小学校の下校前に10分間取り組んだら、先生も子供も保護者もwin-win-win
これまでの経験の中で、下校前にやってよかったことが2つあります。
今回はその1つを紹介します。
それが『10分間の宿題タイム』
※実際は「宿題タイム」ではなく「プレ学タイム」とよんでますが、めんどくさいので宿題とします
これをすると、学校も子どもも保護者も楽になるので、ぜひ最後まで読んでいってください
『宿題タイム』の方法は、ただ10分間宿題をするだけ。たったそれだけです
これ、100%子どもは喜びます
「よっしゃー!!ありがとうございます!!」
「マジで!?最高だぜー!」
と、きっと教室が湧きます
なぜなら子どもは『 宿 題 が 嫌 い 』だから
宿題なんてさっさと終わらせて遊びたい
これが子どもの本音
では、なぜ子どもは宿題が嫌いなのか?
いろいろな答えがあると思いますが、
以前子どもにとったアンケートの結果では、
・やらされ感がある
・やり方が分からない
・解き方が分からない
・他にやりたいことがある
この4つが主な原因でした
そしてこれらを変えるために始めたのが
『10分間の宿題タイム』です
子どものwin
これをすることで、
・やらされ感がある→自分のためにやる
・やり方が分からない→やり方が分かる
・解き方が分からない→解き方が分かる
と宿題嫌いの原因の3つを変えることができます
詳しい方法は、
まず、帰る前に10分間の宿題タイムを作る
いろいろ試してみた結果10分がベスト
帰る前にやる理由は2つあります
1つは“今日の学びを復習するため“
ハーバード大学の研究によると、
「1日15分復習するだけで、
10日後の学習パフォーマンスが23%あがる」
という研究結果があります
下校前は忙しいのでこれを10分に短縮
10分なら子供の集中力も高い
もう1つの理由は、“宿題の続編化“
何事も最初の一歩が大変なんです
そこで、10分間だけやることで、
「続きがやりたい!」という気持ちをかき立てる
さらに、宿題のスタートを学校ですることで、どこをやるか、どうやるかの見通しも持たせることができる
次に、10分間何をするか
これは子どもに選択させてます
選択肢があることで、自分はこの時間に何をしたらいいかを考え、学習計画を自分で進めることができます
課題については、私は週に一度、漢字と算数のミニテストをしています
その範囲だけを伝え、あとはどう学習するかは、子どもに任せます
ただし家庭学習の習慣もつけてほしいので、毎日40分以上の学習計画を自分で考え、連絡帳に書かせています
課題の出し方は、葛原先生の『けテぶれ』が参考になります
まだ読んだことがない人はぜひ一度手に取ってみてください
宿題タイムでは、漢字や計算のドリルをする子もいれば、自学をする子もいます
苦手なことや難しい問題にチャレンジする子もいれば、家でじっくり考えたいからと、すぐできることを先にする子もいます
自分で計画を立てることで、学ぶことが自分ごとに変わり始めます
そして、もう一つルールがあります
それは、誰と一緒にやってもいいというルール
1人で黙々とする子もいれば、友だちと一緒に取り組む子もいます。学び方も自由。
そうすることで、友だちのノートを参考にしたり、学び方を真似したりすることができます
また、難しい課題を友達と相談することで、解き方の見通しを見つけたり、自分にもできそうという自信を持つことができます
勉強に不安を抱える子が安心して勉強のスタートを切ることができるんです
先生のwin
次に、先生はこの宿題タイムで何をするかというと、学び方の指導をしています
日付や番号、ノートの余白の使い方、誤字のチェック、字の丁寧さなどなど。
そして、それだけでなく、間違えた問題への分析や練習の仕方、一人一人に合った勉強方法もアドバイスします
普通これらの指導は、宿題提出後に行うことが多いのではないでしょうか。
私も、休み時間や給食時間に添削してました
昼休みに子どもを呼び止めて指導してました
ただ、休み時間は子どもは遊びたい!
だから指導も入りにくく、付箋を貼って後で直すように伝えてもなかなかやってくれない子もいました、、
しかし、下校前の宿題タイムで、学び方の指導をしてからは、提出物のチェックが圧倒的に楽になりました
休み時間は子どもと遊ぶ余裕ができ、子どもに居残りをさせて、直しをする必要もなくなりました
つまり、これまでのやり方は『非効率』だったんです
昔ある先輩に「指導は後ではなく先に行え」と言われたことがあります
宿題も同じです
宿題を始めたその瞬間なら、子どもは聞く耳を持ってくれますし、今から生かそうとします
だから、どんどん吸収して学び方が変わっていきます。そして、学び方が変われば、結果にもつながるので実感が湧き、その実感は自信に変わります
保護者のwin
ここまでくると、宿題が『やらされごと』から『自分ごと』に変わります
つまり、マインドチェンジができるんです
そして、宿題マインドがチェンジすると、子どもや先生だけでなく、親も楽になります
「宿題やったの?」や「勉強しなさい」というセリフを言わなくても子どもが勉強するように変わります
宿題タイムを始めてから、懇談で保護者から
「先生に受け持ってもらってから、子どもの学び方が変わりました」
「言わないとやらなかった子が、今では自分から勉強するようになって驚きました」
とよく感謝の言葉をいただくようになりました
もちろん、全ての子どもがすぐにそう変わるわけではありません
しかし、そういう子どもの姿を目指して、学び方の指導や宿題の価値づけを続ければ子どもは変わります
少し話は変わりますが、以前6年担任の時、ベテランの先生に「子どもに答え合わせをさせたら、答えを写す子がいるから先生がしなくちゃダメよ」と注意されたことがあります
この言葉に、すごくがっかりしました
なぜ子どもが答えを写すのか、なぜ宿題を片付けるものとしてやっているのか、その根本的な問題にフォーカスしてないと感じたからです
子どもから答えを取り上げて、強制的に学ばせるよりも、自分で学べる力をつけるために、学び方を指導することが、本来教師のすべきことです
宿題という漢字は、家の中でやらなければならないお題と書きます。
そもそも言葉にやらされ感や片付け感が生じているんです
何をするか、何のためにするか、宿題ではなく家庭学習という価値観へのマインドチェンジが子どもにも教師にも保護者にも、必要なんです
僕が『宿題タイム』ではなく、『プレ学タイム(家庭学習の準備タイム)』と読んでいるのはこのためです
そして、宿題だと、与えられた課題をこなせば終わりになりますが、家庭学習で大事にするのは、時間と習慣です
『学問の経済学』いう本には、
1日1時間の勉強と1時間の読書習慣を続けている学生がもっとも学力が高いという研究結果が紹介されています
宿題を出さないという人もいると思いますが、学習習慣は作ることは将来にもつながります
もちろん学習習慣は本来親の役目です
ただ様々な家庭がある中で、
全ての子に学習習慣を身につけさせてあげること
これが、教員が子どもに贈れる大切なギフトだと考えています
そして、その習慣づくりやマインドセットのために、毎日下校前に10分間を使えば、子どもが変わり、結果として子どもも先生も保護者も楽になります。子どもが学習者として自立するからです
最後に
ただ、ここまで読んでいただいた方の中には、『時間がない』という悩みもあると思います。
たったの10分でも下校前は忙しいですし、6時間目が専科だと授業を短縮するのも難しいと思います
だからこそ、宿題をどう捉えるのかという問題は、学校全体で話し合う必要があるんです
その中で、様々なエビデンスを検証しながら、「朝学よりも下校前の学習タイムに変えてみよう」とか、「時程を見直してみよう」とか「そもそも宿題の出し方を変えてみよう」とか、そういう話ができたら、先生も子どもも保護者もwin-win-winな学校に変わっていくと思います
ぜひ、あたりまえを見直し、一緒に一歩ずつ学校を変えていきましょう!
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