モンテディオ山形vsファジアーノ岡山 マッチレビュー 【2-2】
息も絶え絶え
満身創痍のファジアーノ岡山を容赦ない連戦スケジュールが襲う。前節ホームで2位3位対決を落として迎えた中4日のアウェイ山形戦。メンバー的には前節とほとんど同じメンバーで臨むことができたのはひとまずよかった。そして、内容も大筋で悪くはなかった。しかし、勝てなかった。
主力級が7,8人もゲームに絡めないというかつてない緊急事態。試合に出られるメンバーの顔触れも限られており、彼らへの負担は異常なまでに偏っている。もう、ほんとにいろんな意味でキツイ。しかし、それでも勝利が手繰り寄せられれば・・・というところでしたが、結果は非情なものでした。
スタメン
岡山は前節とほとんど変わらないメンバー。ケガか?と心配された柳(貴)は無事だったようで胸をなでおろしました。新たな復帰者がひとりでもいるのか?と期待しましたが誰も戻ってこず。果たしていつになるんでしょう。もう2年ぐらい待ってるような途方に暮れる気持ちです。
一方山形は4213のフォーメーション。さすがに良質なWGをたんまり買い込んでいるだけあって、WGが置けるフォーメーションを採用していました。
試合の流れ
前半は岡山が向かい風のコンディション。ざっくり前半の中盤くらいまでは岡山のペースでした。この日は相手をボックスに押し込んでからのコンビネーションやシュートの意識が高く、何度も山形ゴールに迫るシーンを演出。どこかで1点でも取れていれば、というのは今年もう何試合目だろう?という感じですが、この試合も例外ではなく。いい攻撃をして、枠内シュートを9本打っている。けど、0点。苦しいね。ほんとにこのチームは点が取れない。前半に点が取れないのはトレーニングの成果が乏しいからじゃないかなと思います。相手の対策が弱いんじゃないか?とも。
一方の山形は前半の途中からペースを握りました。カウンターに鋭いところを見せていましたが、ちょっと風が強まったのか?岡山が自コートからロングボールを蹴りだして前にボールを運びにくくなった影響もあったかもしれません。山形が押し込んで際どいシーンを作るなど押し返したものの前半はスコアレス。
後半風上に立ったことで有利になると思われましたが、正直そこまででもなかった。全体的に向かい風になったときの山形の攻撃の仕方が上手く、向かい風の不利を感じさせないところはあったかもしれないですね。ところが、51分左サイドからのクロスのこぼれをグレイソンが見事なボレーでたたき込み先制。待ちわびた先制点が獲れたことでこれでいける!と思われました。
ところが、57分には左サイドからグラウンダーのクロスを上げられ、これを田上が痛恨のクリアミス。オウンゴールで同点とされてしまいます。意気消沈する間もなく攻撃に出るファジアーノ岡山は、交代で入った田中雄大の見事なターンからのシュートで再びリードを奪います。73分の出来事でした。
残り時間もあと20分。岡山も交代カードを切り逃げ切りをはかりますが、最後ATに守備のエラーでクロスボールをドフリーであげられてしまい失点。ギリギリのところでまたしても勝利のを逃す痛恨のドローとなってしまいました。
同じメンバーで戦った収穫もあった
前節は清水エスパルスが相手ということで、すべてのポジションでJ2規格外という個の力を体感した木山ファジでした。山形も強豪ではありますが、さすがに個の力は清水のレベルにはない。ということで、前節よりかはかなりやりやすかったのではないかな?という印象でした。とくに、この試合でも目立っていた左WB末吉塁は対面の経験の浅いSBをボコボコにしていて、チャンスのにおいが充満しておりなんとか仕留めたかった。さすがに吉田豊を相手にした次の試合はやりやすいだろう、という感じでしたね。
前節と同じスタメンで戦ったことは疲労度の面ではかなり深刻であろうと思います。しかし、その分コンビネーションの面ではかなり良化の兆しが見えており、とくに相手を押し込んでからの振る舞いには得点の可能性を大いに感じる内容でした。やはり、同じメンバーで試合をやるというのは得難い経験なのだと感じさせる出来事だったなあと。
そうそうけが人は帰ってこないでしょう。たぶん、夏を過ぎても帰ってこない人もいるんじゃないでしょうか?育成型レンタルのうわさも流れていますが、出られない人のことを考えてもどうにもしようがないので、出られる選手たちのパフォーマンスがあがることを願うしかない。そういう意味では、メンバーを固定したデメリットの裏でこのようなメリットを見つけることができたのは小さな喜びでした。
WGを使った山形の攻撃と進む岡山対策
山形はトップ下とWGを置く、4213のフォーメーションで両WGに決め手のある選手がそろっています。この試合では前プレに出てくる岡山をパスワークで丁寧にはがしていくというよりも、こちらのCBの脇にWBを走らせスペースに長いボールを供給していくやり方をしきりに狙っていたように思います。
4バックでボールを運ぶ山形はSBがタッチライン際に立ち、そこまで高い位置を取りません。岡山は前からプレスに行くので、CBにはFWやシャドーがついて、SBにはWBが出ることになります。そうすると、WBの背後には大きなスペースが空きます。ここはCBが広くカバーして守ろう!というのが岡山の今年のスタイルです。これは開幕当初から変わっていません。そのため、岡山の左右のCBにはある程度のスピードが求められるので、右は阿部、左は本山となっているんだと思います。スピードがないとスペースを広くカバーして守れないし、相手の早いアタッカーに対応しずらい。
山形は岡山のその特徴を活用して、SBでWBをつり出し、その背後でWGがフリーになりやすいのでスペースにボールを流し、CBとデュエルさせてやれ!というねらいだったのではないか?と思います。ちなみに、向かい風だったのであまりきれいな形になりませんでしたが田上のオウンゴールを誘った山形の攻撃はこのような力学を用いています。
さらに言うと山形のSBにWBを食いつかせてサイドを狙う手法は、前節清水エスパルスが矢島慎也を使ってやろうとしたことによく似ています。SBが高い位置をとらず低い位置をとることで岡山の前プレをおびき寄せ、空いたスペースを前線の選手が使う。形は違えどコンセプトは似通っており、岡山の守備を逆手に取る手法もさらに定着してきた感がしますね。
引いて守れなかったこと
今シーズンの岡山の最大の武器は守備力であることは間違いないです。でなければ、とっくに10位とかその辺に落ちていることだと思います。リードを奪えば少ない点数でも逃げ切れる。その力はあると思います。しかし、この試合では追いつかれてしまい逃げ切りに失敗しました。
まず、ルカオ・齋藤を入れた前線のてこ入れがあまり効果なく、山形コートで時間を浪費させることがほとんどできませんでした。彼らはセットで出ることが多いですが、ボールが収まらず、持ち前のスピードやドリブルを活かす機会がほとんどない。しかし、ボールを送る側も彼らが生きるような使い方をできているとは言い難く、せめてポストプレイヤーがいて少しでも時間が作れたらと思うばかりです。
また、ケガ人で多くの選手が試合に出ていない分、試合に出ている選手たちへの負担はかなりのものになっていると思います。ルヴァンも120分やってひたすら疲労して敗退という散々な結果に終わっています。しかも中4日、次に2日という連戦。後半の疲れは相当なものだったと思います。なので、後ろに重たくなるのは致し方なしというところじゃないかと思います。動きたくても多分もう動けない。
この試合は最後の最後に致命的なミスが重なってしまいました。クロッサーがドフリーでクロスを上げてしまっているのがまずありえない。そして、相手の攻撃の選手が3枚いるのに対して、こちらが競れる選手が2枚しかいない。さらには、長身FWに対して170㎝の本山遥が競らないといけない状況になっている。そりゃ、ファー狙うわなという状況でした。いくつもエラーが重なって失点をしてしまったシーンだったかなと思います。
しかし、右WBに阿部海大をもってこなきゃいけなかったこと。左CBに170㎝の本山を使わないといけないことなど、守るにせよ急場しのぎ感が否めない態勢だった点はあろうかと思います。なので、仕方ない。我慢だ。我慢するしかない。
出ている選手の疲労度はどうなのか?グレイソンはケガしていないか?心配事は山のようにありますが、どのみちけが人が戻ってこない限り状況が好転することはまずないと思います。一刻も早く戦力がそろってこんな窒息しそうな瀬戸際な戦いを強いられないでも済むようなりたい。そう願ってやみません。今出ている選手は精いっぱいやってる。それは伝わってる。
中2日というスケジュールでホーム徳島戦を迎えますが、徳島も少し息を吹き返してきています。岡山に有利な状況がマジでなんもねーな!というような状況です。正直メンバーがどうなるのかよくわかりません。清水ー山形ー徳島と全部出る選手もきっといるでしょう。もうむちゃくちゃですね。でも、やるしかない。なんとかリフレッシュできるだけしてもらって、なんとかしよう。
7試合で勝点7は残留争いするくらいの勝ち点ペースです。つまり、今一番弱いクラスに岡山がいる。どん底です。それでもまだ勝ち点23で4位にいます。無様でもなんでもいいからゾンビのようにかじりついていきましょう。それしかないと思います。今臨めるベストに挑むこと。それが諦めないことだと思います。それ以外に開ける道はないでしょう。
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