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緑色の思想 : 私の意識を変えた色、元々私の内側に在った色。

今年最初に読んだ本、『いのちを纏う ~色・織・きものの思想』。
大好きな志村ふくみさんと鶴見和子さんの対話を纏めた一冊。

この本を読んで、沸き起こった緑色への想いを、言葉に顕したくなった。
ふくみさんの本にあった緑色の像(思想)を知ってほしくなった。

緑色、昔はキライな色。
カーキーは好きだったが、緑色だけはどうも苦手。
洋服を買いに行っても、いつも見向きもせず買わない色だった。

緑色、色からニオイを想像し、生理的に受け付けない色だった。

赤色、昔から大好きな色。
赤のニット、赤のTシャツ、赤の綿パンなどなど。
洋服のどこかに赤色があるだけで、嬉しくなった。

赤色、気分を高揚させてくれる一番の色だった。

2015年10月、「Be the change」というワークショップに参加した。
参加者の一人で、初めて会った人で、感性豊かな人から、言われた。

「あなたの色は、緑色」
「あなたは、平和を求めている」

緑と平和、初めて言われた言葉。

どちらかといえば、赤色と好戦的。
これが、私のイメージ。

だから、「この人、何を言っているんだろう」とその時は思った。

でも違っていた、私すら気づいていない “私” をその人はみていた。

いつかから、緑色が好きになっていた。
今私は、争いを好まず、平和を求めている。

なぜこんな風に変わったか、わからない。

仕事で資料をつくるとき、イメージカラーを考えた。

ビジネスは青系、ソーシャルはオレンジ(イエロー)系。
その間の中性を顕す色は何色か。
選んだ色は、緑色。

以前は、秋の紅葉を見る方が好きだった。
初夏の新緑を見ても、何も感じなかった。

今は違う。
秋の紅葉よりも初夏の新緑を見ると、嬉しくなる。

ふくみさんの本を読み始めてから、緑色の見方が変わった。
私を豊かにしてくれた、ふくみさんの言葉を紹介したい。

《 謎めいた色、緑色 》

この本の世界に惹きこまれていった、冒頭の文章。

緑という色は、このあいだも展覧会場でちょっとお話ししたと思いますが、一つの植物からは出せない。 (中略) 植物はもともと緑なのに、これだけ緑が地球上にあるのに、緑の色は直接出ないというのは、大変な秘密、何かあるんじゃないかなと。
( 『いのちを纏う』 P16より )


《 生命の色、緑色 》

みどり児の言葉の意味にふれた瞬間、手の中に何かの存在を感じた。

この世にあっては、生命の色、みどり児の誕生の色である。
( 『志村ふくみの言葉 ~白のままでは生きられない』 )
緑は生命の死せる像である。(『色彩の本質』(シュタイナー著)より)
( 『いのちを纏う』 P133より )
移ろいゆく生命の象徴こそ緑なのである。
( 『色を奏でる』 P47より )


《 相反する二つをつなげる色、緑色 》

「破綻の美」と「あわいに明滅する」、美しい言葉に出逢えた。
つなげるという意味があることを知り、好きになった理由がわかった。

「破綻の美」とは何だろうと一心に考えたんです。そしたら緑色が浮かんできたんです。
( 『いのちを纏う』 P118より )
ゲーテが緑は闇に近い藍と光に近い黄色を混合した時に出る色だといっている。光と闇から誕生するのが緑、緑はいのちなんです。
( 『いのちを纏う』 P16より )
生命、死、再生。死と再生は緑からきている。
( 『いのちを纏う』 P171より )
緑はその両界に、生と死のあわいに明滅する色である。
( 『志村ふくみの言葉 ~白のままでは生きられない』 )


《 別々でない二つの色、緑色と赤色 》

私の好きな色、緑色と赤色。
私の内面に在るものを映し出す色。

嬰児と赤ちゃん、緑と赤というのは表裏なんですね。もみじは春は美しい緑、秋は燃えるような赤、そして散る。 (中略) いのちと衰微というか、死と再生というか、それを一枚の葉は我々に見せてくれているのです。
( 『いのちを纏う』 P178より )


意識の変化が先か、色の変化が先かは、わからない。
ただ、はっきりわかっていることがある。

色の変化が、私の内側で起こっていた意識の変化を映していること。

今まで読んできたふくみさんの本やゲーテの『色彩論』を読み直そう。
まだ、読んでいないふくみさんの残りの本も読もう。

本を読むことで、気づいていない自分をもっと知りたくなった。
読み終えて、まだまだ知らない自分と出逢いたいと思った。

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