達の戦力・価値を正しく認識する

事でしょう。先述の損切りをする為にも現有戦力の正しい評価と見極めは必須です。

前の記事でも書きましたが、

「CLEのプロスペクト(特に野手)は特殊過ぎて、トレード市場において相対的評価が低い」

です。一方でそうした選手は無価値という訳ではありません。自分は揶揄してタンパベイ・インディアンズとか、ミルウォーキー・インディアンズなどと言っていますが、チーム関係者(フロントやコーチ陣)に元CLEがいるとは言え、それらのチームが元CLEの選手を獲得しているのは以前から評価している証でしょう。トレードの際はその需要を掘り出しながら、現有戦力を少しでも高く取引して欲しいと願うばかりです。

 また先述の様に投手に関しては比較的評価が高い訳ですから、育成した投手のプロスペクトと他球団の野手の有望格とをトレードしてみたらどうかと常々思いますが、どうなんでしょうか。

 その意味では今シーズン途中でA. バンダを金銭トレードてLADに放出したのは個人的にかなりネガティブなトレードでした。長年期待されながらMLBで活躍できなかったバンダを育成してようやく使える目処が立ったのに、なぜキャッシュと引き換えに放出したのでしょうか?総じて不安定な3Aコロンバスで一番安定した中継ぎだったのに(しかも左の)。バンダは大正義ドジャースに在って貴重な左の中継ぎとして活躍しています。

 やはり足元を見られやすいのかな、と思いますが、多くの方がご存知の様にCLEはかつてM. オルソン、S. マーフィーの2人をトレードで獲得しようとしましたが、話がまとまらずに結局2人ともATLに獲得されてしまいました。両人共にOAKの選手でしたが、S. マーフィーのトレードを考えれば仮に今球団にOAKの欲しがる選手がいなくても、こ三角トレードで獲得できた可能性はあったのではないかと思います。交渉をなぜ打ち切ったのか、確かな話は分かりませんが、何とか話をまとめられる様な交渉力や発想力を発揮してくれたらな、と願って止みません。

終わりに

 球団史上初の全体1位の指名権をどう使うか非常に不安でしたが、結果として1位含め素晴らしいドラフトだったと思うので安心しました。

 トレードに関しては再三述べていますが現フロントはあまり上手くないという評価は否めず、ドラフト以上に不安ではありますが、悲願のワールドチャンピオンの為にTDLで素晴らしい動きをしてくれる事を信じて待ちたいと思います。良い意味で予想を裏切って欲しい‼️


ヘッダー画像:by Jason Miller/Getty Images

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