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プリキャプチャンス・プリパラ1話

・それは少し前のお話。あたしがプリパラであの子達と一緒に踊った時の話。
「かしこま!初心者歓迎ライブにようこそ!」
「ゆめ大切な思い出を作ってね!」
そう言って初心者歓迎ライブで一緒に踊ってくれたあの二人は……もういない。
「……探さなくちゃ」
それがあたし、そみあの使命だった。


第1話:あたしはそみあ 神アイドルを奪還する者


キラ宿。プリパラで神アイドルを生んだとして女の子達の憧れの町になった場所。
「……ここが……空気が違う……」
プリパラゲートをくぐってキラ宿に足を踏み入れる。
「めが姉ぇさん、真中さんの家って知ってる?」
「真中さん?……検索します。……ごめんなさい。プリパラアイドルに真中って名前の人はいませんでした。システムでーす」
「……そ」
検索結果がないことは分かっていた。だからこそあたしがここにいたわけだし。
「……じゃあやっぱり足で探さないといけないか」
「あ、そみあさん!」
「……何?」
「分かってると思いますけどここのプリパラは夕方6時までの営業となっています」
「……あと2時間くらいってわけね。それまでに何とかして見せる」
プリズムストーンショップを後にする。
あたしの目的は消えてしまった神アイドル・真中らぁらを探す事。
神アイドルだからもちろんかなり有名な女の子なんだけど、でも今女の子達の記憶からは消されてしまっている。
プリパラそのものって言ってもいいあの子をプリパラの誰もが忘れているんだ。
「……そんなのってないよ」
思わず感情に揺らぎが出てしまう。……落ち着かないと。
「……女の子がよく集まりそうな場所……そんなのプリズムストーン以外にあるのかな?」
街を歩く。この時間だから女の子って言える年齢の女性はなかなか見当たらない。
でも、ちらほらとは見かける。
「……そうだ。学校だ。この時間女の子達は学校に通ってるんだ」
盲点だった。でも制服を持っていないあたしが行って大丈夫なところなんだっけ?
「……確か過去の記録で学校に入るには制服って言うのが必要だったと思うんだけど……」
考えても仕方がない。とりあえず女の子達の来た道を逆に辿ってこの近くにある学校を探す。
15分ほど歩いてすぐに見つかった。大きな建物だった。
「……ここが学校……」
思い切って足を踏み入れようとした時だ。
「そこのあなた!」
「え?」
声を掛けられた。見れば茶色いポニーテールの子があたしに向かってきていた。
「あなた、見ない顔ね。ここの生徒じゃないみたいだけど。他校の生徒が入るには許可証が必要よ」
「……」
この声、聞き覚えがある。……確か、南みれぃだ。プリパラの時と全然違う。
「ねえ、あなたみれぃでしょ?」
「え、そうだけど。もしかしてプリパラで会ったことあるとか?」
「……会ったことはないの。でも、聞いたことはあるから。今、何してるのかなって」
「何って……風紀委員の仕事よ。それが終わってからあの二人と一緒にプリパラよ」
「あの二人って?」
問うあたし。再び声が届く。
「おーい、みれぃ。まだ終わらないの~?」
「ドロシー、みれぃはお仕事中だよ?」
「……あれは、確かドレッシングパフェの……」
「そう。ドロシーとレオナ。私は今あの二人と一緒なのよ。……シオンが武者修行から帰ってこないから」
「……ソラミスマイルは?」
「は?何それ。どこのチーム?聞いたことないわ」
「…………そう」
それをあのみれぃから言われると正直堪える。真中らぁらがいないのだから当然なんだけど……。
「……ちょっと何泣きそうな顔してるのよ……」
「あー!みれぃが女の子泣かしてるぞー」
「ち、ちが!……第一あなた名前は?」
「……そみあ」
「そみあ……やっぱり聞いたことない名前だわ。誰から私の事を聞いたの?」
「……別にあたしはあなたに会いに来たわけじゃない」
「……あ、そう」
「やーい!みれぃのやつ振られてやんの!」
「ど、ドロシーってば」
「……二人とも、悪いんだけど先にプリパラ行っててくれないかしら?まだ長引きそうなのよ」
「えぇ~!仕方ないなぁ。じゃあそこのあんた」
「……あたし?」
「ちょっと僕達に付き合ってよ。あんた髪型とかシオンに似てるし振り合わせるのにちょうどいいかも」
「……あたしは東堂シオンの代わりじゃないんだけど」
と言うか時間ないんだからあまり余計なことはしたくない。
でも、この二人に真中らぁらや夢川ゆいについて思い出させる事が出来るなら……
「……いいわ。ドレッソングパフェになってやろうじゃない」
「……それはちょっとㇺかってきた。吠え面かかせてあげるよ!」
「……ドロシー流石に悪役すぎるよ……。そみあちゃん、よろしくね。私、レオナ」
「僕ドロシー。ドロシー様って呼んでもいいよ?人気投票一位だったし?」
「……あたしに勝てたらね。あたしが勝ったらそみあ様って呼んでもらうから」
「……あんた負けず嫌いなんだな」
この生意気さ、気に食わない。でもあたしの目的のため、まず最初にいけにえになってもらうんだから……!」


プリズムストーン。
「あら、そみあさん。まだ2時間は経過していませんよ?」
「いいの。先にこの二人から片付ける」
「むか。何さ、その言い方!レオナに手出したら許さないからな!」
「そみあさん、分かってるんですか?」
「……分かってるから言わないで」
後ろでうるさいのが騒いでる。それを機にめが姉ぇに口裏を合わせるようにした。
「プリパラチェンジ!!」
ゲートを潜ればそれぞれプリパラ専用の姿に変身する。
尤もあたしもウェスト姉弟もコーデ以外に変化はないけど。
「あれ?」
「……何?どうかした?」
「……いや、あんたその顔……」
「……何よ」
「……いや、見間違いか」
「……」
もしかして気付いた?少し侮れないかも。
「それよりライブよ。早くなさい」
「言われなくたって分かってるしいちいち仕切るなよもう!」
「ドロシー、リラックス~」
この二人、特に姉の方はダメダメに見えるけど侮れない。あのゴッドアイドルの一人だ。
わちゃわちゃうるさい上に3分の2であってもそこらの3人チームじゃ歯が立たない程の実力者に間違いない。
「じゃあ誰が一番いいねを集めたかで勝負だよ」
「いいわ」
「曲は……ガムシャランホイでいくよ」

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ライブが終わった。結果はあたしもドロシーも負けた。
正確に言えば、
「あ~もう!レオナってばずるいよ~!!」
「ご、ごめんね。でも勝負に手加減は出来ないよ……」
一番いいねを集めたのはレオナだった。
「そみあちゃん、また一緒にライブしようね」
「あ、うん。……ところで二人とも何も思い出せない?」
「何さー!」
「……えっと、私達何か忘れてるかな?」
「……思い出せないならいい」
北条そふぃがソラミスマイルの時に使ったメイキングドラマを使ったのにピンとこなかったみたいだ。
これは北条そふぃについても調査が必要なのかもしれない。南みれぃはこの二人と組んでるみたいだったし。
「待たせたぷりね」
「あ、遅いぞみれぃ」
「お疲れさま、みれぃ」
「あ、その子と一緒だったぷりね」
「……」
「あ、どこ行くぷり!?」
「……疲れたから帰るだけよ」
「……そ、そうぷり?お疲れぷり」
……さっきまでと全然違うキャラで正直反応に困る。
「あ、そみあさん」
「ゲートを開けて。もう一回外に出る」
「駄目ですよ。プリパラに戻ってきてしかもライブまでしたんですから……」
「……そう」
今日はもうどうする事も出来ない。時間の無駄だった。
いや、北条そふぃにも何かしらの影響があると分かっただけでも収穫はあったか。
「……明日またあの学校に行くことになりそうかも」
後ろ向きな気持ちであたしは踵を返した。