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【Mリーグ】牌の上下で勝者が決まる無常な世界で園田賢はいかに戦ったか【ベストバウト】

アシスタントの本長プロが
「昨日のMリーグ2回戦見ました?めっちゃおもろかったすよ!」
と言うが、私は2020シーズンは2回戦を見たことがない。
「ベストバウトまであります!取り上げるべきです!」
と珍しく猛烈プッシュしてくる。

おお、調べてみると多くの方がこの半荘に熱くなっているようだ。
というわけで、2020ベストバウトと名高い12/3(木)の第2試合を見ていこう。

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東1局 瀬戸熊の男気スルー

瀬戸熊はこの7mをスルーした。↓

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結果的に4m→9pとツモって4000オールをゲット。

日吉「嘘だろこの男!これが瀬戸熊の麻雀!まさに卓上の暴君!」

実況の声とは裏腹に「やりすぎ」との意見も聞こえてきそうだが、スルーで良いと思う。
ツモ番はあと3回。その3回でテンパイ→アガリまで結びつかないといけないので条件はやや厳しい。親番だから形式テンパイを取るのが自然か。

ただこの369pと47mってかなりいい。
アガリまで結びつかなくても、再度上家が切ってくれることはありそうだ。

親番だから連荘することに価値を置く人もいるが、親番だからアガリが大きいとも考えられる。

良い判断に見える。
こうして瀬戸熊の先制パンチで試合は始まった。

東3局 園田の苦難

園田がこの白をポンして6mを切った。↓

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ソウズかピンズのホンイツに向かい、相手を牽制しつつ、後半勝負であわよくばアガってしまおうという魔法だ。

しかし、園田のこのような仕掛けは1年目はうまくいったのだが、2年目以降は通用しないことが多くなった印象がある。

園田の遠い仕掛けを見切り、石橋と瀬戸熊は…

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ピンズと字牌を被せている。
瀬戸熊に至っては生牌の中をぶった切ってきた。

その一方で上家の多井は、オタ風も切らずに完全に絞っている。

もともと園田の配牌は苦しかったので1人でも殺すことができたら良いかもしれない。しかし結局2人のうちの手の入っている方に押し切られてしまう。

白をポンして字牌を切って普通に進める、というルートの方がシンプルで良いと感じた。
牽制ではなくアガリによって相手の手を潰すという考えだ。

この局は瀬戸熊からリーチが入って流局。

結果的にあのバラバラの手牌が1000点の失点で済んだので成功と言えなくもないが、私には牽制が効果的に働いてないように見えた。

東4局1本場 園田、血染めの赤切り

ゲームが動き出したのはここからだ。

まずは瀬戸熊がこのテンパイを取らなかった。↓

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9pをツモ切り。
カン8pの役無し愚形のテンパイだが、そのままリーチ打ったほうがよさそうだ。
打点上昇がほとんどないので、ただでさえリーチを打ったほうがよいが
・供託1本と1本場
・8pが複数情報で良さそう
という要素でますますリーチ有利になる。

瀬戸熊には雷電的な信念があるのだと思うが、この手牌でリーチを打てないのは今後も隙につながるのではないか。

現代麻雀から遠ざかる瀬戸熊の対面で、園田がやらかした!

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ここからr5pを切ってリーチを打ったのだ!
これはこれで現代麻雀を通り過ぎているようなw

普通は3pを切って5pと南のシャボにする。
枚数も打点も打3pが上である。

しかし多井が国士模様だから、南の期待度が下がっていると判断したのだろう。
ただ多井は配牌が悪かったらいきなりオリることもよくやる。

実際に多井は

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こんな手からの6p切りだった。
一応ジュンチャンっぽい手牌だが、基本はオリだろう。
ドラが中張牌(5s)というのも多井システムが「配牌オリ」に傾く要素の1つだと睨んでいる。

だから多井のああいう捨て牌はノイズとして無視したほうがいいのではないか。

この赤切りリーチが↓

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石橋から出て5200のアガリ。
実況・解説、コメント欄、TwitterのTLは大盛り上がり。

水を差すようなことを言うが、赤切りは独創的なものでもなく、それこそ赤が普及しだした昭和の時代からあった常套戦術だ。

石橋も4pをずっと切らなかったし、決して安全とは思っていないだろう。
表情を見ても…

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やられた!というような表情はしていない。
むしろ「ラッキー安く済んだぜー」と思っているハズ。

そう考えると、赤切りは打点という絶対的なロスがあるので、損の方が大きいと思う。特に5200と8000では大きな違いであり、それを埋めるほどアガリ率に差はない。

しかしそれは瞬間的なこの局の話であって、同一面子で打ち続けるMリーグのようなリーグ戦ではその後に効果を発揮する。

特にレギュラーシーズンは、種を撒いておく時期だとも言える。

トータル的な話をすると相手依存になるから正解はわからない。

南1局 昂ぶる石橋

まずは石橋の選択↓

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下家の瀬戸熊が発をポンして2pを切った直後。何を切るか。
ラス目なので4mをツモ切るのが普通。
こう構えておくと、567か678の高め三色でテンパイすることができる。

しかし鳴いたのが他でもない瀬戸熊である。

Mリーグ成績速報さん(@mleague_results)のデータによると…

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瀬戸熊の副露率は12.88%と30人のうちでも2番目に低い。
なお1位はもちろん黒沢だ。(8.18%)(35節終了時点でのデータ)

その瀬戸熊の捨て牌に4m→5m(8m)と切るのと、6p→7pと切るのとでは安全度が大きく変わってくる。↓

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(瀬戸熊の捨て牌)
6p→7pは比較的切りやすい。
4m→5m(8m)は、どちらかはチーなりロンなりされそうだ。

あの瀬戸熊が1鳴き…

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石橋も迷いに迷った。

そして石橋は斬り合う道を選んだのだ。

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4m勝負!

「チー」
瀬戸熊の声が響き渡る。

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カン6sの発・ドラ3、親満テンパイ。
石橋も8sをツモって追いつく!↓

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さぁ下家のサムライさんよ!斬り合おうぜ!
と5mを切ってリーチ!

さらに上家の園田も追っかけリーチ!↓

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3者のめくり合いの決着はすぐについた。
珍しく力を込めて牌を叩きつける。

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石橋が30006000の一発ツモ!
このツモアガリによって点棒は一気に平たくなった。

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石橋は熱い男だ。
Piratesの中では船長(小林)に続いて冷静というイメージがあるが、ちょっと前までは対局中に感情的になることも多かったという。

ラス目から熱いめくり合いを制することができて、つい気持ちが昂ぶってしまったのだろう。

石橋の感情の昂りは、他の3人にも伝染していく。

南2局 粘りの園田

まずは瀬戸熊が先制リーチ。

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このリーチを受けた園田の選択。↓

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