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ハモニカ工場の事。

毎年5月、自分の誕生日が近くなると、同じ記事をアップしている。
だから、8回目、もしかしたら10回目ぐらいで、あきあきしている人は気にしないで飛ばして下さい。

それでは、はじめての人、こんにちは。そんな人に向けて、書き直します。

タイトルの「ハモニカ工場」は早乙女勝元さんの小説で、30年も前に映画化の許可をいただいて、まだ30年の間、まだ映画に出来ない状態が続いています。

毎年、この話を書いているのは、少なくとも映画は「撮りたい」「撮りたい」と騒ぎ続けないと、「撮れない」と分かってるから。

今、早乙女さんからいただいた手紙を読み返すと、湾岸戦争の時代だったことを思い出す、そして今は違う戦争が始まっている。

面白がる事ではないけど、中国ではコロナの影響で色んな箇所でロックダウンに近い状態が続いていて、餓死しそうだというニュースが流れ、別の場所では戦争のニュースが流れ・・・

これほどドラマチックな世界にいて、映画が持つ力というか、どんな映画が、より現実を超えられるのか、現実の辛さを忘れさせてくれる映画とは何か、考えてしまう。

「ハモニカ工場」はどうなのか。

物語の舞台は1954年、不景気で、まだまだ日本が貧しかった時代、ハモニカ工場で働いている主人公の青年の給料は6000円弱、それも、1日も休まず、遅刻も早退もせず、1ヵ月まるまる働いての金額で、そのお金は、貧しい家庭に全額入れている。

しかし、同じ工場で働く、好きな女の子の誕生日が1ヵ月後と知った彼は、工場の仲間たちの協力、上司の会社への説得で、1日1時間の残業をさせてもらう事が出来、彼女にオルゴールをプレゼントすることを決意する。

時給35円、毎日働いても1000円にも満たない金額だけど、彼女の喜ぶ顔が見られるなら・・・

物語は、そんなプレゼントを買うために残業する主人公と、彼を取り巻くハモニカ工場の仲間たちに色々な事件がおき、それぞれが成長する、というか、精一杯生きている姿が描かれている。

映画化するにあたっては、映画を見終わって、自分も、もう少しだけがんばってみよう、とか、そんな気持ちになれるような作品になったらと思ってます。

30年前ほど前の僕は、当時助監督をやっていたドラマに出演していた、緒形直人、渡部篤郎、西島秀俊、矢野泰二… さんたちをハモニカ工場で働く仲間たちに勝手にキャスティンしていた、ヒロインは工藤夕貴か、若林志穂…

みんな、おじさん、おばさんになったし、引退した人もいる。「ハモニカ工場」の話をし、出演していただきたかった田中邦衛さんは亡くなってしまった。

もっとも僕が一番老人になってしまった。


30年前に山田洋次監督からいただいた「まじめな、きちんとした脚本です」という、言葉を信じて、まだまだ、映画化を諦めてません。

と言う事を、毎年書き続けてます。

昨年のnoteです。↓


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