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フロントエンドコーダーからの目線

きっかけは下記tweetだった。

どうやら、メンバーそれぞれから見えるボジションを意識すればいい仕事ができる、というような主旨らしい。
この図はとてもキレイに配置されている。
あいにく最下流開発工程であるフロントエンドコーダー目線は、これほどスマートに見えてはいないものだ。

フロントエンドコーダーから見えている風景を、ざっとここでお伝えしたい。


コンパクトなパーティ

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中小企業のサイトリニューアルや簡易なEコマース、小規模在庫管理システムなどの場合のパーティ。
当社のようなフロントエンド・コーディング作業へ発注する余力ある案件。なにせおカネ出さない零細企業は、社内の事務員が片手間で自社サイトや販売管理DBを作ってたりする。

発注社が何をしたいのかダイレクトに教えてくれるから、最終納品物はそうハズれた仕上がりにはならない。
コーディングしていて
「これ、先般社長がやってほしいって言ってた内容と、ちょっとズレてるんじゃないかなあ」
などと思いながら作業を終えると、後日たいていやり直しや大幅補整が来る。
「やっぱりなぁ...」
などと思いながら、また作り直す。
コーダーなんぞには、サイトやシステムの軌道修正発言の機会など与えられることなど、まずないのだ。

わざわざコーダーへ外注する案件だから、たいてい短納期か「そんな動作できまへんで」なむちゃくちゃ仕様要求なケースも、割とある。

一生懸命な人たちが一生懸命頑張って作って、できあがったら一生懸命わが社に役立てよう!と、パーティメンバーも一生懸命で、大体けなげな印象。


標準的な開発パーティ

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ソフトハウスやSES(システム・エンジニアリング・サービス)紹介で入ってくるフロントエンド・コーディング案件の標準パーティ構成。POSのような販売管理端末のときもあるし、ロジスティクスや小規模Eコマース、アプリ更新のときもある。
当社はゲーム関連の開発案件に関わったことがない。ゲーム系開発は、パーティ構成が少し違うかもしれない。

言われたとおりのコーディングをすれば当社側の仕事はおしまい、のことが多い。
フロントエンドをわざわざ外注に頼むぐらいだから、なじみのソフトハウス発注でもなければ、たいていは例によって短納期。稀にプログラマが片手間で「スマホ表示用・タブレット表示用に」などと軽い気持ちでreactなどを組んでしまいクチャクチャで収拾つかなくなったソースのお片付けに駆り出されたりもする。

発注社がなにをしたくてこのシステムを発注したのかは、要件定義書以外からは分かることは殆どない。
要件定義書すらないことも。
なので
「こんなまどろっこしいシステム作って、なにかお客さんの会社、改善するのかなあ」
などと思いながら、黙々とコーディング・プログラミングを進めてゆくこともある。

稀に発注担当窓口と直接やりとりする機会もあるが、話の端々から受ける印象は
「いやー御社ご経営のかたが欲しがっているのは、そこじゃないんじゃないッスか?」
なことが多い。
コーダーなんぞには、システム軌道修正発言の機会など与えられはしないし、手戻りの火種をわざわざこちらから焚きつけることもないので、黙々と作業をこなし納品検収することになる。

納品したコードにあまり愛着がわかなくなるのは、この規模あたりから。


ローンチ直前にバタつく大所帯パーティ

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JV(ジョイントベンチャー)やSI(システム・インテグレーター)からみの大規模長期開発などであるあるパーティ。
当社ていどの規模だとJVから直接発注が来ることはなく、JV →SI →大手SES →小規模SES or ソフトハウス 経由でお仕事いただける5次請けケース。

センターの居ないEXILE/AKB状態。
誰が何の職分受け持っているのかを把握するのに、やたらと時間がかかる。
船頭が多い。
スケジュールはキッチリしていて、順当進行なんだか炎上中なのかもよくわからない。
やり直しなどはまず滅多にないし、補整指示・変更指示もだいたい順当。


当社あたりに落ちてくるコーディング作業はたいてい大規模システムの1部品ていどなので、一体このコードがどうなって発注社の役に立っているんだか、次第に考えないようになる。

1年ほど後「最近ヒットしているWebサービス」などとTwitterあたりで騒がれ始め
「あれ?これ去年納品したやつじゃん」
になることがある。
「ああ、このサービス、最近よく見かけますね、ウチもちょこっとだけ末端を作らせてもらったんですよ」
と営業トークのネタていどには使えることがある。


フロントエンド担当者が見えている現場理解の一助となれば幸いです。

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