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【解説】慶応理工数学2024第2問

問題

$${3}$$つのタイプのコインがある。タイプ$${\rm I}$$は,両面に$${\rm H}$$が書かれている。タイプ$${\rm II}$$は,両面に$${\rm T}$$が書かれている。タイプ$${\rm III}$$は,片面に$${\rm H}$$,もう片面に$${\rm T}$$が書かれている。袋の中にタイプ$${\rm I}$$のコインが$${1}$$枚,タイプ$${\rm II}$$のコインが$${2}$$枚,タイプ$${\rm III}$$のコインが$${3}$$枚入っている。袋の中からコインを$${1}$$枚取り出す。

(1) 取り出したコインを投げたとき,$${\rm H}$$が出る確率は [ ウ ] である。
(2) 取り出したコインを投げて$${\rm H}$$が出たという条件の下で,そのコインがタイプ$${\rm III}$$である条件付確率は [ エ ] である。
(3) 取り出したコイン$${2}$$回を投げた時に$${2}$$回とも$${\rm T}$$が出たという条件の下で,そのコインがタイプ$${\rm II}$$である条件付確率は [ オ ] である。
(4) 取り出したコインを$${2}$$回投げたとき,その結果からコインのタイプ分かる確率は [ カ ] である。
(5) $${n}$$を$${2}$$以上の自然数とする。取り出したコインを$${n}$$回を投げたとき,その結果からコインのタイプが分からない確率は [ キ ] である。

解説

確率の問題です。「どのコインが取り出されるか」「どの文字が出るか」という$${2}$$つの確率変数の相関に注意しながら解いていけばよいです。とはいっても相関は以下の遷移図がすべてでそこまで複雑ではないです。

(1)

どのコインが取り出されたかで場合分けして、$${\rm H}$$が出る確率を計算するだけです。

$$
\frac{1}{6}\cdot1 + \frac{1}{3}\cdot0 + \frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2} =\bm{\frac{5}{12}}
$$

(2)

条件付き確率の定義に従って計算すればよいです。求める確率は

$$
\frac{P(タイプ{\rm {III}が取り出される} \cap {\rm H}が出る)}{P({\rm H}が出る)} = \frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}}{\frac{5}{12}} = \bm{\frac{3}{5}}
$$

(3)

これも(2)と同様に条件付き確率を計算すればよいです。

$$
\begin{array}{ll}
&P(2回とも{\rm T}が出る)=\cfrac{1}{6}\cdot0^2 + \cfrac{1}{3}\cdot1^2 + \cfrac{1}{2}\cdot\left(\cfrac{1}{2}\right)^2=\cfrac{1}{3} + \cfrac{1}{8}\\
&P(タイプ{\rm III}が取り出される\cap2回とも{\rm T}が出る) = \cfrac{1}{2}\cdot\left(\cfrac{1}{2}\right)^2=\cfrac{1}{8}
\end{array}
$$

より、求める条件付確率は

$$
\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{3} + \frac{1}{8}} = \frac{3}{8+3} = \bm{\frac{3}{11}} 
$$

(4)

求めるのは「コインのタイプが分かる確率」です。「コインのタイプが分かる」のはどのような状況でしょうか?コインを2回投げたとき、文字の出方は$${\rm HH, HT, TH, HH}$$の4パターンです。このうち、$${\rm HH}$$はコインがタイプ$${\rm I, III}$$のどちらかで起こり、$${\rm TT}$$はタイプ$${\rm II, III}$$のどちらかで起こるため、コインは分かり(確定し)ません。一方、$${\rm HT, TH}$$はタイプ$${\rm III}$$でしか起こらないので、コインは分かります。以上をまとめると、コインが分かる条件は「タイプ$${\rm III}$$が取り出され、$${\rm T}$$と$${\rm H}$$が1回ずつ出る」ことである。これが起こる確率は

$$
\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2} + \frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}\right)=\bm{\frac{1}{4}}
$$

となります。

(5)

今度はコインを$${n}$$回投げて「コインのタイプが分からない確率」です。(3)と同じように考えると、$${\rm H}$$と$${\rm T}$$が両方出た時点でタイプ$${\rm III}$$と分かります。反対に、$${\rm T}$$のみ、または$${\rm H}$$のみだとタイプが確定しません。したがって、$${n}$$回投げてすべて$${\rm H}$$またはすべて$${\rm T}$$となる確率を求めればよいです。

$$
\frac{1}{6}\cdot1^n + \frac{1}{3}\cdot1^n + \frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^n\cdot2 = \bm{\left(\frac{1}{2}\right)^{n} + \frac{1}{2}}
$$


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