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【閑話休題①】Power BI vs Tableau①機能

1. 本記事の想定読者

本記事では、TableauとPower BIといったBIツールの比較に興味がある方、またそもそもBIツールにご興味がある方に向けた内容になります。

2. 調べた背景

「TableauやPower BIといったBIツールがありますが、どのような違いがありますか」といった問合せを私自身、普段の業務で相談を受ける機会が多くなってきました。社内外でのデータ活用に対する関心の高まりを感じられ、「BIツール」が改めて今とても着目されていることを感じています。

今まで社内で問合せやご相談下さった方には個別で回答していたのですが、興味・関心が非常に高い事項と考え、この度、自身で調査した内容をブログといった形で改めて簡単に整理することとしました。なお本内容はツール毎の優劣を比較するのではなく、定性的な情報を網羅的に理解するためのものになります。

3. そもそもBIってなに?

ちなみにPower BIとTableauの比較をする前に皆さん、ビジネスインテリジェンス (BI) とは何でしょうか(ちなみに私は直ぐに答えることが出来ませんでした)。

一言でいうと「組織がよりデータに基づいた意思決定を行えるように支援する行為」を指します。そのため具体的には、
 ・ビジネス分析(Business Analysis)
 ・データマイニング(Data Mining)
 ・データビジュアライゼーション(Data Visualization)
といった取り組みを行いながら、
 ・データツール(Data tool)
 ・インフラストラクチャ(Infrastructure)
といったハードとベストプラクティス(Best Practice)のソフト等を組み合わせて行う取り組みを指す、とされます。

ちょっと分かりづらいので簡単に表現すると、「自分の組織のデータを総合的に把握し、そのデータを使って非効率な取り組みを改善する。例えば市場や顧客の変化に対応した施策を実行する活動・業務」=BI、といえます。ちなみに上記の定義は、 BIの中でも、極めて現代的な考え方になります。BI とは決して近年バズワードとして生み出された概念ではないためです。

そもそもビジネスインテリジェンス(BI)は、1960 年代に初めて使われた概念で、当時は「組織内で情報を共有するシステム」を意味していたとされ、上記の考えとやや異なります。

その後1980 年代になると、コンピューターモデルと共に BI も進展していき、「意思決定やデータをインサイトに変えるためのもの」といった現在使われている意味として用いられることが多くなりました。しかし当時BIが普及しなかったのは、現在のようなBIツール(例:Tableau、Power BI)が存在していなかったためになります。

近年、データが価値がより着目される中で、信頼できるプラットフォームでデータ管理を行えるようなBIツールが多数登場したことで、BIといった概念が一般的に利用されるようになったそうです。
(出典:Tableau社「ビジネスインテリジェンスとは? BI へのガイドと BI が重要な理由」を筆者が平易にするため追記修正)。

3. BIを用いたアプローチについて

ちなみに、BI は特定のプロセスや工程を示すのではなく、自組織の成果を最大化/業務効率を最適化するために、日々のビジネス活動から得られるデータを収集・保存・分析するプロセス全体、またその方法の総称として使われています。

つまり、データ利活用のプロセス、またプロセスを実行できるツールがあることで、定性情報に頼っていたビジネス活動が、可視化されたデータをもとに定量的な取り組みで行えるようになります。このデータ分析を行う事で、誰でもインサイトを得やすくなりました。

そして、この数年でBIツールは認知され、より多くの商品が市場に出回っています。ちなみにBIツールを利用する際、データ活用のプロセスには、以下のような要素が含まれます(区分は色々とありますがここでは3stepで)。

  • データ加工・準備 :
    複数のデータソースをまとめて、データ分析の準備処理を行います。

  • データ可視化 :
    データを人間が理解できるよう、チャート・グラフ・ヒストグラム等にすることで直感的に理解しやすくなります。

  • データ分析 :
    データを可視化するだけではなく、データから新たなインサイトを得ます。インサイトを得る方法としては主に2つ存在します。

また上記のデータ活用・分析のプロセスについてを実際に行う際、大きく2点のアプローチがあるとされます。以下、私の体験を交えながら記載します。

①仮説探索型分析(探索型)

  • データを眺めて、それぞれの項目を細かく深掘りして見ます(言葉通り、データを探索する)。その中で実際のビジネス感覚と乖離した数値、想定していたより極端に大小があるデータを見つけ、その乖離した原因について仮説を構築して検証します。

  • 例えば、医者がレントゲン写真で初期の肺がんや小さい骨折などの症状に素早く気づくコツは、正常な健康体のレントゲン写真を大量に見ることです。その結果、違和感がある写真は直ぐに気付けるようになると言われています。データ分析でも同様に、特定業務やビジネスドメインで経験値が豊富な社員が、通常とは異なるデータの傾向・変化といった違和感にいち早く気付くことで、「その違和感が気のせいなのか」・「それとも何かが起きているか」を検証をして、対策を打てる等が、探索型の例になります。

  • ②仮説検証型分析(検証型)

  • データを眺める前に、そのビジネス・分析ドメインに詳しいエキスパートが集まって議論します。例えば「顧客は、〇〇の特徴があるのではないか」・「顧客は自社サービスを〇〇のように利用しているのではないか」・「〇〇の使い方をしてくれている顧客は優良顧客ではないか」・「その顧客には〇〇の攻め方をすると、売上が増加するのではないか」といった仮説を構築します。そのような仮説を立ててしまった後、データを持って、仮説が正しいことを証明していく取り組みになります。

  • 良い仮説を構築できれば、①仮説探索型分析と比べて、圧倒的に時間を短縮して成果に辿り着くことが出来ます。いわゆるコンサルティングファームが好むやり方で、一般的にはある程度の専門知識を有するもので議論すると8割程度は仮説は正しいといわれていますが、重要なのは仮説構築する際、仮説は1つに絞らないことです。仮説A、B、Cとバックアッププランを用意しておくことで、仮説構築のフェーズの手戻りを防ぐことが出来ます。

4. BIの比較調査

以下、簡単に調べたBIの機能比較になります。
(以下、筆者がブログ執筆時に調べて整理した情報になるため、取り扱いはご留意下さい。引用される場合は
・本情報はあくまでブログ執筆時点のものであること
・引用元として、本ブログ情報を明記して頂くこと
をご留意頂ければご自由に使って頂いて大丈夫です。)

表:一般的なBIツール及び分類
(今回はTableauとPower BIの比較を行います。)
表:Tableau vs Power BI機能比較
(データ加工、分析、可視化、共有のステップで
どういった機能・ツールがあるかを調べています。)
図:Tableauの特徴
図:Power BIの特徴
表:Tableau vs Power BI比較のまとめ

なおTableau vs Power BIの比較ポイントとしては、よく「どちらのツールも素晴らしいので、好みや状況に合わせて使って下さい」という落としどころになる記事・情報が多いので、今回なるべく+αの情報を提供出来ればと思っています。

そこで感じたこととして、個人的にはやはりそれぞれツールの設計思想に大きな違いがあるように感じました。以下、Tableau、Power BIの特徴を記載します。

まずTableauはキャンバスという意味の名の通り、「データを可視化する楽しさを存分に享受できる」ようになっていると感じました。例えば、
・初心者でも簡単にGUIで操作できること
 (データを可視化する楽しさを体験しやすい)
・上級者でも、自由度が高い操作性であることで
 キャンバス上でデータの深堀・探索がさらに行えること
等を感じました。つまりツールとして、初心者から上級者まで一緒のツールを操作しながらも、それぞれのニーズを満たすためのユーザーフレンドリーさを意識して設計されたツールだと、筆者は感じました。

次にPower BIは普段から業務で触っているのですが「Excelに似ているけどExcelではないBIツール」という言葉が一番しっくり来ています。例えば、
・Excelの画面に似ており、普段からOffice製品を使っていれば、
 新たに画面操作を習わず、直感的に使えてしまう
・その反面、やりたいことをやるにはExcelのマクロ的な
 初心者がとっつきにくさもある(が上級者にはむしろ使いやすい)
と感じています。

ある種、Tableauを意識されてつくられたのか、初心者には使いやすいGUIになっています。ただ中級者以降にとって、ちょっと込み入った可視化・分析をしたい際、まだまだTableauに比べて情報が少ないです(特に日本語で少なく、英語で調べて解決する必要があります)。そのためTableauの日本コミュニティの活発さと比べると、初心者⇒中級・上級者になるには、少しハードルの高さがあるかもしれません。

他方、Excelのマクロを使ったり、Accessを普段から使ったりしている人にとってはOffice製品特有の「あるある」・「らしさ」を感じられるので、むしろ親しみやすいかもしれません。

最後にまとめとして、ツールとしての優劣はそこまで無いように感じられました。ただ最終的に「どちらを選ぶか」はもちろんユーザーの好みによるのですが、私は「BIツールをどう社内で管理するか(アカウント、社内セキュリティなど)」によると思いました。

例えば、Office製品を既にライセンス契約で社内導入している会社にとって、Office 365eのライセンスであれば、そのまま無償でPower BIを使えたりします(本記事が長くなってしまったので、この辺りは割愛しますが、是非ご興味あれば調べて頂ければと思います)。

そのため、社内IT環境やIT予算からみて、最終的に社内ユーザーにどう使ってもらいたいか(スケールしたいか等)を意識した上で、どちらを導入すべきかが私は大切かなと思いました。以上、かなり長くなってしまったので、ここで終わります!お読み頂きまして、ありがとうございました。

Power BI vs Tableauは次回記事でも続きますw つづく。

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なお私がPower BIを勉強する際、いくつか書籍を購入したのですが、以下がオススメです。

なお「”Power BI王子”として活動されていらっしゃる方がいる」とPower BIを使う社内の方に伺ったのですが、以下の本を出版されていました。早速購入したのですが、こちらも非常に分かりやすかったです。上記の本がテクニック集としたら、比較的にデータドリブン系の話が多かったです。


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