NTTdocomo通信障害(復旧とこれから)

はじめに

10月14日午後5時ごろより発生したNTTdocomo(以下、ドコモ)の通信障害は、15日までに4G・5G通信は回復されたが、3G通信の障害が依然として残っていた。
16日までに3G通信の障害もすべて回復したものの、総務省は今回の事案を重く見ており詳しい経緯を報告するよう、ドコモに求めている。
総務省の統計によると、2021年3月(2020年度第4四半期)時点で携帯電話事業者別シェアで第一位の約40%を占めていることから、今回の事案は広範囲に甚大な影響を及ぼしたものと推測される。時系列にまとめながら、整理しよう。
(でも、詳細は以下の記事を)

時系列整理

画像1

(https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2110/16/news031.htmlより引用)
端的にまとめると、
①10月14日午後5時ごろ 通信障害発生
②10月14日午後8時ごろ 全国規模の通信障害は復旧(依然としてつながりにくい状態続く)
③10月15日午前5時ごろ 5G・4Gはすべて回復
④10月15日午後2時ごろ ドコモ副社長らが記者会見→3Gの復旧について具体的に言及せず
⑤10月15日午後10時ごろ 3Gも復旧
という流れになる。

①通信障害発生

【原因】
タクシーの電子決済機器や、自動販売機などの契約者のデータや位置情報を管理する専用のサーバで、新しいものに切り替える際、新しいサーバに不具合が生じたためとしている。不具合に対処しようと古いサーバーに登録し直そうとした際に、タクシーの電子決済機器や自動販売機からの情報が一気に大量に流れたために、古いサーバーでも再び不具合が生じてしまった。

直接的な障害はネットワーク工事の予期せぬトラブルと切り戻しに失敗したことが起因していると考えていいのかもしれない。
ただ、二次的な原因として次につながる。

②全国規模の通信障害復旧を発表

直後、通信量が3倍に増え通話や通信が利用しづらい状況となった。
この段階ではドコモ側では全面復旧の意図はなく、あくまで「一部復旧」をうたっていたようだが、マスコミやエンドユーザにはうまく伝わっていなかったようだ。そのためパケットの輻輳を生んでしまった。

影響範囲

ドコモ側の発表では日本全国のMVNO利用者含む約200万人としているが、あくまで位置登録ができず、圏外になってしまった可能性のあるユーザに限られており、そのユーザも含めると200万人以上となることは想像にたやすい。
報道ベースではあるが、
・タクシー車載の電子決済機器
・ライブの電子チケットが表示されなかった
・カーナビシステムがつながらない
・ドコモサービスを利用したシェアサイクル
など日常的に浸透しているサービスにまで広範囲に影響が及んだ。

この後の動き

通信事業者を所管する官庁総務省は、10月15日の閣議後記者会見で金子総務大臣が次のように述べている。
(冒頭発言:NTTドコモの通信障害)
「 原因はネットワーク工事にともない、通信量が増大したためとの報告を受けておりますが、通信障害の詳細な原因や影響を受けた具体的な範囲については、現在、NTTドコモにおいて調査中と聞いております。
  国民生活の重要なインフラである携帯電話サービスについて、このように大規模な影響を及ぼす障害が発生したことは大変遺憾であります。
  総務省としては今回の事態を重く受け止めており、NTTドコモに対し、通信障害の原因を究明し、速やかに報告を求めるとともに、利用者への対応や通信障害の再発防止に万全を期すよう要請をしているところでございます。
  今後、NTTドコモからの報告なども踏まえ、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。
  詳細は、総合通信基盤局にお問い合わせください。」
と経緯を報告するよう要請しているとした。
また、電気通信事業法の重大事故にあたるかという質問に対しては、ドコモからの報告を受けて判断するとした。
一方で、電気通信事業法では重大事故にあたる場合、事業者に報告義務を課しており、事前に報告を求めていることから異例と見えそうだ。

※電気通信事業法 第28条 業務の停止等の報告
電気通信事業者は、第八条第二項の規定により電気通信業務の一部を停止したとき、又は電気通信業務に関し通信の秘密の漏えいその他総務省令で定める重大な事故が生じたときは、その旨をその理由又は原因とともに、遅滞なく、総務大臣に報告しなければならない。
(「重大な事故の報告」については以下を参照)

おわりに

通信障害が発生した2日間、私は在宅勤務であったためほとんど影響を受けなかった。
ドコモの障害に限らず、昨年の東京証券取引所のシステムダウンしかり、あらゆる分野で通信ネットワークはもはや社会インフラとなっている。
在宅勤務もWifiがつながるからと安心しがちだが、VPNなんかが使えなくなったら業務に支障をきたす。
いずれにしても、リスク分散の観点から、事業者としてできること、国ができること、ユーザができること(電子決済ツールのほか、現金も少しはもとう)を、それぞれ再認識する機会となった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?