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【解説】早稲田大学理工数学2024[IV]

問題

2つのチーム$${W, K}$$が$${n}$$回試合を行う。ただし,$${n\geqq2}$$とする。各試合での$${W,K}$$が勝つ確率は$${\cfrac{1}{2}}$$とし,引き分けはないものとする。$${W}$$が連敗しない確率を$${p_n}$$とする。ただし,連敗とは$${2}$$回以上続けて負けることを言う。

(1) $${p_3}$$を求めよ。
(2) $${p_{n+2}}$$を$${p_{n+1}}$$と$${p_{n}}$$を用いて表せ。
(3) 以下の$${2}$$式を満たす$${\alpha, \beta}$$を求めよ。ただし,$${\alpha<\beta}$$とする。

$$
p_{n+2} - \beta p_{n+1} = \alpha(p_{n+1}-\beta p_{n})\\
p_{n+2} - \alpha p_{n+1} = \beta(p_{n+1}-\alpha p_{n})
$$

(4) $${p_{n}}$$を求めよ。

解説

誘導が丁寧なのでこれに沿っていけばあまり頭を使わず解けそうです。ここでは、$${W}$$の勝ちを〇、負けを×とし、全試合の勝ち負けを〇と×の記号列で表現します。1試合目$${W}の勝ち、2試合目$${K}の勝ち、3試合目$${W}の勝ちのときは「〇×〇」と表記します。

(1)

$${n=3}$$のとき勝敗のパターンは$${2^3}$$通りで、これらのパターンが起こる確率はすべて等しく$${8}$$です。このうち$${W}$$が連敗しないのは「〇〇〇」「〇〇×」「〇×〇」「×〇〇」「×〇×」の5パターンなので

$$
p_{3} = \bm{\frac{5}{8}}
$$

となります。

(2)

$${(n+2)}$$試合目まで$${W}$$が連敗しないのは、以下のいずれかの場合です。

  1. $${(n+1)}$$試合目まで$${W}$$の連敗がなく、$${(n+2)}$$試合目に$${W}$$が勝つ。

  2. $${n}$$試合目まで$${W}$$の連敗がなく、$${(n+1)}$$試合目に$${W}$$が勝ち、$${(n+2)}$$試合目に$${W}$$が負ける。

これらは互いに排反な事象だから、$${p_{n+2}}$$はそれぞれの確率を単に足し合わせればよく、

$$
p_{n+2} = \bm{\frac{1}{2}p_{n+1} + \frac{1}{4}p_{n}}
$$

となります。

(3)

隣接3項間漸化式の典型的な解法に倣って、特性方程式から$${\alpha, \beta}$$を導けばよいです。特性方程式

$$
x^2 = \frac{1}{2}x + \frac{1}{4}
$$

を解いて

$$
\alpha = \bm{\frac{1-\sqrt{5}}{4}} \\
\beta = \bm{\frac{1+\sqrt{5}}{4}}
$$

とえられます。※記述解答では特性方程式ではなく式変形で導いたふりをすればよいです。

(4)

前問の漸化式から、数列$${\{p_{n+1}-\beta p_{n}\}, \{p_{n+1}-\alpha p_{n}\}}$$はともに等比数列であり、一般項はそれぞれ

$$
p_{n+1}-\beta p_{n} =  (p_{3}-\beta p_{2})\alpha^{n-2} \\
p_{n+1}-\alpha p_{n} =  (p_{3}-\alpha p_{2})\beta^{n-2}
$$

となります。2式から$${p_{n+1}}$$を消去すると

$$
\begin{array}{lll}
p_{n} &=& \cfrac{1}{\beta-\alpha}\left\{(p_{3}-\alpha p_{2})\beta^{n-2} - (p_{3}-\beta p_{2})\alpha^{n-2}\right\} \\
&=&\cfrac{2}{\sqrt{5}}\left\{\left(\cfrac{5}{8} -\cfrac{1-\sqrt{5}}{4} \cdot\cfrac{3}{4}\right)\left(\cfrac{1+\sqrt{5}}{4}\right)^{n-2}
- \left(\cfrac{5}{8} -\cfrac{1+\sqrt{5}}{4} \cdot\cfrac{3}{4}\right)\left(\cfrac{1-\sqrt{5}}{4}\right)^{n-2}\right\}\\
&=&\bm{\cfrac{7\sqrt{5}+15}{40}\left(\cfrac{1+\sqrt{5}}{4}\right)^{n-2}
- \cfrac{7\sqrt{5}-15}{40}\left(\cfrac{1-\sqrt{5}}{4}\right)^{n-2}  }
\end{array}
$$

となります。

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