#05-くすむ霞ヶ関、輝く六本木
くすむ霞ヶ関
ある平日の夜。生きるための労働を終えた人びとは布団を被る。帰宅してからの時間、家族と団欒を囲む者もいれば、ひとりで部屋の壁を見つめた者もいただろう。今日を生きた実感と疲れが、被った布団に吸収されていく。
霞ヶ関のオフィスは煌々と灯りを漏らす。「第四条、〇〇」、日本語ワープロソフトに新しい文字が刻まれる。今国会で提出される法案らしい。彼らのいるオフィスは明るい。そこに布団はない。フロアに無数にある蛍光灯は確かに輝いている。でも、それらのオフィスが集う霞ヶ関の