契約はいつ成立するのか
こんにちは! 高山です。
寒さも本格的な今日この頃、私は元気ですが、元気な時こそ、いろいろ(体力、気力、もろもろ)蓄えておかねばなと気を引き締めております。
さて、前回から民法改正に絡んで、不動産に関わりの強いところを書かせていただいています。
「契約不適合責任」という考え方の登場により、
ひとつひとつの契約の個別性がより重要視されるようになりましたが、
そもそも「契約」って、どういうときに成立しているんでしょうか。
「そりゃあ、契約書交わした時だよ!!」
はい。もちろんその通りです。
ですが、私たちは生活の中で契約書なんかいちいち交わさなくてもたくさんの契約をしています。
「リンゴをひとつくださーい」
「100円です」
はい、契約成立です。
このように、一般的に「売買契約」は口頭による合意だけで成立します。
売ろうという売主・買おうという買主がいて、
双方の意思の合致があると売買契約が成立します。
これを「諾成契約(だくせいけいやく)」と呼びます。
承諾したら成立するんです。なので、「売買契約書」なんてなくても、押印してなくても、
契約は成立していることになります。(保証契約など、一部書面によらなければならないものもあります)
しかし、不動産などの大きな買い物で契約書を交わさないようなリスキーなことに
あえて挑戦する方はほとんどいませんね。
契約書というのは、あとあとになってから「言った、言わない」「こんなはずじゃなかった」を
できるだけ少なくするためにも大変重要なわけです。
その「契約書」の中身の重要性が、このたびの民法改正によって更に強まることになります。
どんなに売主が買主に伝えていて、買主も知っていたとしても
「契約の内容に適合していない」
となれば、
〇目的物の補修、代替物の引渡し又は不足分の引渡しを請求(追完または修補請求・改正により可能に)
〇代金の減額を請求(代金減額請求・改正により可能に)
〇損害賠償請求
〇契約の解除
を追求することができるわけです。
となれば、契約の目的や、価格についての根拠などをなるべく事細かに契約書に記載するのが
リスク減につながると想像できます。
「この土地・建物の状況は以下のとおり。これらの条件であるため、〇〇〇万円にて売買契約を締結する」
というように、目的となる不動産の状況の説明と、
「だからこういう内容の契約なのだ」ということを明確に示す必要があるわけです。
逆に言えば、その契約書の内容が、紛争の際には非常に重要になり、
裁判所の判断に大きく影響を与えることは想像に難くありません。
「契約書に書いていないじゃないか」もしくは
「契約書にしっかり書いてあるぞ」ということが起こりやすくなります。
アメリカに代表される「契約社会」に、日本もどんどん近づいてきているということでしょうね。
(遅いという考え方もあるでしょうが)
不動産の売買において私たちゼロノワ不動産が仲介等で携わる際には、
当たり前ですが、宅建業法で定められた重要事項説明をし
法律で規定された内容を記載した書面を交付(一般的には契約書を兼ねます)するわけです。
契約書の内容がボリュームアップするということは
重要事項説明に要する時間も、契約書を確認する時間も
それだけ多くかかることになります。
ゼロノワ不動産では、これまでも売主買主双方が納得いく契約をという観点からも
それらの書面を説明する時間は多くかかるほうだと思います(2時間くらいがほとんどです)
もしかすると、聞いているだけでおなか一杯・・・だったり
もう文字が入ってこない・・・なんてくらい、疲労感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、やはり大事なことですから、
「ここは読んでおいてください!」
なんて乱暴なことは、これまでももちろんですが、これからはもっと、できません。
契約書に記載されている内容がより一層重要になる今、すべての方の不利益につながる恐れがあるからです。
長時間をいただく重要事項説明や売買契約ですが
重要なところはしっかり押さえつつも、なるべく飽きない、良い時間になるようにと
これからも精進し続けます。
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