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2021年のテック企業プラットフォーム競争の版図(前篇)

2021年第1四半期末までに、各大手テック企業プラットフォームはすでに大部分のユーザー、路線、ビジネスモデルを分割し尽くしている。今となっては、ゼロから「プラットフォーム型の会社」を作ることはほぼ不可能。資本市場もそれを意識しており、今やスタートアップの主戦場はコンテンツやブランド側に移行している。

したがって、現在は有史以来、テック企業プラットフォームの競争構造が最も安定している時期でもある。なぜなら、増加量は限られており、大局はすでに決まっているからである。バイトダンスがテンセントを転覆させたり、PDDや美団がアリババを転覆させたりすることに期待を寄せる人もいるが、このようなことは数年以内に成し遂げることは不可能だ。変化の激しい「非定常状態」から、変化の遅い「定常状態」へと移行しつつある。現在の競争構造は、今後3~5年、さらにはそれ以上の期間、ほぼ維持される可能性が高い。

「テック企業プラットフォーム型」(プロダクト型、コンテンツ型を除く)企業とは何かについて、市場では様々な定義がある。
今回では、「プラットフォーム型会社」の定義について詳しく述べる。

テック企業プラットフォームのユーザー属性別「5つの輪」

テック企業プラットフォームには、ユーザーとビジネス化という2つの自然な属性がある。ユーザーは収益を得る基盤であり、ビジネス化はユーザーから収益を生み出すプロセスである。この2つの自然な属性から、テック企業プラットフォームを異なる階層と「輪」に分けることできる。
まず、ユーザー属性から始めよう。

テック企業プラットフォームのユーザー属性は次の2つの次元に分けることができる。

1、ユーザー基数:
プラットフォームを使用するユーザーの総量で、MAU(月間アクティブユーザー)、DAU(デイリーアクティブユーザー)などの指標で測定することができる。ECプラットフォームにとってもAAC(Annual Active Consumer)は重要だ。VIP有料ユーザーは、コンテンツプラットフォームにとっても重要な指標となる。
2、ユーザーの粘着性:
プラットフォームのユーザーの魅力や「代替不可性」を指す。
しかし「ユーザーの粘着性」を正確に測定することはできない。これには、ユーザーのアクセス率、1日あたりのオープン回数、1日あたりの使用時間、有料ユーザーの割合、DAU/MAUの割合、再購入率/継続率など、多くの指標が複雑すぎるためである。異なるタイプのプラットフォームのユーザーの粘着性を直接比較することは難しい。例えば、抖音のユーザーの時間はタオバオよりはるかに長いに違いないが、「タオバオのユーザーの粘着性は抖音よりも劣る」と簡単かつ乱暴に導き出すことはできない。我々は各指標を総合し,、おおむね信頼できる結論を出すしかない。

ユーザーベースを横軸とし、ユーザーの粘着性を縦軸とすると、主流のテック企業プラットフォームを「5つの輪」に分けることができる。

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1、覇者:
ユーザー基数とユーザー粘着性の面ですべて最高水准に達したのはその名に恥じない覇者。これまではテンセントとアリババの2社しかなかったが、現在はバイトダンスによって新たに1社増えた。これら3社の覇者はいずれも少なくとも2つの目玉アプリを保有しており、圧倒的多数のバーティカル市場で自社アプリを保有しており、完全なエコシステムを形成している。想像し得る未来では、新しい会社が覇者の仲間入りをする可能性は極めて低い。
2、過去の覇者:
ユーザーの基数は膨大で、しかしユーザーの粘着性が弱いプラットフォームは、過去の覇者。このような企業は、PC側からモバイル側への移行中にミスを犯したかモバイル時代に競合他社によってビジネスが大きく侵食されたかのいずれかです。百度、新浪(微博を含む)、360はいずれも昔の覇者行列に帰することができる。中でも百度はここ数年の刻苦奮闘によって、この輪から外れる傾向にある。
3、覇者候補:
ユーザー基数は覇者に次ぐが、ユーザー粘着性も覇者に次ぐプラットフォームであり、我々は覇者候補と呼ばれている。候補覇者のビジネスは覇者と比較して一般的に単一であり、ビジネスドメイン拡大に努めているが、完全なトラフィックやビジネスエコシステムを備えていない。美団、拼多多、快手、京東、滴滴出行は典型的な覇者候補である、これらはすべてテンセントから投資を受けており、そのうち1社(滴滴出行)はテンセントとアリババから同時に投資を受けている
4、バーティカル諸侯:
あるバーティカル市場の中で支配的な地位のプラットフォームを備えて、垂類諸侯。外部勢力が縄張りに攻め込むことは困難であり、他のバーティカルへの拡張も困難であった。このサークルはさらに2つのカテゴリに細分化することができる。垂直型コンテンツプラットフォームと垂直型ECプラットフォーム。それらの前には3つの道にほかならない。
①コストをかけずに拡張して「圏外」を図る戦略。典型的な例はBilibili。
②バーティカルのビジネス化の潜在力を掘り下げる戦略。典型的な例はBaikeや汽车之家。
③ある覇者の生態系に溶け込んで経営レバレッジを獲得する戦略。典型的な例は閲文集団。
5、迷い諸侯:
このようなプラットフォームは一定のユーザー基数があって、しかしいかなるバーティカルはすべて支配地位を占めていない。ユーザーの粘着性はあるが、必要不可欠な存在ではない。ビジネス化された収益が十分でなく、評価額を上げることが困難であるため、既存の状況を打破するために十分な資金資源を確保することも困難である。このような迷い諸侯にとって、覇者や覇者候補の懐に入ることは、最も現実的な選択であり、問題は誰もが覇者に編入される資格を持っているわけではないということである。

上記の分析フレームワークは非常に単純化されており、多くの特殊な状況を無視していることに留意しなければならない。例えば、多くのユーザー基数が大きく、ユーザーの粘着性が極めて低いツール類プラットフォームが存在している。一部のプラットフォームでは、ユーザーの粘着性が異なる時点で大きく変化する。また、APPではなく会社単位で分析を行っているので、同じ会社内の異なるAPPの違いを無視してしまいがちである。これらは重要ではない。なぜならフレームワークはもともと単純化されたものであり、私たちの思考を導くツールだからだ。読者は、私たちのフレームワークの限界に注意すればいいだけでよい。

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(2021年4月2日に市場価値が最も高い中国のテック企業)

下記の記事を一部抜粋し日本語訳しています。

同内容記事は下記の中国インターネット業界の歴史の振り返りにも繋がっているので併せてご覧ください。

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