見出し画像

教えない授業の作り方

教えないってそんなことできるわけない。そう思われた方もいると思いますが、教えなくても授業は成立するんです。いや、教えない方が授業は成立すると言った方が正解かもしれません。

今回は、その方法と教えない方がいい理由についてお届けしたいと思います。

長いので目次から気になるところにとんでくださいね!


ではさっそく、っとその前に、誤解されてるといけないので補足を。

私は頭がいい教師でも腕のある教師でもありません。
その辺の学校にいるであろう。ごくごく普通の教員です。なんならすぐにドジをするタイプです。

ですので、スーパーティーチャーが教えるウルトラテクニックではなく、ダメ教員が見つけた誰にでもできるズルいテクニックです。

小難しい方法ではありませんのでご安心ください。

教えない方がいい理由

それでは、まず、方法を紹介する前に、どうして教えない方がいいのかについてお話しします。

単刀直入にいうと、教えない方が学習効率が高いからです。

この図をご覧ください。

これは、アメリカの研究結果を元にした有名な図です。

ラーニングピラミッドとよばれ、よくアクティブラーニングの重要性を伝えるときに使われます。この図が示すように、実は、講義型の授業では、学習の定着率は5%しかありません。

一見、子どもたちが真面目に先生の話を聞き、規律正しく授業を受けていたとしても、次の日には、その内容の95%を忘れているのです。

皆さんも、出張で講師の先生の講演を聞いても、次の日には、ほとんど忘れている。そんな経験があるのではないでしょうか?

ちなみに私は、いつも会場を出た時には全部忘れてしまいます(笑)

それくらい、聞くという行為は記憶に残すのが難しく、受け身的な授業は学習効率が悪いんです。

特に小学生は、この聞くという行為自体が難しい…

だから、先生は児童の関心を引きつけ、分かりやすく伝えるために、貼りものや映像教材をたっぷり準備して授業に臨みます。

ですが、上の図が示すように、このような視聴覚教材を時間をかけて準備したとしても、記憶に残るのは20%なんです。

では、なぜ記憶に残らないのか。

その答えは、自分ごととして捉えていないからだと思います。

教えるという行為は、どうしても教師が話し手、児童が聞き手という構造になってしまいます。

この構造を繰り返していると、学びは先生から教わるものという受け身的なマインドを無意識のうちに作ってしまいます。

このマインドセットが厄介で、そうなると、子どもは教師に依存し、授業も教師が問いかけたり、教師が指名したりしなければ成立しない状況を作ってしまいます…

ですから、時間をかけて授業を作り上げるならば、どうやったっら学習効率の高い「教え合い」や「ディベート」や「練習」をしたりする授業を作れるのか、そこにフォーカスを当てることが重要です。

そしてこのような方法で授業のサイクルを回しはじめると、子どもが受け身ではなく自分ごととして主体的に学習に取り組むようになります。その結果、学力が向上し、かつ先生が楽をできるのです。

大事なことなのでもう一度いいますが、先生が楽をできるのです。

では、そのような授業にするためにどうしたらいいのか。

ここからはいよいよ実践編です。

ここから紹介する授業のパターンは、いくつかの授業スタイルを模索してみて、自分なりに今しっくりきている方法なので、子どもの実態や先生のタイプによって合う合わないはあると思います。

何か言い訳みたいな言い方をしてしまいましたが…

用は、使えるとこだけ盗んでください。

では、授業のパターンとおすすめの教科について

バックワードデザイン

①「バックワード・デザイン」とは、

バックワード・デザインとは、単元のゴールから逆算しながら授業を計画していく方法で、近年英語教育で注目されています。

ゴールから逆算しながら作ることで、学習の道筋や目的が明確になるというメリットがあります。

これは、教師が単元計画を立てる時に使われる方法ですが、私はこの方法を使って、子どもたちに学習計画を立てさせています。

パフォーマンス課題とも呼ばれるこの方法は、国語や、英語、総合などがおすすめです。

では、実際にどのように授業を設計するのか、その具体的な方法を、国語の3年「きつつきの商売」を例に紹介します。

まず、単元の初めに、学習のゴールを示します。
きつつきの商売では『音読CDを作ろう』という単元のゴールを児童に伝えます。

※単元のゴールは、子どもがやりたいと思う活動を選ぶといいと思います。

そして、次に「音読CDを作るためには、何をしなくちゃいけない?」と子どもに問いかけながら、逆戻りで学習計画を立てていきます。

「音読CDを作るためには、リハーサルがいる」
「リハーサルの前に読み方の練習がいる」
「練習する前に読み方の工夫を学ぶ必要がある」

こんな感じで子どもたちと一緒に学習計画を作っていきます。

出来上がった単元計画はこのような感じです。
①学習計画を立てる
②自分なりの工夫を考える
③見つけた工夫を話し合い、工夫をさらによくする
④自分の工夫が表現できるように練習する
⑤リハーサルをし、修正する
⑥録音&単元の振り返り

学習計画さえできていれば、あとはその流れにそって、子どもが進んで話し合い、学んでいきます。

大事なことはゴールが見え、ゴールまでの道をみんなで共有しているということです。

そこができていれば、子どもは意欲的に学びを始めていきます。教えなくても授業が進んでいきます。

教師の役割は、子どもの気づきを拾い、広げ、価値づけるだけです。


反転授業

次に算数ですが、算数は反転授業がおすすめです。

先ほどのバックワードデザインは使えないの?

と思うかもしれませんが、単元のゴールの設定が算数は難しく、教科の特性上、適さないと思います。

反転授業については、こちらの記事にまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

この方法を使えば、

「予習したことを交流しましょう」
「分からなかったところを発表しましょう」
「この課題を解決できる人?」

とこの発言だけで、授業は流れていきます。

一般的な授業では、考えたり話し合ったりする活動に時間を使ってしまい、最後の練習問題の時間が取れない…そんなことが多いと思います。

私もそれを繰り返してきました。

しかし、この授業スタイルに変えてから学んだことを練習する時間が取れますし、理解の不十分な児童を個別でフォローすることもできます。

全体の学力も、大きく上がりました。

大袈裟じゃなく、本当に子どもが変わります。

あと、これは、Twitterで教えてもらったのですが、海外ではこの反転授業がかなり普及しているそうです。


仮説&検証

続いて理科は、課題→予想→実験→結果→考察の典型的な流れです。この流れで行えば、特に教える必要はありません。

いやいや、実験の準備とかめっちゃ大変ですよ?

という声が聞こえた気がしましたが…実験の方法も児童に考えさせ、準備をさせます。そこも学びだからです。

えー、それだと実験失敗しちゃうのでは?

と思われるかもしれませんが、失敗したらどうして失敗したかを学べるチャンスです。

それに実験が失敗したり十分な結果が得られなければ、実験動画を見せればいいのです。今はそういうコンテンツがネット上にゴロゴロ転がっています。

特に、NHK for Scool にはそうした動画がたくさんありますし、検索機能も充実しています。

児童が結果をまとめている時にでもパパッと探せば、特に事前に準備する必要はいりません。


調べ学習→プレゼン授業

次に社会ですが、社会は調べ学習→プレゼン授業で行っています。

単元の初めに教科書を使って、ざっと内容を捉えさせ、その後、もっと知りたいことを出させ合います。

それをまとめて学習課題を設定します。課題が多い場合は、グループごとに担当を割り振り、調べ学習をさせます。

調べる方法は教科書、資料集、図書室の本、インターネットどれを使ってもOKにしています。

ただし教科書や子ども用の本が一番分かり易いと伝え、それでも分からないことをインターネットを使って調べさせています。

そして分かったことは、ロイロノートやグーグルスライドにグループごとにまとめます。

模造紙を使うより短い時間でまとめられるからです。

最後は、グループごとにプレゼンで学びを共有したり、別のことを調べた子とペアを作って教え合いをさせたりしています。

伝える相手がいることでインプットで終わらせず、アウトプットをして知識を定着させることができます。

この方法のメリットは、調べ学習をしている間に、先生は理解を深めるサイトや資料を探せますし、手助けの必要がない時には、提出物のチェックなど別の作業もできます。


スパイダー討論

最後に道徳ですが、道徳は、スパイダー討論がおすすめです。これも別記事であげていますので、そちらをお読みください。

スパイダー討論は、授業の評価すらも児童がしますので、授業は自分たちが創るものというマインドを育てることもできます。

最後に

ここまで、長々と読んでいただきありがとうございます。よし明日からやってみようと思っていただいた方に最後に一つお伝えすることが…

それは、この方法は、1日では成功しません。

やってみたとしても、最初はきっと失敗します。

おいおいなんだそれは!とお怒りの気持ちは分かります。

しかし、残念ながら教えない授業に変えるには、すぐ効く特効薬はないんです。

なぜなら、子どもたちはこれまでの教育で、すっかり受け身的なマインドセットになっています。そのマインドセットの中、この方法を行っても、きっと初めはうまくいかないと思います。

では、どれくらいかかるの?ってことなんですが、最低2ヶ月は必要です。

2ヶ月というのは、人が習慣を獲得するのに必要な期間だからです。

授業もパターンを決めて2ヶ月続けると、子どもたちに方法が定着し、見通しを持って活動できるようになります。つまり習慣化します。

もちろん子ども任せにやればいいというものでもなく、この2ヶ月間は楽ではありません。

どうしてそういう方法をするのかを何度も話し、
できてない時は具体的にアドバイスを繰り返します。

そうやって、習慣化とマインドセットを変えていくことで、子どもは教わらなくても自分たちで学んでいくことができるようになります。

結局大変なのかと思われたかもしれませんが、2ヶ月間トレーニングをすれば、後の10ヶ月は授業で教える必要も授業の準備をする必要もほとんどなくなります。

そして、何より子どもの学びが加速します。

教師が楽をして、子どもが伸びるんです。

教えない授業を目指して、楽して得をする授業をあなたも一緒に模索して見ませんか?

Twitterには、その他の細かいテクニックをツイートしています。よければそちらもご覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?