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鹿児島vs岡山をマッチリプレイするファジサポのAとB

B「あのさあ」

A「お、どした」

B「早いもんで38試合終わったなあ」

A「毎年思うけど、あっという間だったね(笑)」

B「でも、まだ今年はプレーオフがある!」

A「ありがたいことだよ。あと2試合楽しみにできる!」

B「できれば、4位で終わりたかったんだけどな・・・」

A「4位だったら自分もワンチャン試合見に行けたんだけどね・・・」

B「鹿児島戦は観たの?」

A「いや、まだなんだ」

B「じゃあ、またあれやってよマッチリプレイ」

A「お、いいね。DAZNで見直してみようか」

B「前みたいに初心者にもわかりやすく話してもらえるとうれしい」

A「わかった。プレーオフまでまだたっぷり時間もあるし、復習がてらやっていこう」

B「お願いします!」

《おしらせ》
『プレー経験0でもできる超わかりやすいサッカー観戦術(仮)』
2025年1月にサッカー観戦の初心者さん向けに自分の観戦のコツをまとめたマガジンを公開予定です。(全部で12万字?新書1冊分くらいになりそう)この記事に出てくるAがBにサッカーについて「きっちりと説明するとしたらどんな話をするだろう?」という話をまとめたような内容になっています。サンプルを添えておきますので、よかったらぜひご覧ください。


試合前


A「岡山は3連勝で迎えたアウェイ鹿児島戦」

B「ここを勝てば文句なく4位でプレーオフ。それ以外だと千葉と山形次第でわからないって状況だったな」

A「ところで、鹿児島はどういう状況だったの?」

B「ええと、19位ですでに降格が決定している状況で、この試合を迎えるまでに2連敗中だったみたい」

A「しかし、ホーム最終戦だからなあ」

B「それなんだよ。すでに引退や満了でチームを去る選手もいてさ」

A「そういう時期だよねえ」

B「向こうからしたら気持ち的にしんみり送り出したくないじゃない?」

A「そうだねえ。いい試合見せて締めくくりたいよねどこも」

B「だから、簡単じゃないだろうなとは思ってたんだけど」

A「しかし、岡山もここは譲れないゲームだ」

B「そうなんだよなぁ・・・」

A「ホームゲームでやれるかどうかは興行収入的にも話題的にも大きいだろうし」

B「鹿児島についてはなんか知ってる?」

A「いや、いつもどおりぶっつけ本番です(笑)」

B「やっぱりか(笑)監督は浅野哲也さんみたい」

A「おお、そうか。浅野さん鹿児島の監督だったなあ。元日本代表だね」

B「知ってる選手はいる?」

A「端戸、井林、木村あたりはJ2では何度も戦ってきた選手だからよく知ってる」

B「うん」

A「稲葉は秋田から町田に行った選手だよね。あと、FWの有田はいわきだっけか」

B「有田稜はいわき→山形、山形からのレンタルだね。Aにしては名前知ってる選手多いんじゃない?」

A「そういえばそうかもしれない。あんまりよそのチームの選手の名前とか覚えるの得意じゃないからなあ(笑)」

B「フォーメーションは4231なんだって」

A「ふむ4バックか、これはいいな」

B「というと?」

A「多分、プレーオフで対戦するチームはほとんど4バックのチームだろうからね。最後の公式戦の経験という意味でも悪くない。前節の藤枝は3バックだったし」

B「なるほど」

A「実際に鹿児島がどういう並びなのかは試合始まってあらためて確認していこうか」

B「うん。岡山は前節から左CBの鈴木喜丈のところに柳育崇」

A「うーん」

B「前節交代で入れ替わった2人だけど、これは?」

A「もしかしたらコンディション的なことかもしれないけど、左CBで鈴木喜丈の代わりになれる選手はこのチームにはいないと思う。なので、ここは結構ポイントになりそう」

試合開始~15分

0:20

B「キックオフしてすぐに左サイドの展開」

A「末吉と右SB渡邉のマッチアップなんだけど、ここ右SHの田中もついてきてるよね」

B「うん、2対1になってる」

A「これは末吉のドリブルを警戒して、2人がかりでもやらせない!という意図を感じるね」

0:57

B「そのまま左のコーナー、田部井のキックになった」

A「この試合たしかに鈴木喜丈はいないけれど、J2屈指のストロングヘッダー柳育崇がいる。柳はファーサイドでほとんどのボールを競り勝てる強みがあるから、セットプレーはうまく生かしていきたいところだね」

2:17

B「解説の柳崎さんは「両チーム予想通りの立ち位置をとってる」って言ってるな」

A「いや、さすがプロは違うな。確認が早い!岡山はいいとしても、鹿児島は4バックだってことはわかるけど、まだ中盤の並びはわからないなあ」

B「てか、こんな最初にそういうフォーメーションとか確認してるんだね」

A「うん、できたらやっておいたほうがいいね」

B「なんかボールが行ったり来たりするけど、こういうときってどう見てたらいいの?」

A「ボールが行き来すると追うので精一杯になるから、どちらがボールを抑えるかな?ってところに注意しておくといいよ」


2:20

B「あ!」

A「そうそう、いまは鹿児島がボールを抑えて右サイドに逃がしたよね。ごちゃつくときは今みたいな瞬間を見逃さないようにしておいたらOK」

2:30

B「あいかわらずごちゃごちゃとしたやり取りが続く」

A「いやー、ここの有田スピードあるな!」

B「有田は山形からのレンタルみたい。身長185㎝」

A「デカくてスピードがある。やっかいだな」

2:37

B「あ、ここもごちゃつきから田上がボールを拾った。こういうタイミングだよね?」

A「そうそう、こうやってごちゃつきをマイボールに出来ればそれだけ攻撃回数が増やせるし、リズムも出てくる」

B「あ、調子があがってくるんだ?」

A「たぶんね。見てる感じだと士気が上がってるんだろうなと感じることの方が多い。こういう体のぶつけ合いとか、競り合いとか、ボールのつつきあいみたいなのを球際の勝負って言うんだけど」

B「あ、球際!聞いたことがある」

A「そういう小さな局面での小さな勝利がすこしづつリズムとかペースを呼び込む、みたいなイメージを持っておくといいかもね」

3:14

B「鹿児島がおちついてボールを持ったね」

A「ここは一応岡山の並びを確認しておこう。やはり523で守ってるからいつも通りという感じだね」

B「うんうん」

3:18

A「一方の鹿児島は、この場面を見ると前線に4人いる」

B「ほんとだ」

A「2トップと両SHで4人、中盤はダブルボランチ、そして右SBの渡邉がちょっと内側にいてボールをもらおうとしているんだろう」

B「ほうほう」

A「したがって、442っぽい並びだろうなということがわかる」

B「でも、試合前の予想は4231って言ってたけど?」

A「うん。442と4231はかなり近い並び方なんだよ。トップ下がFWのような位置取りをすると442にもなるからね」

B「へえ、なるほど」

3:37

A「おお、鹿児島は早くロングボールを入れてくるなあ」

B「ほお」

A「中盤のセカンドボールの拾いあいから、すぐに前線に蹴ってくる。だから、こちらのCBと相手の前線の選手が数的同数になってるよね」

B「ほんとだ」

A「ここで、こちらのCBが出し抜かれるとピンチになるから注意したいね」

3:54

B「岡山がボールを持って、鹿児島コートに入ってきた」

A「セカンドをうまく拾って押し込んだね。鹿児島はきれいな442のブロックを作ってる」

3:55


B「そして、田部井からスルーパス!」

A「うん、うまく前向きを作らせてもらえた」

B「前向き?」

A「サッカーは前にボールを運ぶゲームだけど、そのためには選手が前向きにプレーできる状態になる必要があるんだよ」

B「ああ、後ろ向きだと前にドリブルもパスもできないもんね?」

A「そういうこと。ここでは田部井が前向きになったので、前にパスを送るスタンバイができた。だから蹴れた」

B「なるほど」

A「ここは、木村太哉がななめに走り出してるでしょ?」

B「うん」

A「鹿児島の右CBの戸根からすると、見えない死角から背中側に抜けられるので結構厄介なんだ」

4:03

B「そして、左サイドからキムタカがクロス」

A「これで攻撃のSTEP2は完了」

B「攻撃のSTEP2?」

攻撃のSTEP1:相手コートに入る
攻撃のSTEP2:チャンスを作る
(シュート・ラストパス・クロス)
攻撃のSTEP3:ゴールを決める

A「サッカーの攻撃には3つのSTEPがあって、シュートか、ラストパスか、クロスまでたどりつけたら”攻撃ができた”と考えてOK」

B「でも、ゴールにはなってないんじゃ?」

A「もちろん、結果としてゴールになれば最高だけど、サッカーはそんなにバンバン得点が決まるスポーツじゃないからね。だから、得点の可能性のあるアクションがどれだけ起こせたか?を見ていくのがいいんだよ」

B「ああ、攻撃のSTEP2までいけたら点が入る可能性が生まれるもんな」

A「そういうこと。ボクシングで言えば”パンチは出せた”って感じかな」

B「おお、いいね。わかりやすい!」

A「それがクリーンヒットしてダウン奪えたら1点、みたいな」

B「あ、いいねいいね。じゃあこのシーンはクロスがあがったから、”パンチは出せた。だけど、点にはならなかった。”ってことか」

A「そうそう。空を切ったなって感じ」

4:33

B「鹿児島のゴールキックこれで2本目だけど、繋がないね?」

A「どうやらそうみたいだね。繋ぐチームではないのかもしれないし、岡山の前プレを警戒しているのかもしれない」

B「前プレっていうのは?」

A「前からプレッシャーをかける守り方のこと。相手のボール回しに継続的に圧をかけていってミスを誘ったりして奪う。奪ったらそのままなだれ込むように攻める。これが岡山の得意な守備の形」

B「うんうん」

A「鹿児島は、そういう岡山の得意な守備をさせないようにロングボールを蹴っていこう!ということなのかも」

B「鹿児島が蹴るとどうなるの?」

4:42

A「蹴ると、こんな風にハイボールの競り合いが生じる」

B「うん」

4:43

A「ここはファウルになっちゃったけど、有田と田上の競り合いになるでしょ?」

B「そうだね」

A「すると、有田は185㎝でフィジカルも強いからセカンドボールが発生する」

B「ああ、セカンドボール争いになるのか」

A「そうそう。岡山は前プレに行くタイミングがないよね」

B「なるほどなあ」

A「得意なプレーをゲームでやるとやっぱり士気は上がる」

B「けど、鹿児島がそれをさせない?」

A「可能性はあるね」

5:31

B「セカンドボールを鹿児島が拾って、田中が前向きだ」

A「そう!田中が前向きを作った。しかし、彼は右SHなのにずいぶんと中に入っていく」

B「ほんとだね」

A「本来の持ち場を離れてプレーする選手には注意しておいた方がいいね」

5:38

B「左SBの野嶽からまた田中だ」

A「ここ、木村太哉と藤田息吹が2人いって通されちゃったな・・・」

B「うん」

A「パスを通されたので、右WBの本山が遅れて対応しないといけなくなってるでしょ?」

B「ああ、ほんとだだいぶ距離があるね」

5:42

A「本山が間に合わず、芋ずる式に阿部海大も間に合わず、と後手後手になる岡山の守備」

B「いや、なんかマズいぞ・・・」

A「しかもここ見てみ、左SH圓道」

B「あ、前向きだ!」

A「ということは?」

B「パスが出る!?」

5:44

A「そして、組み立てに関わった田中が左サイドで抜け出す」

B「いやーーーパスが出た!」

5:47

A「そして、抜け出した田中からラストパスがでて攻撃のSTEP2を完了」

B「やべえええええ」

5:50

A「ナイス!ブローダーセン!だったけど、すべったのかボールをこぼして」

B「おいおい・・・」

5:54

A「鹿児島はシュートで終わる。ここも攻撃のSTEP2を完了」

B「いやーなんだかな・・・」

A「さて、こういう明らかにピンチを作られたときは原因はなんだったのかな?と探偵みたいに推理するのが楽しい」

B「ほお」

A「一番のトリガーはやはり右SH田中がポジションを捨てて右→中→左と運んでいったことだろうね」

B「それでちょっと戸惑った感あったもんな」

A「木村太哉と藤田息吹2枚がかりでいったのにパスを通され、あとはずっと後手後手の対応になってしまった」

B「うーん」

A「この辺はプレーオフをにらむうえでも注意しておきたいね」

B「しかし、田中すごかったな・・・!」

A「田中渉・・・山口にいたような記憶」

B「彼も有田と同じく山形からのレンタルです・・・」

A「ええっ!?そうなの??めっちゃいい選手だけど」

B「その山形とプレーオフでやるっていう」

A「山形の選手層はどうなっているんだ!?」

7:38

B「あーここも!」

A「そう、ロングボールを蹴ってセカンド勝負に持ち込み、なおかつセカンドボールを回収する」

B「前プレ全然いけないじゃん」

A「岡山としては得意な守備ができない」

7:40

B「そして、田中渉が前向きだ」

A「そう!」

B「だから、前にパスが出る」

A「うんうん。しかも鹿児島の両SHは中より立つからセカンドボール争いに参加しやすいよね」

B「ほんとだ、有田のすぐそばに左SHの圓道がいるもんな」

8:33

A「セカンドボールを回収してすぐさま前線に送り込む鹿児島」

B「あ、このパターンさっきもあったな」

8:36

A「そうすると中盤の頭を越えて岡山の最終ラインと有田の勝負になる」

B「うん」

A「これは有田ありきのやり方だと思うけど、有田はたかさ・つよさ・はやさのバランスがいいのでこれでも成立するんだよなあ」

B「なんか起こせそうな気配がするもんな」

8:49

A「ちなみに、全然関係ないんだけど」

B「うん」

A「このチャント、イエモンの”追憶のマーメイド”だね(笑)」

10:01

B「鹿児島は前プレに出てくるんだなあ」

A「岡山がバックパスをしたときは追っかけていけ、ってことになってるみたいだね」

B「末吉まで渡ってそっからロングボール」

10:04

A「うん、悪くはない」

B「というと?」

A「鹿児島が前にプレッシャーをかけに出てくると、背後にはスペースが広がってくる。そこを狙って前線の選手を走らせていこうという狙いだね。今回はうまくいかなかったけど、これでチャンスが作れると鹿児島は前に出ていきにくくなるでしょ?」

B「ああ、追っかけていくのがピンチになったらヤバイってなるもんな」

A「そういうこと。鹿児島が出てこなくなったら今度は岡山は安定してボールが持てる」

B「なるほどなあ」

10:20

A「さあ、ようやく岡山が前プレできそうな場面が来たぞ」

B「おお、いけいけ!」

A「相手とこちらの選手の立ち位置を見ると、ダブルボランチに対してはこちらの藤田・田部井が見ている」

B「うん」

A「左SB岡本には一美が寄せて、右CBの戸根には岩渕が寄せようとしてる」

B「うんうん」

A「しかし、問題は右SBだ」

B「ほお」

A「ここには左WB末吉が寄せたいところだけど、画面上姿が確認できない」

B「ほんとだ」

10:24

A「右SB渡邉には誰も寄せられないので」

B「前向きだ!」

A「その通り。しかし、なぜここで前向きを作られるのか?本来であれば末吉が詰めていたいところ」

B「ちょっと遅れていってるよね」

A「ここもやっぱり田中渉なんだろうな」

B「というと?」

A「田中が中よりの位置をとって、末吉を足止めするような格好になってるんだろう。だから、末吉は途中まで田中を気にしつつ遅れながら渡邉に出ていかないといけなくなる」

B「はあーーそういうことか!」

A「しかもここ、ボランチの田部井が田中を気にしている」

B「うん」

A「すると、当然相手のボランチへのチェックは遅れるので」

10:26

B「木村が前向きにプレーする!」

A「そう。そしてどこにボールを送るのか?というと」

10:27

B「右サイドの奥だなあ」

A「つまり、つり出された柳の背後のスペースだよね。ここにスピードのある有田を走らせれば、田上と1対1が作れる」

B「はあ、そういうことか!」

A「よくデザインされたいい攻撃だと思うな」

B「しかし、田中は厄介だなあ・・・」

13:47

A「岡山がいい位置でボールを拾った」

B「末吉がこんなところに!」

A「しかも、そのままタテパスになってる。早い!」

13:50

B「おお、来た!!!」

A「末吉のパスが早かったので鹿児島の守備が整う前にCBを狙い撃ちできた!」

13:51

B「こねえええええええ」

A「木村太哉、浮かしちゃったか・・・」

B「決定機だったなあ」

A「さしたるチャンスメイクもできていなかったし、鹿児島ペースになりそうだったので、ここで決めると大きかったが・・・」

13:55

B「キムタカもこの表情ですよ」

A「決めるべき時に決めないと・・・」

B「しかし、GK泉森よく止めたな」

A「転がされると難しかったかもだけど、よく反応したよね」

14:29

B「解説の柳崎さんも「流し込みたかったですよね。ピッチも濡れてますし」って言ってるな」

A「木村太哉は現時点でもいい選手だけど、もっといい選手になるためにもスコアリング能力を高めていきたいね」

15分~30分

15:14

B「鹿児島がボール持っててそこに岩渕が寄せていくけど」

A「ここも本山がかなり長い距離を走らされている」

B「うん」

15:19

A「前向きを作ったらロングボールを前線に」

B「ああ、このパターン」

A「すると有田とこちらのCB陣のデュエルに持ち込める」

15:23

B「それでセカンドボールを拾うってわけか」

A「岡山は前に人をやりたいけどやらせてもらえないよね」

15:31

B「なんかあやふやな感じだな・・・」

A「ちょっとどういう風に守るか定まらない感じがするよね」

15:34

B「ああ」

A「ドフリーだった左SB野嶽からスルーパスが出て、左SH圓道が抜け出すと」

B「うーん・・・」

A「やっぱり前の制限がかからずにあやふやだとタテに運ばれてしまうな」

16:32

B「ああーっ!」

A「GKからやはりロングボールで有田へというところだけど」

B「これって」

A「PKとられなくてホントよかったな。ここも有田の方が先にボールに触れそうな態勢だったし」

B「これレッドだったら」

A「プレーオフに出れなかったね・・・」

B「なんか、岡山よくないよね?」

A「流れがよくないね。特に守備でリズムをつかめないからフワフワしちゃって鹿児島の攻撃が完結しちゃってるし」

B「鹿児島は殴れてるってことだよね?」

A「ラストパスとかシュートにこぎつけてるからね」

B「その、流れとかペースってどう読めばいいの?」

A「単純に言えば、得点の可能性は高められているけど、失点の可能性は低くできている状態かな?」

B「ふむ?」

A「簡単に言えば、殴れてるけど殴らせていない状態」

B「ああ、それはわかりやすいな。すると、岡山はイマイチ攻めれてないけど、攻められてはいる」

A「うん」

B「だから、鹿児島ペースになりつつあるってことか」

A「まあ、岡山は決定機をひとつ作ってるからまったく手が出せていないわけじゃないけど、それも単発だったからね」

B「マズいなあ」

19:20

A「また、前プレでハメにいきたい岡山なんだけど」

B「うん」

A「ここは鹿児島がボランチの木村をCBと左SBの間に落としている」

B「ほお」

A「そして、左SBと左SHを高い位置に送りつつ、岡山のプレスをいなしていこうというシーンだね。田部井は稲葉に寄せている」

B「そして木村には木村太哉がいってるな」

A「枚数が足りているからそこはそれでいいんだけどね」

19:23

B「木村からタテパスが入った」

A「ここはボランチが立っていそうな位置じゃない?」

B「ああ、そういえばそうだなあ藤田はどこに行ったんだろう?」

A「木村が落ちたことで押し上げられた左SB野嶽をケアするために、向こう側のタッチライン際にいるんだよ」

B「ああ!ほんとだ!」

A「田部井はボランチに食いつき、藤田は左SBに食いつく。すると真ん中には誰もいなくなり、そこにトップ下の鈴木が下りてくる。こういうメカニズムになってるな」

B「なるほど!」

A「まあ、ここは阿部海大が潰しにいってるので事なきは得ているんだけど、やはり岡山の前プレはハマっていない」

19:24

B「ファウルになったな」

A「ここよく見てみ、もしファウルなかったらどうなってる?」

B「あ、また右SHの田中がボールを持って前向きだ」

A「ここは流されたら結構イヤな場面だね。こちらのダブルボランチのラインを越えて前向きを作られることになるでしょ?」

B「たしかにそうだ」

A「するとドリブルでつっかけられてラストパスとか、また鹿児島の攻撃が完成することになる」

B「うーーん・・・・・」

A「むしろ吹いてくれて助かった、というシーンだな」

B「だから、鹿児島の選手がアピールしてるのか」

A「そういうこと。「流してくれよ!」ってことだろう」

19:35

B「また右サイドからの展開」

A「ここで右SBの渡邉に対して、末吉がついてる。ここはこれでいいよね」

B「さっきは距離がありすぎたけど、今度はいい感じだな」

19:39

A「ところが、またしてもボランチへの内側へのパスが遮断できずに壁パスで交わされてしまう」

B「むう・・・」

A「そして、右SBから有田へパスが通ると。やっぱ遅れてるよね岡山の守備は」

20:01

B「また鹿児島に対してプレッシャーをかけていくけど」

A「ここはちょっと中途半端というか、こちらの前3枚とダブルボランチの位置がかなり空いているよね」

B「そうだね」

A「それに加えて、鹿児島は左CBにダブルボランチがからんでボールを保持してる」

B「今度は稲葉が左に移動してるな。さっきの木村みたいに」

A「そうそう。3対2で数的不利で一美もボールに行けばいいのか、木村へのコースを切ればいいのかわからない」

20:02

B「うわー、また前向きを作られてしまった!」

A「やはりインサイドに折りたたまれた左SBが、こちらのボランチの脇で前向きを作る」

20:06

B「ズルズル下がってしまうなあ」

A「インサイドで受けたあと余裕をもって右に送ると今度はここに右SBの渡邉がいる、と」

B「苦しいなあ」

21:51

A「ここは解説の柳崎さんがセットプレーについて説明してくれる」

B「この「前にいる選手がブロックしてくれてスペースを空けてる」ってどういうこと?」

A「ニアに鹿児島の選手が2人いて、おしくらまんじゅうみたいになってるでしょ?」

B「ああ、たしかに」

A「こうすることで、岡山の守備の選手が動けないようにしてスペースを空ける」

B「ああ、そこに走り込んできてシュートを打つってことか!」

A「そういうこと」

23:57

B「ずーっと鹿児島ペースが続くけど、ここでまた前プレに出る」

A「もしかしたらだけど、一美にボランチの木村をケアしてもらうようにしたのかもね」

B「ほお」

A「一美に木村を預けて、中に入ってくる右SH田中に対して田部井がついてる」

B「おお、ほんとだ!」

24:00

A「右SB渡邉には距離があるけど末吉ががんばって詰める」

B「うん」

A「ここで一美が木村についてるので、2回ほどあった渡邉から木村のルートが消える」

B「おお、たしかに!」

A「すると、前にしか蹴れないのでタテパスを送るんだが」

24:02

B「そこは田部井がいる!」

A「そういうこと。悪くない守備ができた。少し岡山も鹿児島に対応し始めたのかもしれない」

28:49

B「鹿児島のコートで競り合いになったな」

A「ちょうど木村太哉の決定機に近いような感じだね」

28:52

B「競り勝って、そのままなだれ込んでいく」

A「岡山は攻撃の組み立てもうまくいっていないし、前プレでハメてショートカウンターも打たせてもらえない。あまり攻め手がない状態だけど、こんな感じで鹿児島コートで競り勝っていくのが今はいちばんチャンスが来そうな気がするな」

29:29

B「鹿児島ロングボール蹴らずにつなぐのかなあと思わせてロングボール蹴ってくるな」

A「ここは、岡山の選手のマークが整理できていて比較的捕まえやすそうな気配だったね」

B「だから蹴ったのかな?」

A「もしかしたらそうかも」

29:33

B「でも、蹴った先には有田がいるのかよー」

A「見事なハイボールの競り合いだ。阿部海大と競り合って、ボールをちゃんと落としてるからね。田上にしろ、阿部にしろ有田単品にかなり手こずってるな」

29:34

B「あれ?なんか有田両手を上げてアピールしてるな?」

A「そりゃもう「なんで走ってねえんだよ!?」しかないだろう(笑)」

B「ああ、せっかくいいボール落としたのにね」

A「ここ走ってたら相当シンプルで嫌な攻撃だったから助かったけど。まあ有田は怒るわな(笑)」

29:50

B「そのまま押し込まれてしまったけども」

A「うん。でも、まあ、岡山は人がそろってしまえばひとまずは大丈夫かな」

B「失点しない?」

A「もちろん0にとは言わないけど、ペナルティエリアまで人数が戻ってきていれば、多少クロスやシュートが飛んできても、そんなにやられるチームじゃないからね」

B「ふむ。クリーンシート19試合は伊達じゃない、か」

30:14

A「ほらね?と言いたいところだけど(笑)」

B「おいおい、鹿児島のクロス3本も上がったぞ(笑)」

A「だいぶ左右に揺さぶられたけど、まあなんとかはね返してはいる」

B「こう、鹿児島のパンチが3発飛んできたけど上体そらして交わしてくみたいな(笑)」

A「そうだといいけど、相手は攻撃のSTEP2をクリアしまくってるからね。まずもって上げさせないようにしたい」

B「それもそうだな(笑)」

30分~45分

30:50

A「いやあ、いいシーンだね」

B「稲葉と岩渕、お互いバチバチにやってるけどここでハグ」

A「しょーもない小競り合いになることも多いけど、なんかお互いに通じるもんがあるんだろうな」

B「いいね、いいね」

31:37

A「岡山の後ろからの組み立てなんだけど、本来は左ルートが多いチームなんだよね」

B「うんうん、そんなイメージがある」

A「それはもちろん鈴木喜丈が優れているからっていうのがあるんだけど、やはりそこに右利きの柳を置くとかなりぎこちなくなる」

B「ブローダーセンも左にパスしなかったなあ」

A「ここで今更だけど鹿児島のプレスのかけ方を見たい」

B「ほお」

A「ここでは入れ替わっててトップ下の鈴木がいってるけど、CBに対してFWがいく」

B「うん」

A「そして左右のCBには両SHがいく」

B「うん」

A「そしてこちらのボランチは有田が見てルートを封鎖する。こんな感じだね」

31:42

B「結局阿部海大からロングボールになったなあ」

A「なかなか平面のパスを繋がせてもらえないね。もしかしたら木村太哉と岩渕を左右入れ替えたほうがいいかもしれない」

B「へえ、なんで?」

A「中盤に下りてきてボールを引き出すプレーは岩渕の方が向いているからね」

B「ふむ」

A「岡山が左でボール持てるなら、岩渕が間に入るプレーも活かせるだろうけど、右だと逆サイドだからそういう良さを出す機会がそもそもなくなっちゃうかなと」

B「なるほどな」

A「ところでこの場面、藤田息吹がすごい」

B「イブくん!」

A「この時点で敵味方の競り合う様子とボールの落下の様子を見て、ボールのこぼれる位置を予測している」

B「まじかよ」

31:42

A「すると、ポテンと目の前に落ちてくる」

B「いやいやいや(笑)」

31:44

A「そして、何事もなかったかのようにボールを回収」

B「ほんと自然すぎてこんなの気がつかないわ」

A「自然すぎるように見える準備がある、ってことだろうな」

32:21

B「また末吉がサイドでボールをもらうシーンだけど」

A「ここ右SBの渡邉が対応に出て、田中に向かって「背中を頼む」ってジェスチャーを送ってるね」

B「ああ、ほんとだ」

A「このしぐさから見ても、やはり末吉の突破に対しては2枚で抑えにかかるという意図が感じられる。あと、田中は攻撃でも守備でもかなり効いている」

B「というと?」

A「攻撃はここまでちょくちょく出てきたけど、まずしっかり戻って味方を助ける仕事をやってくること。そしてやっぱりスピードがあるのがいい」

B「ふむ」

A「プレスに出る、戻って埋める。いずれにしろ機動力があるので結構厄介だな」

34:39

B「また末吉と渡邉の1対1だ」

A「ここは田中がつききれない距離だったので、2対1が作れなかった。だから、ボランチの稲葉が代わりにやってきてやはり2人で対応する」

B「手ごわいな」

34:46

A「そしてとったら例のやつ」

B「有田へぶつけていくわけか」

34:48

A「うまい!」

B「2人に囲まれたのに!」

A「自力で前向きを作ったね」

B「自力で前向き?なるほどそうか」

A「かなりきつい状況だけど、ワントップのFWがこんな風に収めてくれるとチームメイトも信頼してぶつけていけるよね」

34:51

B「だけど、イブくんが絡んでいく!」

A「いやー、ねばり強いいい守備だ!藤田が絡んでいくことで、前向きは作ったがキープが精いっぱいという状況に仕向けたよね」

B「なるほど、そうか」

A「だから、早く前に運ぶことができなかった」

B「遅らせる、ってやつか」

A「藤田が遅らせてくれれば、阿部海大が元のポジションに帰れるしね」

34:59

B「そして、しっかり守備を整えると」

A「そういうこと。ボールの前にフィールドプレイヤー全員で立ちふさがれる状態に回復した。あそこでスピードアップされていたらこうはならなかったはずだよ」

B「遅らせて、守備力を回復するのが大事ってことね?」

A「そうそう。相手のコートに人数をかけているときは、遅らせて守備力を回復させるのが大事」

35:44

B「岡山が後ろから運んでいく」

A「ここはいい感じかもしれない」

B「ほお」

A「阿部に対して左SBの圓道が寄せているけど、右サイドでは本山が余ってるでしょ?」

B「そうだね」

35:49

A「阿部がドリブルで圓道をひきつけてパスすると」

B「あ、なんか余裕持って本山が前向きだ」

A「そういうこと。後方でボールを持つとき、岡山のWBは高い位置をとるんだけど、その分ショートパスを受けられる位置にいないことが多いんだよね」

B「へえ」

A「すると、WBのところに逃げ道がないから詰まっちゃったりするんだけど、ここはうまくいったな」

37:14

B「今度は左サイドの攻撃」

A「ここは柳が上がってきて攻撃参加してるんだけど、その分右SHの田中がポジションを離れることができずに、スムーズに末吉にボールが渡った格好だな」

37:18

B「そしてタテに仕掛けてクロス!」

A「やはり田中に対応させて渡邉がフォローに回る2人体制」

37:21

B「おおっ!きた!!」

A「キムタカナイストラップ!おしこめ!!!」

37:23

B「こねええええええ!」

A「惜しい・・・トラップが少し流れた分、シュートコースが狭くなっちゃったか」

38:23

B「岩渕が左サイドでターン」

A「ここ、鹿児島の左SH圓道が守備に戻ってない。チャンスだ!」

38:28

B「本山が落として、一美がシュートチャンス!」

A「コースは狭いがチャンス!」

38:30

B「体を張ったブロック!」

A「でも、いい形だった。少しづつ岡山もパンチが出せ始めたね」

B「ほんとだね。押し返しだしたぞ」

38:48

A「少し鹿児島がボールに対して遅れ始めたな。あと、ボランチが最終ラインに吸収されて、中央に人がいなくなってる」

B「ほんとだ」

38:51

A「末吉の対策のために右SB渡邉を送っているから、SBーCBの間が少し空いた。そこを見つけた岩渕、田部井という構図だな」

B「いいパス入ってる!」

38:59

A「いやー、ロングパス一本でカウンターか」

B「一人だけ鈴木が残ってたんだな」

A「こういう時のために守備に戻らず前にいたんだろうね。こういうのを前残りっていうんだよ」

B「おお、前残りってこのことか。でも有田じゃないんだね?」

A「わからないけど、おそらく単騎でボールを持たせるなら鈴木の方が向いてるんだろう。有田もスピードがあるけど、鈴木の方がドリブルで仕掛けられるのかもしれない」

B「なるほど」

39:07



A「おいおいおいおい、田中が捕まえられていない!」

B「やべえ!」

A「やはり田中の走力は怖い!」

39:09

B「あぶねええええええ!」

A「マジでヤバかった!まさかパス2本で決定機作られるとは・・・」

40:20

B「また、木村がSBの位置に落ちてる」

A「そうそう、だけど岡山もかなり慣れてきたな」

B「ふむ」

A「一美が稲葉を消して、CBにプレッシャーをかけていく」

40:26

B「ほんとだ、この形さっきと同じだ」

A「右SB渡邉のところには末吉が行って、インサイドに折りたたまれた田中は田部井が見る。いいねいいね」

40:29

B「渡邉がロングボールを蹴った」

A「まあ、この鹿児島は「関係ねえ蹴っちまえ!」が武器になるのが厄介なところだよなあ」

B「やっぱり有田がいるから?」

A「そうそう、今のところデュエルでvs田上もvs阿部もかなり優勢にやってきてるからね。岡山もJ2で上位のFWと何度も渡り合ってきたけど、有田にはかなり手を焼いているな」

40:44

B「また、鹿児島コートでの競り合いを制して一美が前向きになったね」

A「うん、木村太哉の最初の決定機のときと同じように、ここでセカンドを拾うと鹿児島の守備陣形も整っていない」

40:46

B「一美はとってすぐさま岩渕にパス」

A「そこが早いから鹿児島は戻る時間がない」

B「そして、岩渕からスルーパス!」

A「木村太哉は斜めの動き出しで抜け出しにかかる!ここはCB岡本が対応するのは不可能だろう!」

B「ほ?」

A「岡本の体の向きを見てみ」

B「向こうのタッチラインの方に向いてるね」

A「それと入れ替わるようにキムタカは斜めに走るから」

40:47

B「あああ!体を回転させてるうちに!」

A「くるって回らないといけない分、どうしても遅れて振り切られる!」

40:48

B「そして体勢を崩さないキムタカ!」

A「強い!あとは押し込むだけだ!!」

40:49

B「こねえええええええ」

A「GK泉森スーパーすぎる・・・」

B「もうこれで決定機3つ目だよ。なぜ決まらないんだ・・・」

A「1本目と2本目に関してはもっとうまくやれそうな余地はあったと思うけど、この3本目のキムタカは精いっぱいだと思うわ。ボールも悪くないところに飛んでるけど、泉森も足伸ばしてよく止めてる。これは相手を褒めるしかないな・・・」

44:51

B「また岡山の後ろからの展開」

A「ここも本山の位置を見たいな」

B「センターラインを越えて岡山コートに入ってるね」

44:54

A「鹿児島は有田を使ってこちらのボランチを消しに来るから、ボランチへのルートはないんだけど、本山が低い位置まで下りてくるので阿部に右サイドへのパスコースがあるよね」

B「うんうん」

44:56

A「ここでのスルーは上手くいかなかったけれど、一美vsCBあるいは、SBの裏にキムタカが走るとか、SBを本山に食いつかせると少し運びやすくなる。これはひとつ収穫というか、いい変化だと思うな」

B「なるほどなあ」

A「たしか甲府戦だったかな?阿部海大がアダイウトンにかっさらわれてゴール取られたときがあったでしょ?」

B「あ、あったね!」

A「あのときも阿部が持ったときに右サイドに選択肢がなくて出せないように見えたんだよね。だから、本山の立ち位置でパスコースを提供するみたいなことが大事になってくるかもしれない」

45:48

B「しかし、よくボールを拾うな田中渉は」

A「ボールがよく回ってくるよね不思議と。さて、前向きだ」

B「パスもドリブルも自由にできる。しかも、岡山の選手はまだちょっと離れてる」

A「どんな選択をするかな」

45:52

B「うお、すげえ!!」

A「素晴らしいサイドチェンジ!足元ピタリじゃないか。あとそれを収めた圓道のトラップもすごい!」

45:56

B「ナイス!ダーセン!」

A「切り替えしてからのシュート、やっぱり左サイドから右に切り返されて右足のシュートは防ぎにくいな。しかし、本山がついていったおかげでコースは限定できたかもしれない」

B「割とダーセンの真正面気味というか?」

A「そうだね、ビッグセーブだけど余裕はあったように見える。もしこれをファーサイドに巻いて流し込むようなキックをされていたらやられていたかもな」

B「鹿児島はいい形作ってるけど、シュートがあんまりな気もするけどどう?」

A「この圓道のは枠内だったけど、枠外がちょっと多いイメージがあるね
。まあそうそう枠に飛ばされては困る(笑)」

46:47

B「鹿児島のCKだけど」

A「ここもニアに味方を走らせることで、野嶽の前がぽっかり空いてるよね」

B「ああ、さっきのやつと確かに似てるな」

46:49

A「なので、こぼれ球を野嶽がミドルシュートできるという」

B「岡山の選手は出るに出られないって感じだな」

A「岡山のセットプレーの守備もこうして研究されていくわけだな」

B「いろんなことをやってくるんだなあ」

前半をふりかえる

A「さて、これで前半終了」

B「うーん」

A「納得のいかないご様子」

B「鹿児島にだいぶ殴られたなあっていうのがちょっとね。相手は今シーズン最終戦とはいえ、19位のチームだし。いや、舐めてるわけじゃないんだよ?でも、もうちょい、こう、さあ?」

A「まあ、気持ちはよくわかるよ。しかし、鹿児島は岡山をしっかり研究して勝ちに来てる。だからいいサッカーができていると思うな」

B「そうだなあ、決定機はあったけど苦しい前半だった」

A「苦しんだ原因はどう考える?」

B「ええと、まず、強みである前プレができなかった」

A「うんうん、それはなぜだったろう?」

B「鹿児島はロングボールを蹴ってきた。そして前線に有田がいて競り合いに強い」

A「そうだね。しかし、ショートパスで剥がすこともできていた」

B「ボランチとかSBの立ち位置を変えたりしてきていたな」

A「岡山も前プレで手ごたえがつかめずにリズムに乗れなかったのは確かだろう。しかし、こうしてみると微調整して対応しようとしているのも見て取れた」

B「そうだね」

A「攻撃の方でも、左サイドから組み立てるのをやめて右に切り替えてからはいくらか運べるようになっていたし」

B「うんうん、手も足も出ないってわけではなかった」

A「しかし、キムタカに決定機が3つ」

B「3つ・・・せめてどれか一つでも取れていれば」

A「ここまで実にのべ19チームが無得点だったのが今年の木山ファジだからね。先制さえできればゲームの主導権は握れていただろうな」

B「岡山の決定機は鹿児島コートでセカンドを拾ってからの形が多かったよね?」

A「ここ数試合の岡山のいいところは出てると思うね。取ってから次のパスまでが早い。そして受け手に絡む3人目の動きもある。ちょうど3つめの決定機みたいなのは典型的だと思う」

B「なんとかして後半1点とりたいところだけどなあ」

後半開始~60分

47:39

A「さて、さっそく前プレに出る岡山だけど」

B「うん」

A「ここでGK泉森までつっこまずにボールを持たせて、右CB戸根に備える岩渕」

B「ふむ」

47:42

A「右SB渡邉に対しては末吉、ボランチの稲葉に対しては田部井と。枚数が足りてるね」

B「余ってる鹿児島の選手いないね」

47:50

A「前方に蹴りだす鹿児島、ハイボールをヘッドする田上」

B「ああ、前半の最初の方にあったようなズレてズレて後手後手みたいになっていないってこと?」

A「そういうこと。ただ、こうしてスローインで鹿児島ボールになってるわけだから鹿児島としても「それならそれでいい」というところだろうね」

48:29

B「ごちゃついたところから、末吉がボールを抑えた。こういうタイミングだね?」

A「そう。もう慣れたでしょ?」

B「ついついぼーっと見ちゃってたけど、こうやってどこを見ればいいか決めとくと楽だね」

48:35

A「鹿児島は両SHを折りたたんで人口密度が上がる分、ワイドにボールを逃がされるとストップできる人がいない」

B「ふむ」

A「メリットあればデメリットもあるということだな」

50:26

B「カウンターに入られそうなところだったけど」

A「本山のナイスカバー!」

50:29

B「しかし、なんたる不運!」

A「ちょうどいい感じのパスになってしまった、けどこれは仕方ない」

55:43

B「ここで鹿児島は木村祐志が交代」

A「いやあ、木村もついに引退か」

B「印象に残る選手だったの?」

A「そうだね、一番思い出すのは北九州時代かな。まだ岡山もそんなに勝てない頃だったけど、うまい選手がいるなあって思ったのが木村だった。あれからもうだいぶ経つよ。本当にお疲れさまでした」

56:33

B「なんか、鹿児島のプレッシャーも弱まってる?」

A「そうだね、後半に入って少し運動量が落ちてきて岡山が比較的ボールを持ちやすくなってきてると思う」

58:13

B「阿部がドリブルで持ち上がる」

A「いいね。後半はかなり意識的に右サイドからの攻撃を増やしているように思うな。本山が低い位置にいて、そこを左SHの圓道がケアするから、ドリブルがしやすいんだろう」

58:15

B「なんかキムタカを走らせるシーンが多いような?」

A「結構くりかえし狙ってるよね。末吉を深い位置になかなか送れない分、右サイドの深い位置を太哉でとりたそうな気がするね」

B「あのさあ」

A「うん?」

B「田中雄大とかほかにもシャドーの選手いるけどそれでもやっぱキムタカなんだろうか?いや、不満じゃなくてさ」

A「やっぱり、スピード・ドリブル・抜け出し、そしてプレス強度を考えるとキムタカになるのは納得な感じがあるな。雄大はもうちょいトップ下っぽいタイプだしね。JPこと早川とか、吉尾虹樹とかもそうだと思うけど」

B「なるほど」

60分~75分

60:21

A「ここで岡山もいつもの交代策」

B「一美に代えてルカオ。木村太哉に代えて神谷」

A「神谷はトップ下タイプで、雄大とかと同じ系統だけど、攻撃に関するスキルがたぶん一番高い選手じゃないかな」

B「セットプレーのキッカーとしても期待できる選手だよね」

A「ほんとそう。こういう膠着したゲームでセットプレーのキッカーとして送り出せる強みもある。疲れてくる時間帯だし、スペースも空いてくるから仕上げのパスを期待したいな」

B「ルカオは古巣対戦」

A「いいところを見せてほしいな」

B「あの、全然関係ないんだけどさ」

A「うん?」

B「解説の柳崎さんがたまに「~でしたり」って言うじゃん?」

A「あ、言うね」

B「~だったりって意味だと思うんだけど、岡山の解説の赤嶺さんと同じなんだよね(笑)」

A「赤嶺さん鹿児島実業だからなあ(笑)」

B「あ、じゃあ方言なのかな?」

A「もしかしたらそうなのかもしれない。あんまり他では聞かないもんね」

61:56

B「鹿児島が後ろから運んでいく」

A「ここちょっと鹿児島の選手の立ち位置が変わってるんだよね」

B「ほお」

A「流れの中で、ということだと思うけど、ボランチの稲葉と田中が入れ替わってる。そして、右SBの渡邉がSHの位置にいるんだな」

B「あ、ほんとだ。鹿児島もいろんなことをやってくるな」

61:59

A「渡邉が下りていったので、末吉がついていく。するとその背後が空くわけだけど」

B「戸根からパスが出そうだ」

A「大外を稲葉がスペースに抜けようとする」

62:02

B「ああ、ここで稲葉に前向きを作られた!」

A「しっかり構えて守れるときにこんな風にサイドでフリーを作られることはないんだけどね岡山は。ちょっとやられてしまったな」

67:34

B「神谷が左サイドでプレーすることが多いような?」

A「そうだね。前半はなるべく末吉にドリブルさせたいということで、岩渕が寄っていって絡むみたいなシーンは少なかったけど、神谷が入ってからはかなり積極的に絡んでいってるね」

67:39

B「うまいっ!」

A「まさに!っていうプレーだったね。左足でぴたっとタテパスを止めて、相手から遠いところにボールを置いて右足でスルーパス。ほんとトップ下っぽいプレー」

67:40

B「ああ、神谷のスルーパスでやっと末吉がここで前向きだ!」

A「中にはルカオ、岩渕がいて、ファーには本山もいる!」

67:48

B「いやー、岩渕には合わなかったか・・・」

A「しかし、神谷が左サイドで後ろと前を接続してくれるので、やっと末吉が解放されたね。早速効果アリだ」

68:43

B「あら、せっかくロングボールを蹴らせたのに、鈴木にキレイにヘッドされちゃったな」

A「トップ下を置くチームだとこういうパターンもあるんだよ。FWがCBと取っ組み合いしてるすぐ後ろでボールに関与できる。こちらのボランチは前プレに出てるから鈴木を見るわけにはいかないからね」

B「やっぱりロングボールは有効なんだな」

A「特に鹿児島みたいに前線でボールを残せるチームだと、蹴らされても攻撃の火が消えないからね」

69:30

B「おっと!ルカオが前向きだ!」

A「いいねいいね。鹿児島は左SBを高い位置に送ってボランチの中原が代わりを務めるんだけど、この時点では攻撃に参加して誰もいない」

69:35

B「おお、早い早い!」

A「オープンスペースがあってドリブルさせるとルカオを止めるのは難しい。鹿児島に脅威を与えるためにもここはいい形で攻撃を終えたいな」

69:45

B「いやー岡本がんばったなあ・・・」

A「ストップされちゃったな。得意なサイドだし、ここでルカオがブチ抜くみたいなことになれば大チャンスになる。仮に点に結びつかなくても、相手はルカオのカウンターが脳裏に刻み込まれるだろうしね」

B「ああ、下手に上がっちゃうとルカオに殴り返されるのが怖くなる?」

A「そうそう。なのでもうちょい脅威を与えておきたかった」

70:58

B「ここで岡山は2枚代え。岩渕に代えて太田龍之介。田部井に代えて竹内」

A「岡山は点を取らないと5位になりそうな状況だし、行くしかない。後半はここまでどちらにもビッグチャンスと言えそうなチャンスはないし、どちらかというと膠着している」

B「なんとかこじ開けてほしいけど、ちょっとミスが多いような?」

A「そうだね、パスがズレたりみたいなシーンが普段よりも多いような印象はあるね」

B「なんでだろ?」

A「もしかしたら、風と雨の影響があるのかもしれないな」

B「太田龍之介は70分で投入」

A「プレータイムを長めにもらえたし、いいところみせてほしいな」

B「1点欲しい!」

71:52

A「うん?」

B「?」

A「これちょっと並びが変わったかもしれないな」

B「え、そうなの?」

A「ボランチのところに竹内一人しかいない」

B「ほんとだ」

A「そしてその前に神谷と藤田。ということは3142にして、ルカオと龍之介の2トップにしたのかもな」

B「ほう」

71:53

A「ここは阿部海大からのロングフィードだけど、ちょっとルカオのタイミングと合ってない」

B「ふむ」

A「本山が左SBの野嶽をつり出してルカオをスペースに走り込ませようということだろうけど」

B「ルカオを右サイドに走らせる、か」

A「こういう使い方がルカオの良さを一番引き出せるからね。ルカオがサイドに出ていっても中には龍之介がいるし」

B「なるほど」

72:27

A「GKから右SBのパスだけど、ここは末吉が出ていく」

B「うん」

A「そしてダブルボランチはこちらのインサイドハーフ神谷・藤田が見る」

72:32


B「GK経由で左CBへ」

A「ここはそのままルカオが追いかけていき、左SBには藤田が走る(笑)」

B「遠い(笑)」

72:37

A「藤田がサイドでふたをして鹿児島の前進をストップ。しかも、逆サイドではちゃんと神谷が戻ってきていて、中盤の3人が連動しているように見えるね」

B「おお」

A「しかし、ひと昔前の岡山では考えられないような中盤の3枚だな」

B「神谷・竹内・藤田」

A「みんなex清水エスパルスだ。プレーオフは清水の皆さんにも岡山を応援してもらおう」

72:42

B「なんか鹿児島、とまどってる?」

A「こちらの立ち位置が変わったので「あれ?」ってなってるかもね。こういう風に立ち位置が試合中変わるとどうなったのかわかりにくくて戸惑うことがよくある」

B「へえ」

A「オプションとして3421→3142の変化を持っておくことは、変化を起こしたいときの打ち手としてアリだね」

74:04

B「ちょっとベンチのアップ映ってたから何が起こったのかわからんかったけど(笑)」

A「なんかが起きて、うまいこと鹿児島が前を向いたね(笑)」

B「あ、五領が交代で出るのか。この選手も満了が発表されて退団するみたい。2015年からずっと鹿児島なんだって」

A「いやー、そんなに長いこと鹿児島だったんだ。昔熊本にいたことは覚えているけど。そうすると昇格も降格もずっと一緒にやってきた選手ってわけだ。そりゃあアップにもするわなぁ」

74:05

B「うお!何今の!?」

A「野嶽がうまいこと方向を変えて、竹内を振り切ったな」

74:12

B「有田がクロスを上げる」

A「さて、鹿児島はここが問題だよな」

74:13

B「ファーサイドを狙ったけど、柳にはね返されたね」

A「やっぱりボックス周辺でのクオリティというか。シュートなり、クロスなり、得点に直結する部分の質がもう少し欲しいってところだろうな」

B「でも、惜しいんだよね」

A「そうそう、こちらもかなり運ばれているんだけど最後のところで助かってるシーンが多いようには思う」

75分~試合終了

75:05

B「ここで鹿児島も2枚代え。有田稜に代えてまた有田。こっちの有田も満了みたい」

A「こっちの有田はよく知ってる。愛媛で点とりまくってたからね。そうか、有田光希も満了か」

B「そして五領がやはり出てきた」

A「なんか、最終戦らしいゲームだな」

77:04

B「田上からのロングボール」

A「太田龍之介が入ってからは明らかに彼がターゲットになってる。よく競り合ってボールを落としてると思うな」

77:10

B「そして、神谷を経由してまたルカオを走らせると」

A「すごくいいと思うな。代わった選手の持ち味が全部出てる。龍之介のたかさ、神谷のうまさ、ルカオのはやさとつよさ。むしろ3421のときよりもルカオを走らせやすいんだろう」

B「へえ、なんでなの?」

A「3421だと一美がいない場合ルカオが頂点にいるからね。サイドにはシャドーが抜けることが多くなる。でも2トップだと、真ん中は龍之介にまかせて飛び出せる。木村太哉が担っていた右サイドの矢の機能をルカオに託せるって形になっていそう」

B「なるほど」

A「それと、藤田息吹がペナルティエリアにもっと顔を出せるようになるだろうな。この人は守備面が注目されがちだけど、実はマークされずにスルスルボックスに侵入するのがすごくうまいんだよ」

B「へえ」

A「今年はそういうシーンが多くなかったけど、プレーオフのここぞ!という場面で観られるといいね。藤田息吹が上がってくるのマジでトラウマなんだよ。山形時代の・・・怖いんだあの人」

B「山形戦でお見舞いしてほしいな!」

A「ほんまに。ほんまに頼むよ藤田息吹」

77:50

B「岡山の右のCK」

A「左の末吉、右のルカオとタテに運べるようになるとCKをとりやすくなる。そうすると田部井が代わっても神谷がいるからプレイスキックのクオリティは落ちない」

B「たしかに!」

77:55

A「そしてやっぱりファーサイドでは柳が競り勝つ」

B「なんだかんだ言ってこの人のヘッドはやっぱ強い!」

78:44

A「おお、ここで高木を入れるか」

B「本山と交代ということは、末吉を右に?」

A「だろうね、これで左サイドに左利き、右サイドに右利きを置く順足配置になる。左右からクロスがあがるといいんだけれどどうなるか」

80:08

B「中盤でのセカンドボール争いだけど、神谷が拾ってすぐに前へ」

A「あいかわらず両SHを畳んで人口密度が高いので鹿児島はセカンド争いに強いけど、ここはうまく拾えたな」

80:10

B「そして取ったらすぐに右サイドに送ってルカオを走らせる」

A「前半鹿児島が有田を使ってやっていたような形に近い攻め筋だな」

80:15

B「ルカオにも2人ついてくるけど、間を通した!」

A「そしてインナーラップでボールを受ける末吉!いいじゃないか!」

80:16

B「いやー、しかし、稲葉が止めに来た・・・」

A「すごいよ稲葉。前半からそうだけど、あそこ一番めんどくさいところだもんな。どうしても外に人が引っ張られるから内側を掃除しに来るんだけど。ここ突っ立ってたら決定機だもんな」

83:07

B「太田龍之介が真ん中でキープして左サイドへ」

A「ボックス内には神谷、藤田、太田、ルカオと選択肢多いよ!」

83:11

B「うお!最高のボール!!」

A「これは絶好のチャンス!!!」

83:13

B「こねええええええええ」

A「いや、最高のボールだったんだけどな・・・」

B「後半で一番いいチャンスだったなあ。ほんとに一点が遠いよ・・」

84:18

A「おお、端戸と井林が出るか」

B「知ってる選手?」

A「たくさん対戦したからなあ。端戸は北九州とかヴェルディで、井林は主にヴェルディと清水で。みんなベテランになったなぁ」

94:14

B「いやあ、岡山の選手も勝ちたい」

A「気持ちが伝わってくるね。しかし、なかなかチャンスまでは遠い」

95:03

B「いやー・・・わかっちゃいるけど悔しい」

A「4位には届かなかったね・・・」

試合をふりかえって

B「ということで、ファジアーノ岡山は5位でプレーオフ進出。最初の対戦はモンテディオ山形ということになりました」

A「この試合の鹿児島のMOMは田中渉かなと思うんだけど、田中とか有田にかなり苦しめられたよね」

B「特に前半はもどかしかった・・・」

A「そんな彼らをレンタルで出した側の山形と対戦ということで」

B「このくらいやれる選手をレンタルで出してみたいわ(笑)」

A「ほんとそれ(笑)」

B「さて、リプレイを通してみての印象を聞いてみたい」

A「うん。まず岡山の前プレに対して鹿児島が入念に対策を施してきた。得に前半の岡山はそこでリズムに乗れなかったよね。これはプレーオフを考えるうえでも最も重要なポイントだろうと思う」

B「うんうん」

A「鹿児島は有田がいるのでロングボールでこちらのプレスの頭越しにボールを運ぶ、という手段を採用していた。これは彼らのキャラクターを生かすのにすごくよかったと思うな」

B「これ、プレーオフでやられたらイヤなんじゃない?」

A「まあ、そういう場面もあると思うけど、プレーオフに出てくるチームはみんなボールを持つチームだからね。鹿児島ほど割り切ってロングボール比率を上げてくるチームは少ないんじゃないかと思う」

B「ふむふむ」

A「ロングボールを蹴る比率があがれば彼らが今シーズンやってきたつなぐスタイルを脇に置く格好になるし、プレーオフとはいえそこまで大胆な路線変更はないだろうとは思うよ」

B「なるほど」

A「鹿児島の課題というか、まあ、シーズンは終わってるんだけど。やっぱり最後のところでのクオリティが伴わなかったのが岡山としては助かったね」

B「枠をなかなかとらえられなかったね。でも、前半の田中のやつはやばかった」

A「いや、パス2本でカウンター突き刺しました!ってなったら、なんと効率のいい攻撃なんだ!って話だったね。あれは肝を冷やした(笑)」

B「岡山の収穫はあるんだろうか?」

A「ここ2試合藤枝、鹿児島とやってきたわけだけど。藤枝はGKを使った4バックっぽい持ち方をするし、鹿児島は選手配置をいじってくるタイプ4バックだったよね」

B「うんうん」

A「どちら岡山の前プレをやらせない。剥がして運びたいという狙いがあると思うけど、この試合はなんとか修正して相手の変化に対応して前プレをハメようとしていた。そこは良かったかな」

B「だけど、だいぶ手間取ったよね?」

A「半ば前半を犠牲にするような格好になったね。まあ、でも、ここはほんとに難しい。繰り返しになるけど、プレーオフに出てくるチームが岡山の前プレに対してどういう対策をしてくるのか?は最大のポイントだな」

B「他には?」

A「後半神谷とルカオコンビ、そして竹内・太田のコンビを入れて3142にしたのはオプションとして使えそうだったね。ルカオを右サイドの槍に変えることができていたし」

B「あれ、おもしろかったね」

A「あと、もしかしたら4バック相手に3142の方が前プレしやすいかも?というのもある」

B「へえ」

A「2トップと2枚のインサイドハーフで4人そろえられるから、枚数をあわせやすいんだと思うけど」

B「でも、たしかにこの試合は後半の方が前プレできていたよね?」

A「相手の疲れもあるだろうけどね。でも悪い手ごたえではなかった」

B「しかし、鹿児島は19位とは思えないくらい強かったって感じたな。リアルタイムだと特に」

A「まあ、どうしても勝ってほしい!ってバイアスがかかるからねリアルタイムは」

B「Aはそういう風には思わなかった?」

A「鹿児島はすごく岡山が試されるようないいゲームをしたのは間違いないと思う。しかし、鹿児島も鹿児島で苦しんできたはずだよ。そして上手くいかないゲームが多かったことだろうと思う。この試合でも、前半に決定機が3つあったからね。3つはちょっと多いかな」

B「ふむ」

A「勝負事にたらればは禁物ってよくいうけど、自分はむしろ逆で」

B「ほう!」

A「〇〇だったらどうだったろう?というifストーリーを想像するのはすごく大事なことだと思ってる。たくさんある可能性のうちの一つが現実になってるわけだけど、違う可能性だとどうなったろう?という」

B「ほうほう」

A「もちろん勝負は紙一重だけど、木村太哉が3つのうち1つでもとっていれば、たぶん2-0とかで勝てたかもなとは思うな。しかも、うまく足に当たらない方が逆にゴールになったりすることもあるからさ。サッカーでは」

B「ああ、たしかにそういうのあるね。クリーンヒットしない方がうまくいきましたみたいなの。そういうこと考えるとゴール取れるかどうかも運、というか、なんというか」

A「そうそう。結構そういうところで左右されちゃうこともあるから、うまくいかなかったからといって実力がないんだとバッサリ切り捨ててしまうのは、1つのストーリーだけを見てものを言うことになるからね」

B「なるほど」

A「まあ、そこも含めて勝たないと、という言い方もできるんだけどね。しかし、決定機をどれかとれていれば岡山にリードを奪われて2点取って逆転できるチームはJ2にあまり多くないのは事実だし」

B「38試合やって20試合がクリーンシートだもんな。それにしても、最近は先制できるようになってきたんだけど、この試合は遠かったね・・・」

A「そうだね。セットプレーのクオリティもちょっと上がり切らなかったかな。それにしても、この試合に勝ってくれたらプレーオフ1回戦を岡山で現地観戦できたなぁと思うと悔しいよ・・・・(笑)」

B「あ、そうなんだ?」

A「普通に仕事です」

B「あ、そりゃあ・・・」

A「ん?まさか行くの?」

B「・・・うん」

A「マジか・・・うらやましい」

B「真冬の山形で一番熱い岡山を見せてくるよ」

A「そうか、じゃあ自分の分も頼む。アウェイゲームにはなるけど、山形の大観衆が山形にとって味方になるとは限らないからね」

B「え?なにそれ?どういうこと??」

A「経験が鍵になるかもしれない」

B「え、なんだよそれ。気になる!」

A「じゃあ、またプレーオフのマッチリプレイで会おう!」

B「いやいや、答えは!?」

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