アガット

日が落ちていくにつれて、ホッとしていることに気づいた。
お昼間が苦手なのかもしれない。

いつもは会社に行って、帰ってくるころには暗くなっているから気づかなっかった。あれはあれで自分にとっては悪くはなかったのかもしれない。

ベランダからの目線では大きな建物(詳しくは知らないけれど宗教系の施設らしい)がピンクに染まっている。色水に溶かした透ける赤に近いと思う。
その近くに浮かぶ雲は同じような赤色で、輪郭は青かった。若い夜の色だと思う。

小さい頃、雲は白いと思っていて、描くときにどうしたらいいか分からなかった。黒い線で縁取るしかなかった。そういう子供だった。

そんなこと思うのは、視界に学校が映るからだろうか。
白い壁が所々黒く汚れている。その窓から、顔をのぞかせて昼間の街を羨んだ時を思い出す。

今は夜が来るのをじっと待っている。


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