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複数のルールで打つことのメリット・デメリット【麻雀】

年末にマーチャオに行って以来、久しぶりにフリー雀荘に行った。

「麻雀Bucks」は雀ゴロKさんのお店だ。
実戦レポートと思ったことを。

麻雀は統一ルールがない

「麻雀Bucks」は開店当初は点⑤だったが、今はいわゆる歌舞伎町ルール(条件付き東南戦)のみで営業している。

麻雀と一言で言っても、サンマ・東風戦といった大きな枠組みから、赤や一発や裏ドラ、祝儀のアリナシ…と、重要なシステム。そして途中流局はあるかどうかなどの細かいルールが存在する。

チェーン店でない限り、100の雀荘があったら100のルールがある

「団体間で統一ルールを決めないと未来はない!」
という意見をたまに見かけるが、いろんなルールがあることが麻雀の魅力の1つだとも言える。

それぞれのルールがそれぞれに面白いので、実質的な統一は不可能だ。

さて

【無料】あなたはいくつあてはまる?真・麻雀強者6つの条件【麻雀】

この記事で、強者の条件の1つとして「ルールを選ばない」という項目を挙げた。

断言すると、ルールを選り好みする強者はいない。
麻雀は対応のゲームだ。
常に変化していく手牌・場況・点棒状況に対応して、よりよい選択を続けていく必要がある。強者は例外なく対応力が高い。ルールも1つの変化である。
新しいルールと対峙した時にどう打つと有利になるのか、どういう戦略をとると勝てるのか、普段打っている麻雀と違うポイントは?ということをひたすら考える。

私はいろんなルールで打つことが好きだ。

東天紅サンマから学ぶ

私はこの3日間「東天紅サンマ」をその道の猛者たちとみっちり打ち込んだ。

「東天紅サンマ」は1m5m9m北がガリ(抜きドラ)となっているので、通常のサンマよりさらに使う牌の種類が少なくなる。

使う牌の種類が少なくなるとどうなるのか。
決着順目が早くなるのだ。3巡目には大抵誰かがテンパっている。

つまりは圧縮性・濃密性が高い。
麻雀の余計な贅肉を削ぎ落としているようなものだ。

私は仕事も予定も全てほっぽり出し、ただただ東天紅サンマを打ち込んだ。若い時は毎日こんなんだったなぁと懐かしい感覚になった。

さて、この東天紅サンマでも学びはあった。
・絞りの大切さ
・1回のツモの比重の大きさ
・1牌のシビアさ

などを学んだ。

本編じゃないので深くは解説しないが、1つだけ例を出すと

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こんな手で8sが出たら、ほとんどのルールで「ポン→打4p」とする一手だが、東天紅サンマではその選択は悪手となる。

ツモ番をパスすることのロスが大きい。

3pツモが超激痛(ツモるとアガリ点が2人からもらえるため)
ガリの抽選をパスしてしまう
3pやガリの他にも有効牌は複数ある
鳴くと相手の手を1手進めてしまう

これを見ても信じられない人が多いかもしれないが、東天紅を打ち込んだ人はみな、口を揃えて「スルーが明確に有利」と答えるのだ。

たしかにもっと圧縮性を高めたバンブー麻雀(チンイツ麻雀)で相手にツモ番を回したら半分近くツモと言われてしまう。

こうやって普段と違う麻雀で学んだことは、普段の麻雀に活きたりする。
普段の麻雀だって鳴くよりツモの価値が高い場面だってあるし、絞りが有効になる場面もあるからだ。

いろんな麻雀を打つことが全体的な雀力の底上げにつながる…と言いたいところだが、そんな簡単な問題でもない。

経験の少ない人にとって、いろんなルールで打つことは害悪になりやすい
対応しろ、と言ってもそもそもの軸がないからだ。

だから、ヨンマ→サンマ、東風→東南といった大きな枠組みへの移動はなるべく避けたほうが良い。

強くなりたいのであれば、まずは軸を形成することが先決である。

どんなルールでもいいので1つのルールに絞り、ひたすら実戦を繰り返す。
インプットとアウトプットと積み重ね、浴びるように同じ麻雀を打つのだ。

Mリーガーの共通点

近代麻雀に連載中の漫画「追憶のM」も、昨日(3/1)発売号で7話目になる。

しおざき忍さんの素敵な絵に支えられ、来月の多井プロで8人目。
これで各チーム1人ずつ取り上げたことになる。

私はこの漫画の原作を担当しているのだが、原作を書く際に各Mリーガーに電話取材をさせてもらっている。
取材していると、笑っちゃうくらい共通点が多いことに気付く。

・学生時代の成績は優秀
頭の良さは麻雀とあまり関係ないと思っていたが、勉強ではなく地頭の良さは関係しているのだと感じた。

・麻雀にハマって学業がおろそかになる
これまでの8人は、例外なく学生時代に麻雀にハマっている。
おそらく他のMリーガーや麻雀プロのほとんどがそうだと思われる。

逆に言うと、めちゃくちゃ強くなるためには、学業がおろそかになるくらい、若いうちに麻雀にのめり込む必要があるのかもしれない。

・どこかで落ちこぼれる
今は華やかなMリーガーでも、何かしらの闇はある。
そこからの奮起で今につなげるのが「追憶のM」の王道パターンになりつつある。

さて、なんで唐突に「追憶のM」の話をしたかというと、どのMリーガーも打ち込みが半端なく「打数は正義」の証明になるのではと思ったからだ。

ただ、最近では戦術書や動画が充実していて「私はネマタ本で強くなりました」という人も(少数だが)存在するので「打数は正義」という考えは古臭くなっているのかなと思った時期もあった。
座学中心でも強くなれるのだ。

しかし東天紅を打ち込んだり、Mリーガーを取材して、やはり麻雀で強くなるためには、人間を辞めるかのように打ち込む時期が必要なんだと思い直した。

とはいえ、いくら打ち込んでも強くならない人もいる。

何が違うのか。
ただ惰性で打っているのと、打ちながら考えている人の差ではないだろうか。
後者は「どっちを切れば受け入れが広いのか」から始まって「危険度」や「打点」といったメリット・デメリットを考慮に入れ、常に雀力向上を意識している。

このように考えながら1つのルールを打ち込むと、やることが大体決まってきたな…という段階にくる。
もちろんそこからの上積みはあるんだけど、0から80まで強くなったのにそこから80.1…80.2と地道に積み上げていくような感じになる。

その段階にきてようやく座学や他の麻雀を打つことが有効になるのではないか。

このルールでは、普段売っている「軸」と何が違うのか。
どういった特色があるのか。

そういう事を考えながら打つことで、新鮮な体験をしたり、新たな知見を得られたりする。


「軸」があってこそ調整が可能になるわけで、まずは「軸」の構築が大切になるということだ。

どんなルールでもいいが、特にオススメなのがサンマだ。

来月号の近代麻雀に、寿人プロの思考に迫った内容の小冊子を書いたのだが、寿人プロは普段サンマで稽古をしているという。

サンマは精神と時の部屋のようなものだ。

牌と人が圧縮され、選択の連続になる。
手がぶつかりあい、ボーッとオリる局が少ない。
甘い打牌がとがめられる比率も高くなる。

サンマを打ち込み、基本的な手組みや押し引きを身につけるのが雀力向上の最短距離ではないかと思っている。

さて、この前置きの後にバックスの実戦レポートを書こうと思ったが、長くなってしまったので次回にしよう。

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