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雀荘のクラウドファンディングについて【コラム】

本日は雀荘のクラウドファンディングについて感じたことを書いていきます。
麻雀業界に広く自分の意見を聞いてほしいと思ったので半分以上は無料で読めるようにしました。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、群衆(cloud)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。インターネットを通して個人の活動や夢を発信することで、共感した人や活動を応援したいと思ってくれた人から資金を募る仕組み。

歴史としてはかなり古く、かなり昔からあったらしい。

「◯◯したいけど、お金がないので賛同してくれる方は少しずつでいいのでお金ください」
クラウドファンディングというとかっこいいけど、ようは「募金」だよね。

日本でも「赤い羽根募金」が、私の小学生の頃からあった。
あれも一種のクラウドファンディングと言える。

しかし、ここまで広く浸透し、日本で一般の人が気軽に使えるプラットフォームができたのは2011年のこと。
歴史としてはかなり浅い。

人は初めてのモノ、わからないモノには拒否反応を示す。
「クラウドファンディング」も同じで、最初は「なんか怪しい」「乞食がやること」「サギっぽい」と、なかなか浸透しなかった。

契機になったのかは不明だけど、大きかったと語り継がれるのがお笑い芸人の西野さんがクラウドファンディングを始めたことだ。
2013年に「ニューヨークで個展を開きたい」というプロジェクトで531万を集め、その後も1年に1回程度のペースでクラウドファンディングを進めて、現在までに総額2億円以上のお金を調達してきている。

当初は西野さんがクラウドファンディングをやることに対し「芸人がそんなみっともないことやるな」「西野も物乞いまで堕ちたか」などと周りからも非難轟々だったけど、自分が結果を出すことでこの仕組はいずれ広く浸透すると確信を持ち、実際に現在クラウドファンディングは市民権を持つほどに広まっている。
(非難轟々→普通 という変化で言うと「オンラインサロン」や「絵本無料公開」なんかも同じ流れだったと西野さんは言う。)

とはいえ、これまでの麻雀界にはあまり関係のない話だった。
クラウドファンディング=怪しい というイメージのままの人もいたと思う。

コロナ直撃

その流れが変わったのが、コロナウィルスだ。

3月に発令された緊急事態宣言を受けて、雀荘は休業を余儀なくされ、今でも客足は十分に戻ってきてはいないだろう。
雀荘の方に話を聞いた時に共通しているのが、セット(貸し卓)のお客さんが激減したことだ。特にサラリーマンセット。
雀荘で麻雀をしたことによって陽性者が出てしまっては、個人だけの話でなく、会社の責任問題が問われかねない。

貸し卓は固定収入のようなもので、定期的に来てくれるサラリーマンセットが無くなるのは痛いのだろう。

そこで雀荘がクラウドファンディングを始めた。

最初はメカゼットンさんが始めたばかりの大阪の雀荘だった。

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メカゼットンさんは、長い配信活動を経て信用を高めてきたし、もとよりその信用をマネタイズできないかと常に模索していたように感じる。

今では当たり前になっているnoteだが、そこでメカゼットンさんが有料記事を書いていたのも、かなり前のことだ。

高い信用貯金のおかげか、メカゼットンさんのクラウドファンディングは成功した。
これが大きかった。

クラウドファンディングという怪しい響きに難色を示していた他の雀荘も「はじめてのことだけど、クラウドファンディングという選択肢もアリなのでは?」
と追随しだしたのだ。

雀荘界の意識を変えたという意味でも、メカゼットンさんの功績は大きいと思う。

次々とクラウドファンディングを始める全国の雀荘。
私も3軒、10000円ずつお金を出した。

そしてお金を出したからこそ、言いたいことがある。

物申す

例として3軒のうちの1軒、静岡にあるLookup(ルックアップ)さんを取り上げよう。
実は、Lookupさんには、一度も行ったことがない。
そんなお店になぜお金を出したかと言うと、望月さんの存在である。
望月さんは非常に熱い男だ。

日本プロ麻雀連盟 望月雅継

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暑苦しい男だ。
Twitterのアイコンはなぜか小・中学校の音楽室に立てかけられていた絵みたいな人になっている。
そのTwitterでは持ち前の熱さが暴走し、何度かやらかしている。

しかし、望月さんは本当に凄い人だ。
口だけではなく、行動力があり、本当に麻雀界のことを考えているということが伝わってくる。

エピソードが2つある。

① ゼロワンリーグに来てくれた

望月さんには借りがある。

去年だったかな、私が大阪で主催しているゼロワンリーグに来てくれたのだ。
実はこれって凄いことでね。
とある事情で、連盟のプロはゼロワンリーグに行っちゃいけないことになっているらしいのね。
私が嫌われているわけじゃなくて、大人の事情があるようで。
好かれているわけでもないんだけど。

そんな中、望月さんは来てくれたんだ。
堂々とTwitterに告知して、写真OKですかって聞いたらOKだと。
大丈夫なんですかと心配したら、なるようになるよ、と。

ゼロワンのためだけに一日開けてきてくれたんだよ。

そこで麻雀の話もしたし、業界の話もした。
それまでTwitter上だけで判断するとあまりいい印象がなかったが、その日私は感動して借りができたと感じた。

② 裏方してた

あれも去年だったかな。
GPCリーグの東西対抗戦というのが名古屋で行われたのね。

そこで望月さんが審判長として運営のお手伝いをしていたのよ。
審判長と言っても、会場の準備をしたり、写真を撮影してTwitterにアップしたり、集計用紙を集めたり…ようは「雑務」なわけよ。

一般の方に楽しんでもらおうと、裏方に回って徹底していた。
打ち上げの席でも場を仕切ったりして、幹事の仕事をこなしていた。
乾杯の音頭のときに
「麻雀界を盛り上げるためにはこういう場が必要。これからも尽力していくのでよろしくおねがいします」
みたいなこと言ってたかな。
当時の私は、トーク力もあって凄いなって感じた。

望月さんってね、元鳳凰位なんよ。
鳳凰位って連盟の最高タイトルで、ようはそれを獲った人が額に汗を滲ませて裏方の仕事のために走り回っているわけ。

最高位戦で言うと、近藤誠一さんが裏方やっているようなもんだよ。
ありえないでしょう。

おそらく日当もらってないんじゃないかな。
もらっていても気持ち程度…だと思う。

この日だけではなく、望月さんはこうやって全国を回っているわけ。
発言は暑苦しいけど、行動が伴っている。
それが私の望月さんに対する印象。

そんな望月さんのお店「Lookup」がピンチになり、クラウドファンディングを始めた。
私は、あの時の借りを返そう、と思って1万円投げた。
もっと投げればよかったか。

で、クラウドファンディングは成功に終わり、最近になって収支報告のブログがアップされたのを見かけた。

お金を集めたんだから、こういう収支報告は当たり前よね。
他もやっているのかもしれないけど、見ない。
私はお金を集めた全雀荘がやるべきだと思っている。

で、私はこの収支報告をみて、愕然としたのよ。

クラウドファンディング支援金
2625000円
クラウドファンディングサイト外支援
110000円

支援総額
2735000円


手数料(5%)
131250円
手数料消費税
13125円
返礼品製作費( Tシャツ、パーカー、ジャンバー、エプロン、ポーチ、打ち放題チケット、ポストカード、ステッカー、缶バッジ)
1006104円
送料(佐川急便、日本郵便)
48589円
雑費(梱包材料、封筒等)
32893円

支出総額
1231961円

2735000-1231961=1503039
残金
1503039円

273.5万円集めて、123.2万円の経費がかかって、残ったのが150.3万円ということだ。


ちょっと待った!

…経費かかりすぎじゃね?

私が払った10000円のうち、4500円はクラウドファンディングのための経費に消えて、5500円しか残っていない計算になる。

経費の大半は

返礼品製作費( Tシャツ、パーカー、ジャンバー、エプロン、ポーチ、打ち放題チケット、ポストカード、ステッカー、缶バッジ)
1006104円
送料(佐川急便、日本郵便)
48589円
雑費(梱包材料、封筒等)
32893円

返礼品と、返礼品のための送料や梱包材料だ。
ここだけで108万円かかっている。

ちなみに、これは「Lookup」さんだけではなく、他の雀荘も同じような返礼品を用意していたので、収入:支出の割合は、似たようなものになると推測する。

私はこの返礼品に対して疑問を投げかけたい。

まず、今回の一連のクラウドファンディングに関しては、クラウドファンディングと名前が付いているものの、これまでのクラウドファンディングとは質が全く違うということに、雀荘経営者たちは気付いていないのではないか?ということだ。

おそらく雀荘経営者たちからしても初めてのことなので「クラウドファンディングとは」でググって出てきたサイトを参考にしたり、他のプロジェクトや、他の雀荘がやっていることを参考にしたのだと思う。

ここで今一度、冒頭に説明したクラウドファンディングの定義を思い出してもらいたい。

インターネットを通して個人の活動や夢を発信することで、共感した人や活動を応援したいと思ってくれた人から資金を募る仕組み。

>個人の活動や夢を発信することで

この一文にある通り、クラウドファンディングは、もともとやりたい活動や夢があり、その活動や夢に共感した人がお金を出し合う…という前向きなものである。

しかし今回の一連の雀荘クラウドファンディングは、雀荘を続けたいけどこのままだと潰れてしまう…存続するためにお金をお願いします!…という、流れる血を止めるようなものだ。

明らかに質が違う。

前者は支援によってできたコト・モノが返礼品になることが多い。
絵本を作りたいというプロジェクトならその完成した絵本を送りますよ、というふうに。
(だから予約販売のようにクラウドファンディングを使うケースも多い)

後者は流れる血を止めることが先決。
そうでなかったら、潰れてしまうからだ。

だから、これまでのクラウドファンディングを参考にした返礼品は間違っていると思う。
10000円もらって4000円を返礼品に使って、それでお金が足りなくなったら悔やんでも悔やみきれないのではないか。
つまりマネーファーストで考える必要がある。

お金を出した側からしても、納得がいかない。

だから、私は3つの雀荘の返礼品に関して「要りません」というコメントをした。

ただ、いくら私が要らないと言っても、例えばTシャツ1つ作るにしても、材料費・デザイン費・人件費…などで既に相応のお金がかかっており、在庫も余分に抱えているのだろう。

「要りません」と言っても、雀荘からはステッカーやらポーチやら缶バッジなどが家に届いた。

申し訳ないけど、私はそのままゴミ箱に捨てた。
使わないからだ。
(余談・断捨離という言葉が流行りだしてもう何年も経つけど、モノを持つ=幸せという時代はとうに終わり、これからは身の軽さ=自由=幸せという時代に加速していくと思う)
雀荘のTシャツやステッカーなどは、多くのケースで自己満足にすぎない。

私がお金を出し、半分近く使って、要らないと言ったのに返ってきたものをしぶしぶ捨てる。

このやりとり、本当に不毛じゃない?
私のこと、冷たい人間だと思う?

だって、お金に困っているんでしょう?

代替案

文句だったら誰でも言える。
私だったらどうしていたか、を考えてみる。

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