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FF9ファンによる黄金のレガシーをプレイした感想

FF14の大型拡張パッケージ「黄金のレガシー」が6月28日にアーリーアクセスを迎えたのでプレイをした。
以下、大いに
・シナリオの文句
・7.0MSQのネタバレ

などを含むので、ネタバレが嫌な方や、「好きなコンテンツや制作者に対しての苦言」を見て、気分を害してしまう方は見ないほうがいいかもしれません。

黄金のレガシーをやった感想は、ストーリー自体は可もなく不可もなかったけど、「自分の大好きなFF9の世界を、物語を、音楽を、フリー素材にされて苦しかった」に尽きる。

前情報から今回の拡張はFF9がモチーフになっている部分があることは察しがついていました。
プレイヤータウンの地名が、「ソリューション9」、FF9の主人公、ジタンの必殺技の名前であることも公開されていた。
アートワークには一切のFF9の雰囲気がなく、「このソリューション9はテラにあります」と言われてもなんか腹立つなと思っていたくらい。

でも、紅蓮でドマ城とよばれたIDを、「ここが必殺剣・烈というダンジョンです」って言われても意味わからないし、劇場艇プリマビスタと同じで関係ないけどちょうどいい名詞引っ張ってきたんかな、雑だな~。というのが事前の印象でした。

では実際ふたを開けてみてどうだったか

序盤はほとんどFF9の影を感じなかった。
ウクラマト、ただ継承の儀の手伝いを探すためだけに単身遠くのエオルゼアにまで乗り込んで来るだけの行動力がありながら、生まれ育った国の文化をなにも把握してない上に、アホ、というキャラ付けのおかげで、プレイヤーにとっては10のうち3言ってくれたら十分な説明を、15くらい尺取ってやらないとウクラマトが知って好きになってくれないのであまりに長くてダルいなとは正直思いました。
まじめに読んでたら「ラマチの南トラルフィールドワーク」で20時間以上かかったのには笑ってしまいました。
ウォーラーの残響で、だれかの記憶に残っている限り人は死ぬことはないという死生観が出ましたが、これはFF9ぽさを出しているのかな?と思いましたがここでは特に思うことなし。
(FF9では、肉体の死がその人の死であるという死生観ではありますが、死後、クリスタルに人の記憶がかえり、潜在的に受け継がれていくことでより高度な精神をもった生命を生み出すといった設定がありラストダンジョンでそれが語られています。)

問題は北トラル大陸に渡った後です。継承の儀もさくっと終わりました。(ウクラマトとコーナ、長兄が居ないことの心配とかしないんでしょうか、常人なら血筋があるにもかかわらず義弟妹に王位継承で負け、メンタルボロボロだろうな、大丈夫かな…ってなりません?)
さておき、目的も果たしたし暇だしノリで行くことになった北トラル。
突如として現れた紫のドームから、出演するゲーム間違った感じのデザインの兵士がトライヨラを襲撃します。50人も虐殺したそうです。それをなんともいえない顔で眺めるこれまた出演するゲーム間違えたみたいな感じの女の子。

一体なんなんだと向かったドームの中からが本当に最悪でした。

先ほどの虐殺を坂の上から見ていた女が、FF9の世界観とは似ても似つかないデザインの服の女が、FF14に合うようにアレンジされたわけでもない原曲ママのFF9の曲を背負って、ようこそ新生アレクサンドリア連王国へ、ときた。

もちろんわかってます。これはFF14であってFF9ではないので。
別のゲームですし、このアレクサンドリアはFF9のアレクサンドリアではないと。
しかしファン心理には、到底「わぁFF9モチーフだ!うれしいな☆」と思えるものではありませんでした。
どう喜んでいいのかわかりません。
FF9で主人公たちが命を懸けて守った世界の名前を騙った国が、今度はFF14の主人公の世界の人間を虐殺する敵対存在になっていることが。
明らかにFF9を意識したアレクサンドリア城下町の街並みが、原作で敵の襲撃を受けた後よりもボロボロにされ、生きている人間はなく敵対モブが配置されていることが。
しかもそのような無残な姿にされた原因の一端が、共に戦ったはずのリンドブルムという国のせいになっていることが。

過去作のキャラクターや名称、世界観をお借りする以上、その作品へのリスペクトは必要ではないでしょうか。FF過去作品はFF14のフリー素材集ではない。

FF9という作品を好む人たちの多くが、デフォルメのきいたかわいらしいデザインや、世界観、死と向き合ってなお他人を思いやり次の世代につないでいくことを考える、やさしさにあふれたキャラクターと物語、美しい言葉や音楽のひとつひとつを好み、好きなFFタイトルとして9を挙げています。
(お世辞にも画期的なバトルシステムだったわけでもない、もっさりとしたターン制のバトルで、ひたすら盗んでドラゴンしばいてチョコボで穴掘ってカエルを取るゲームです。)

そんなFF9というゲームのファンにとって、
愛した世界観を完膚なきまでに破壊して、心優しいヒロインが大切な人の死や理不尽な侵略を乗り越え納めた国を、真逆の侵略国家として描きラストダンジョンとして攻略させるのが「ファンサービス」でしょうか?
ファンサービスではないのであれば、なぜ使ったのでしょうか?

私は純粋にうらやましいです、ドマが。クリスタルタワーが。
原作では死んでしまったカイエンの息子と同じ名前のキャラクターが、帝国の圧政にも負けず立ち上がりドマを引っ張り、徐々にかつての姿を取り戻すように復興していくのが。
クソ長いラスダンだったシルクスの塔が希望の象徴のように美しくあり続けるのが。

なぜアレクサンドリアだけ、他人の犠牲の上に永遠の命を求める存在を王に据えられた上、プレイヤーの手によって完全に滅びるといったストーリーにされなければならないのか。

最後のフィールド「リビング・メモリー」では、かつてないほど、異常なまでにFF9という特定の作品から流用されたモチーフ、音楽、地名がありましたが、上記のようなストーリーの上にどれだけ「FF9っぽいやつですよ」とお出しされても、皿が汚いので料理もまずいです。おいしい料理を泥だらけの皿にのせられて不快感さえ感じました。

挙句の果てにFF5からの流用キャラであるクルルが、アレクサンドリア出身ということになり、原作通りのクルルマイアバルデシオンを名乗ったときは、心の底からげんなりしました。ガラフと血縁じゃないだけでも、えぇ…って感じなのに

ではさんざん文句を言いましたが、
じゃあどうしてほしかったの?と聞きたい方もいるのではないでしょうか。

FF9を使うな。オリジナルでやれ。

それだけです。

何度でも言いますがFF過去作品はFF14のフリー素材集ではない。
地名も名前もセリフもデザインもシナリオも、コンテクスト抜きで好き勝手に都合よく切り貼りしていいとは私は思わない。


話の最終盤になって突如現れたみんな死なないでほしいタイプのメーティオンみたいなラスボスと、
黄色いアーモロートみたいなフィールドで「ふ~ん今回もこんな感じなんだ」って感想しか出なかったと思いますけど、こんなに無理やりFF9をねじ込まれるよりは100000000000倍はマシな感想になったとおもいます。

オマージュなんて95IDの1ボス「フェザーサークル」見て「うわフェザーサークルさんwwwメイワクテイルだwwww」ってなるくらいでよかったのに。オズマだっているし。
これから先、エキルレにいけばアレクサンドリアにとどめを刺すことになり、モブが湧いたり黒鉄鉱取りに行くたびに朽ち果ててモンスターの巣になったアレクサンドリアが目に入り、蛍光色の髪でサイバー風カジュアル衣装に身を包んだアレクサンドリアの国民に装備交換してもらったり、闘技場で沸いてる姿見るのかと思うとシンプルに萎えます。

追記(7/4):
ネットの片隅の独り言のつもりでしたが沢山読んでいただけてるみたいなので追記をします

これはFF14であってFF9ではない、なのでFF9の14なりの新解釈として楽しむといった楽しみ方もよいでしょう。
ですがこれは拡張のメインクエストであり、サブクエストならNot for me なのでパス!ということもできましたが、そういうわけにもいきません。固定とかあるし。MMOなんで。IDも避けて通れない。

かつてこのゲームのPDである吉田氏は「FF14はFFのテーマパーク」とおっしゃっていました。なので過去作オマージュをするなとも言えません。
過去作オマージュするならそのままやれとも言ってません。そのままやりたかったら原作やります。ディスクもアーカイブスもiosもSteamもSwitch版も持ってますので。
ですが、ディズニーのテーマパークであるディズニーランドにいってシンデレラ城が滅び朽ち果てていたら?紫のメカメカしい機械で覆いつくされていたら?
アンダーザシーの曲にのせて地上の人間撃つアトラクションやりたいですか?私はちょっと悪趣味で嫌です。

私は感情をかき乱されることが「すごいストーリー」だとは感じません。
誰だってそこそこ好感度の高いキャラを虐殺されればショックで、感情がうごきますがそれはよくできたストーリーですか?
今までに滅びたり死んだりしたキャラはFF14のキャラですからFF14の好きにしてもらえればいいですけど、FF9の世界観はFF14の所有物なんでしょうか…?

私はFF9は完成した物語だとおもっているので、FF14の運営の「新解釈FF9」をプレイしたくて拡張のパッケージ代と月額を払っているわけではなくFF14をやりにきてます。なので、今回のFF14のやりたかったストーリーのためにFF9を捻じ曲げて利用し犠牲になる形を取るのであれば、一切触らないでほしかった。
いくらFFナンバリングシリーズといえども、今まで各々独立した世界観とストーリーでやってきて、過去作をやっていないと理解度に差が出るような構成にするべきではないし、(もし自分がFF9未プレイだったら97IDやソリューション9を見て、近未来SFっぽいネオンの輝く大都市の王女の大事にしている国の姿が石畳とレンガ造りの中世のお城と遊園地みたいなきらきらカワイイ系の街なのはあまりにマッチしてなさすぎて疑問しか浮かばないと思います。)
かつ、テーマーパークを称してオマージュするなら、壊したり嫌な目に合わせたりするのではなく、知ってればニッコリできるくらいのニュアンスで、よいものとして残せなかったのか。
FF9の名称やセリフを使わないとできないストーリーでしたか?
今回のストーリーにはそう感じざるを得ませんでした。

追記(7/19):
クリアして20日経った。
まだ嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌でしょうがない。
エキルレ行ってアレクサンドリアだったら抜けたくなるけどそんなこと出来るわけもなく苦虫かみつぶしたみたいな顔してエキルレしてる。(というかエキルレでアレクサンドリアに当たりたくないので誘われない限り行ってない。)
アルカディアも実装された。
ここでもアレクサンドリア人とかいうワードが出てきてマジで嫌だった。
魂が腐って病気になって死ぬまで魔物の魂注入するアレクサンドリア人って設定、もうなんか喧嘩売ってるんかなって1周回って面白くなってきた。
テラより倫理観終わってて草。

テラですらそんな民の娯楽のために融合や魂の選別をしていないし、本来は文明が発達していない、精神と呼ばれるものをもつ生命体のない無垢で新しい星を選んで融合を重ねてきて、どう頑張っても該当する星が見つからず立ちいかなくなった結果ガイアと融合を計ったのであって、他の星の命の循環に割り込み取って代わるということは究極の魔法「融合」をもってしても難しいことは実践前に理解する程度の倫理観や想像力、生命の循環への研究と考察があったわけですね。
(取り込まれる側のクリスタルに蓄積された記憶の「死への恐怖」という反発が起こるからですね。ここは個人の考察も多分に含まれていますが、ペプシマンとして揶揄されがちな9のラスボス「永遠の闇」はクリスタルに蓄積された数多の「死への恐怖」という記憶そのものが召喚した召喚獣のようなものだと思うのです。)

根本的に思想が違う世界の闘技場(明確にレギュレーションが引かれているしそういうものとして運営されている所)にノコノコ乗り込んでいって「魂を使った興行には賛成できない」て。偉くなりましたね。じゃあそのまま生身で戦って死んでくださいwって言われないの優しい。
あなたたちにとっての「生きる」ための記憶再生装置シャットダウンしてきた侵略者のためにレギュレーション変えてくれるのもやさし~~。

黄金自体はそこまで面白くなかったけどストーリーは面白くなくても正直よくて、友達と遊ぶのが楽しいものだったのに9要素のせいで見るものすべてに文句ばっかりになっている自分も悲しい。本当になんで9独自の名称とデザインとセリフと音楽をこんなストーリーに貼り付けたんだ…。

ジタンとガーネットのミニオンが実装されて、やっと9のミニオンだ~!(ギギは違う)ずっと出してよっかな~!!!とか思ってた自分が馬鹿らしい。
せっかくだし黄金はジタンの服ミラプリしてアーリーやろっかな!!?!?あ、でもガーネットのミニオンは正式リリースまでもらえないのか~じゃあやめとこ~って踏みとどまって本当によかった。
プレイヤータウンもヘリテージファウンドも、ジタンとガーネット(の人形とはいえ)には見せたくないからいちいちテレポ前にミニオンしまうのシンプルにゲームとして不便なので結局出してない。どんな顔して実装したんこのミニオン。


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