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東北への想い | 東北旅行記⓪

歴史から知った東北への想いが、東北を知るたびに強くなった。

東北は昔から好きな場所で、一番行きたい場所だった。その理由は、歴史の本から東北にロマンを感じ、日本のよき文化などの“匂い”を感じて好きになった。

昔一番好きな歴史上の人物は、源義経だった。なぜ好きになったかは、よく覚えていない。ただ義経にハマるきっかけになった一冊は、鮮明に覚えている。30年以上前の中学生時代に読んだ『成吉思汗の秘密』という一冊。
多くの人は成吉思汗を読めないと思うが、ジンギスカンと読む。食べ物ではない、しかし的外れでもない。中国の元(歴史で習った元寇の元)の初代皇帝の名前で、この名前に秘められた想いがこの本のラストに込められている。

「成吉思汗という名前を万葉仮名として読み下せば、成吉思汗(なるよしもがな)-むかしをいまになすよしもがなと読めないこともありませんね。この名前は和漢両様の読み方で、静御前へのみごとな返しとなっていますね。これが偶然といえるでしょうか?」

この本は歴史推理小説で、義経が平泉で死なずに北海道を経由して中国に渡って、ジンギスカンになったという「義経=ジンギスカン同一説」を推理していく。義経北行伝説の代表的な一冊。この本をきっかけに北行伝説を含めた義経に関する本は、何冊も読んだ。

それらの本を読んで、東北の歴史に興味が、好奇心が芽生えた。義経以外にも東北出身の高橋克彦さんの東北の歴史に関する本『風の陣』、『火怨』、『炎立つ』、『天を衝く』を読んで心震え、東北への憧れへと変わった。
中でも『炎立つ』を読んで一番好き歴史上の人物が、源義経から源義家に変わってしまった。義経の鞍馬寺詣でから、義家の石清水八幡宮詣でに変わった。ちなみに義家は、義経のご先祖様である。

歴史を通して、いかに東北が中央から疎まれ苛まれて虐げられてきたかを知った。普通だったら抵抗し反抗し叛逆してもおかしくない。にも関わらず、耐え忍んできた。その想いを知って東北への想いは強くなり、いつか東北を訪れたいと思い続けてきた。

2011年、東日本大震災で東北への想いが大きく変わった。

その日は、自宅で有休を取って修士論文の執筆作業をしていた。テレビの画面から、あの光景が目に飛び込んできた。執筆作業は止まり、テレビに釘付けになった。いろいろな想いが沸き立ち、いろいろな葛藤が何度も起こりながら、京都からできることをした。そして、いつか東北の復興の手伝いをしたいと想うようになった。


2014年、東北を初めて訪れた。

2014年春に東北の復興支援をしている中間支援団体の代表と出会い、その団体に関わることになった。関わってすぐの7月に東北を初めて訪れ、その年は何度も東北を訪れた。訪れる度に、「京都から来てくれてありがとう」といつも言ってもらえた。

東北を旅行した後、団体の打ち合わせに東京に寄った時の話。チェックインの挨拶で思わず、「東京に着いて気分が悪いです」と言ってしまった。東北の温かさにふれた後、東京の町を歩いて気分が悪くなり思わず言葉が出てしまった。東京が悪いとは言うのではない、東北があまりにも良すぎた。

2015年も何度か訪れたが、2016年は一度も訪れなかった。

2017年夏、一週間かけて東北(福島~宮城~岩手~青森)を訪れた。

どこを訪れるか悩んだが、どうしても行きたい場所が二つあり、そこを訪れることだけ決めていた。
一つは、石巻で開催されていた「Reborn-Art Festival」。もう一つが、旅の終着地であり念願の「日本中央の碑歴史公園」。この二つの場所については、訪れた日にそれぞれ詳しく紹介する。
それ以外は「関わっていた団体の人たちと再会したい」、「今まで訪れたことのない場所をできるだけ多く訪れたい」と漠然と思っていた。

5月下旬から関わっていた団体の人たちに連絡を取って、日程調整をしてルートが決まった。

訪れる土地や主な経由は次の通り。実際に訪れた場所は太字
福島県:いわき市
宮城県:山元町名取市石巻市南三陸町、気仙沼市
岩手県:陸前高田市、大船渡市、釜石市、花巻市、盛岡市
青森県:八戸市東北町

ルートを最初に決めた時は、八戸から東京を経由して京都に夜行バスで帰る予定だった。直前になって横浜に少し立ち寄って東京に戻って夜行バスで京都に帰ることに変えた。

この旅行の交通手段は、バス(夜行・代行・BRT)と鉄道(新幹線は乗らない)で、かなりハードな旅になった。東北にはほとんど夜行バスで行き来しているが、今回は本当にしんどかった。

7月30日(日)の深夜から8月7日(月)早朝までの、5泊9日(車中泊3泊)の旅。もう一度同じような旅をしたいかと聞かれれば、もう少し日程にゆとりをもって、ゆっくりと観光したい。
旅行記を書いて当時のことを思い出すと、また行きたくなってきた。また行きたいと想える場所が東北だと思う。

その時の旅行記を今日から8回続けて綴っていくことに。

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