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J2第3節 ファジアーノ岡山vsレノファ山口 プレビュー

どうも、ゼロファジです。

今年もこのカードがやってきました。ファジアーノ岡山vsレノファ山口。個人的な話になりますが、岡山と山口は自分にとって大変思い入れの強い土地でして、そこを代表するクラブが相まみえるこの対戦は個人的にセルフダービーだと思っております。去年はなんと山口アウェイでクラブ公式のトークイベントに参加させていただいたこともあって、もはや1シーズンの単なる2試合にはとどまらないカードとなってきておるわけですよ。

今回はこのセルフダービーを盛り上げるためにも、去年同様みっちりとそしてやわらかくプレビューしていきたいと思います。

レノファ山口の試合は秋田戦をフルマッチ。横浜FC戦は前半のみ。ざーっと見た感じなので解像度的には粗々な感じですが、大筋でこんなイメージという話はできるのかな?と思っております。

両チームのこれまで


ということで、まだ2試合しか消化していませんがそれぞれのこれまでを簡単にチェックしておきたいと思います。


志垣さんは金古聖司と同級生!


いわきの風には気をつけろ!

ちなみにJ2での過去の対戦成績では岡山の8勝、山口の2勝、ドローが6つとなっており、去年は2試合ともドローでした。

志垣レノファの印象


次に志垣監督率いるレノファ山口の印象についてですが、まずフォーメーションは442で、2戦とも先発メンバーは変わらずこのようになっていました。

岡山と対戦のなかった選手でいくと、FWの若月(←湘南)、ボランチ田邊(←中央大)、左SB新保(←盛岡からレンタルバック)といったあたりですね。ちなみに、新保選手のお父さんは元松本の田中隼磨さんだということで。効き足は違いますがお父さんと同じサイドの選手になったんですね。もともとはFWの選手だったようです。

横浜FC戦、秋田戦を見ての志垣レノファの印象ですけども、全体的には非常にリスク管理を考えた手堅いサッカーになってるんじゃないかな?と思います。レノファといえば上野さん時代しかり、霜田さん時代しかり、華麗なパスワークでJ2界隈の大きな話題になった時期がありました。去年もポゼッション路線を継続していたように思います。特に名塚さん体制のときとかそういった印象強かったですね。

今年はその路線を修正して、実に堅実な方向性にシフトしている印象を強くうけました。これは山口にとっては大きなことだと思います。他サポながら無責任に言わせていただくと、多分この路線は山口にとって良い選択になるんじゃないかな?と思いました。やはり、失点を減らさないと安定した戦いは出来ないですし降格圏内から離れて中位上位へと上がるためにはまずそこをもう少しバランスさせる必要があるだろうと。

岡山も今度技術委員長になる影山さんが監督を務めていたあたりから、守備で計算ができるようになって、それをベースに最下位近辺から順位を上げて中位、PO圏内にと進んできた経緯がありました。なので失点しないチームになるってやっぱり大事だなあと思います。ちなみに改善兆しが見えはじめたのが2011年。そこからPOに出るまで5年かかりました。

志垣レノファがボールを持ってるとき

志垣レノファがボールを持っているときの特徴としては、まず左SBの新保選手を高い位置に送る反面、右SBの前選手はステイします。なので、本来は442のチームですが形としては3バックに変化します。


場合によってはボランチの佐藤選手、あるいは田邊選手が中央や左サイドに降りて4バック、5バックのような形になることもあります。これだといわゆる後ろに重い形になっていて、人数を後ろに割きすぎる感じになるっちゃなるんですよ。でも、多分ここに仕掛けがあるんじゃないかなと。その辺は後ほど山口の”前プレホイホイ”大作戦?というテーマでお話します。


後方でボールを持つと前線の動きに合わせてロングボールを蹴っていきます。このように184㎝の長身FW梅木選手をターゲットにしてそのこぼれ球を周囲が拾うとか。


あるいはサイドにスペースを作ってそこにロングボールを流し込み、攻撃陣を走り込ませる。このような攻撃のやり方を主軸としています。


もし、味方が前線でうまくボールを収めたらそこで時間が作れるので、他の選手もここぞとばかりに押し上げて敵陣に入っていきます。

逆に相手にボールを拾われてしまったときは、ボールを失くした地点からすぐさま即時奪回、いわゆるカウンタープレスに入って奪い返す、と。それが無理でも相手のボール運びを邪魔していく。ディテールは省きますが大筋ではこういうイメージを持っておくといいのかなと思います。

これは余談ですが、レノファサポーターのひとにとっては後ろの選手が前線を確認してボールを蹴れそうか?ということ、そして前線の選手の動きはどうなっているか?この2つのポイントについて目線をチラチラ動かしながら見るとより山口の攻撃シーンは楽しくなるんじゃないかな?と思います。まあ、前線の動きはあまり中継には写らないのでそこは問題ですけども。

このように志垣レノファはロングボールを使って起点を作り、失ってもカウンタープレスという流れになりがちなので、ボールを失う地点は必然的に山口ゴールから相当に遠い位置になります。遠いということは守備を整える時間がある、ということなので攻撃は低リスクに守備はより手堅くというサッカーになっているんじゃなかろうか?というところです。

去年までの山口の印象は丁寧にボールをつなぐチームというものでしたが、このメインの攻撃のやり方を見ても違いは明らかで、今年の山口はボールをつなぐことにそこまで固執しません。少なくとも現段階においては。このあたりの戦略的な変更についてはファジアーノ岡山も共通する部分があるので、これも後ほどお話します。

志垣レノファがボールを持っていないとき

一方守備の方では442でブロックを作り、前プレには出ません。ハーフウェイラインをちょっと越えたあたりに構えてそこからプレスに出る。いわゆるミドルブロック、ミドルプレスというやつですね。これが基本的な振る舞いです。


ボールがサイドに出たらブロックがズルっと動いて封鎖していく。山口の基本的な守備の構えはこのようなスタイルになっています。

守備が固くなったな!と思わせるシーンとしては、仮にCBが飛び出して相手に対応したときなんかが顕著かなと。ボランチがスッと入ってこのように最終ラインに穴を作らない。こうした動きをマメにやってきます。

さらにはFW陣の守備意識も強く、かなり山口ゴール近くまで戻ってきます。こういった点からも去年の67という失点数をがっつり減らしていくんだ!という姿勢がうかがえるかなと思います。

レノファ山口の”前プレホイホイ”大作戦?


前プレホイホイ?なんのこと?って話なんですが、秋田戦で興味深いシーンがあったのでピックアップしてみたいと思います。時間としては23:10あたりからの一連のシーン。


GK関からパスを受けてジリジリと山口が進んでいきます。対する秋田は442のミドルブロックで構える形。秋田のブロックの前あたりで前進を止めてパス交換を行う山口。

ちょっと選手の配置を確認してみると、


左SBの新保選手は高い位置を取る。そしてボランチの田邊選手がCBボムヨン選手の隣に落ちてくる。形としては4バックです。さらにボランチ佐藤が4バックの前に一人いると。こんな感じになっています。ここで山口は前方うかがいつつパスコースを探してゆっくりプレーするシーンが多いです。だけど、これってちょっと違和感のある現象なんですね。

山口の4バックはお互いの距離感が近すぎるので、仮にこの4人でパスを回しても逃げる距離が短いので秋田も追跡しやすいんですね。

こんな風にもうすこし横に開いて選手がポジションをとれば、秋田も長い距離をおいかけなきゃいけなくなるというわけです。でも山口はそれをしないで、秋田の前線の4枚の前で並んでゆっくり様子をうかがうわけです。「これは一体何をしたいんだろう?」と。「今年の山口は落ち着いてるなバタバタしないな」なんて自分も思ったんですけど、それは多分完全に騙されていて、山口の狙いは恐らく擬似カウンターだろうと思うんですね。

擬似カウンターというのは大分の片野坂監督が最初に大分を率いていたときに話題になった攻撃のやり方で、バックパスを使って相手のプレスを自分たちのコート深くまで引き込んで、その上でパスを回してプレッシャーを交わし、生まれたスペースをうまく使って攻めていくやり方です。それがあたかもカウンターのときのように見えるので擬似カウンターと呼ばれるわけです。おそらく山口は前プレホイホイからの疑似カウンターをやろうとしてるんじゃないかな?と。

では、シーンを進めてみます。
山口は秋田の守備ブロックの前まで進むと、横パス・バックパスを使ってGK関のいる方へと下がっていきます。秋田はそれがチャンスと見て、徐々に前線がプレスに出ていく。

秋田としては「山口が出しどころに困って後退している!ここはチャンスだ!」という心理だったことでしょう。ところが、それは山口の巧妙な手口で、まんまと秋田は山口の前プレホイホイに誘い込まれてしまうと。



前プレに出る、ということは秋田のコートから選手が出ていくということなので、ちょうど秋田の守備ブロックが縦に引き伸ばされる格好になります。そうすると秋田のコートには広大なスペースの大草原が発生しますし、秋田の守備陣形の中にもスペースががそこかしこに生まれます。


山口は3バック陣の後退にあわせて、前の方に位置していた選手も一旦落ちてパスコースを作ります。そして後方のパス回しでCBが多少時間を得ると、前線の様子を見てロングボールを蹴る。


すると、右SHの吉岡選手へとボールが送られて疑似カウンターが発動。この時点で秋田の最終ラインと山口の攻撃陣は3対3の数的同数ですからね。さらにここで見事な切り返し一発で吉岡選手が相手を抜き去り前へと運んでいきます。秋田も守備意識が高くて戻ってくるスピードも速かったですが、いかんせん守備陣形が伸び切ってましたからね。整えるのに時間がかかります。


さっきも言ったように前で時間を作れたら、後方にいた山口の選手も「上がるチャンスだ!」ということで一斉に上がっていくと。ロングボールが蹴られて10秒ちょっとの時間で、最後方にいた田邊選手はかなり秋田コートの深いところまで進出してきました。まさに、ロングボールを使った擬似カウンター的な攻撃と言えるんじゃないかなあと。

もし、後方のパス回しで佐藤選手がボールを受けられるならそこにショートパスを差し込んでいけばいいし、空かないならロングボールを蹴ればいい。こういう形はまだ見てませんけど、多分そういうことも考えてるんじゃないかなあと思います。

カチカチに固められた守備ブロックをパスで崩すのは難易度もリスクも高いですが、このように引き込んで間延びさせロングボールで打開すれば擬似カウンターのような形で比較的安全にボールを運べる。これが志垣レノファの"前プレホイホイ"大作戦なのかな?と。

これは相手が秋田だからわざと撤退してみせてつり出して疑似カウンターに入るという形になっていますけど、もちろん前プレに出てくる相手に対しては向こうから来てくれるわけですからね。上手に交わしつつロングボールを打ち出して前に運んでいくということになるでしょう。

いずれにせよ、安全に相手コートに入りそこで時間を作って押し上げていくというのが基本戦なのかなあと。前プレに対してどう対応するのか?というところについては、結構力を入れているのかな?という印象でした。

両チームに共通する戦略的変更


さきほどお話したように、岡山も山口もポゼッションにこだわらない、どちらかといえばロングボールの比重の高いサッカーにシフトしてきています。これも仮説ではあるんですが、おそらく両者ともにJ2リーグを戦っていくうえではそういう方向性を模索したほうがいいだろうと考えてのチーム作りになってきてるんだと思うんですね。

じゃあ、それはなぜなの?って話なんですが、ひとつにはリーグのトレンドがあるかなあと。昨年J2を見ていく中で気になったことは「ボールを持ってつなぎたい」そして「前からプレスに出て相手にはつながせない」そういう志向を持ったチームが多かったことです。

特に、前からプレスに出るチームはかなり増えてきているんですが、おそらくコロナ以降の5人交代制が影響しているんだろうと思います。というのも、5人交代ってことはフィールドプレイヤーの半分入れ替えることができるわけですからね。前線の選手が前プレに駆けずり回ったとしても、交代でどんどんフレッシュな選手を投入することが可能になります。そうすると、ゲームを通じて90分プレスをかけやすくなるということになってきます。

前プレって守り方はショートパスをつなぐポゼッションスタイルのアンチ的なやり方なので、絶え間なく続く前プレをかいくぐってボールをつないでいくにはそれなりの技術と、なにより習熟度、練度が大事になってきます。もし、不十分な、言葉悪いですが付焼刃的なレベルでボールをつなごうとするとたちまちプレスにつかまってしまいゲームを優位に進めることが難しくなってしまうんですね。

ボールをつなぐサッカーは美しいですが、その反面形になって脅威になっていくまでにかなり時間がかかります。この路線でJ1昇格したクラブで象徴的なのは新潟ですが、新潟にしてもアルベルさんから松橋さんへと路線を継続して時間をかけていますからね。でも、新潟ならできるんですよそれが。なぜなら資金力的にポゼッションのスタイルにマッチした技術力の高い選手をそろえられますし、仮に構築に手間取ったとしても降格圏まで落ち込む可能性は比較的高くない。

ところが、岡山や山口といった中位、下位のクラブが同じような路線を模索するとチームが出来上がるまで待つのが難しいんですよね。下手するとJ3に転落しかねないですし、そうすると理想はいったん置いておいて現実的に勝ち点を拾ってJ2に残るサッカーにシフトせざるを得ない。志を貫くというと聞こえはいいですが、そういったリスクと隣り合わせだともいえるわけです。

岡山にしろ、山口にしろ、かつて過ごしたいい時期って忘れがたいもので。岡山だと2016年のPO決勝や2022年の3位、山口でいえば一気に駆け上がった上野さんの時代と、霜田さんの時代。あのとき上手くいったんだから、あれをもう一度!って期待を持つのはごくごく普通のことだと思うんですよ。

ところが、それをリーグの傾向が許さないって現実があると。去年は岡山もかなりボールをつなぐことにこだわりましたけど、結果的には10位ですし。山口もなんとか残留した、というようにいまやかなり難しいことになりつつあるんじゃないかなと思います。それこそ新潟みたいなことができる一握りのクラブだけがポゼッションスタイルをキープしてやっていく感じになるんじゃないかなぁと。

さらには、仮にポゼッションスタイルで成績を上げることができたとて、ですよ。そのまま一挙にJ1昇格するならまだいいでしょうけど、高いレベルを2、3年もキープすることは現実的にはほとんど無理に近いかなと思います。なぜならそういういいサッカーをするチームの選手はどんどんJ1に引き抜かれるからです。若い選手なら一気に海外もある。

さきほども言ったようにつなぐサッカーを作り上げるには時間がかかります。ひとたび大量に選手を抜かれてしまうと、次なる選手をそろえてもっと上の成績を望むことは至難のわざでしょう。現に、J3から昇格してポジショナルプレーだ!ということで注目を集めた北九州は成績を維持できずにJ3に降格してしまいました。北九州の小林さんもインタビューで言ってましたからね。「選手を残すのが難しい」と。

今年の成績、来年、再来年ということを考えると、つなぐサッカーの路線でいくことが必ずしもいい未来を約束しない。そういう現実があるのかな?と思います。ですから、岡山の開幕戦を見たとき「あ、今年はいけそう」って思いましたし、山口の秋田戦を見たときに「これは成績が残りそうだな」と思ったんですよね。

他のチームを見てないのでなんとも言えないですが、今後はこの傾向が続くんじゃないかなと思います。そうするといち早くトレンドに乗った感のある岡山や山口はすべりだしとしては悪くないものになってるのかなと。もちろん、シーズンが始まったばかりですから、今後今できてることをベースにしてさらに積み上げていくわけですし、最終的にどんな形になるか?が楽しみですね。


予想スタメンと注目選手



では、予想スタメンと注目選手にいきます。岡山はルヴァンカップでアウェイ宮崎戦を戦いました。いわき戦から数えると、中2日、中3日のタイトスケジュールになりますので、スタメンがどうなるか?というところでしたが、11人全員を入れ替えてのゲームになりました。まあ、いわきから岡山に戻って宮崎行ってまた岡山戻ってですからね。体の負担も小さくないでしょうし、まあそうだよなという感じでした。

少し気がかりなのは、ベンチメンバーにいわき戦に出た選手がかなり入っていたことです。ここには他の選手がもっと入ってくるだろうと予想していたんですよね。ところが、輪笠選手、太田龍之介選手、キャプテン竹内涼選手など複数名有力な選手がベンチ外になってるんですよ。なので、試合に出られる状態じゃないなかもな?という点が少し心配ではあります。このルヴァン宮崎戦を考慮に入れた山口戦の先発予想はこんな感じです。

スタメン予想

いわき戦から基本はスタメン継続です。CBのところで田上選手が出場停止なので、3連戦となってしまいますがここは柳(育)選手しかいないだろうと。ルヴァンカップ宮崎戦に出たのは柳(育)選手と木村太哉選手がちょろっとなので、その他のメンバーはほぼフレッシュな状態と考えていいかなと思います。ただ、ベンチメンバーは正直読めないですね。ルヴァンでよかった吉尾虹樹選手とか、仙波大志選手とか、あそこで出てた選手を中3日でどのくらいベンチに置くか?あるいは、練習に復帰しているメンバーもいるのでそのあたりどうか?複雑すぎて誰が入るか読めません。

それとこの試合の間隔について知っておくと便利な知識としては、中2日っていうのはめちゃくちゃしんどいそうです。試合で蓄積した体へのダメージが抜けきらないらしい。中3日だとだいぶ動けるのでここの中2日中3日って違いは結構大きいみたいです。これはJ1で優勝したことのあるプロのスタッフの方に直接聞いたので間違いないだろうと思います。

一方の山口は秋田戦から1週間開いてるのでスタメンは継続で問題ないと思います。うまく行ってるときは変えるなの格言どおりかな、と。山口のメンバーでちょっと気に留めておきたいのが小林成豪選手が前節脳震盪を起こしているので、この試合には出られないだろうということです。

注目選手

まず、山口側の注目選手でいくとなんといってもこの2トップですね。特に若月大和選手は非常に注目株です。まだ2試合しか見てませんけど「あ、これはブレイクしそうだな」というプレーを随所に見せていて、今年話題の選手になるんじゃないかなと思います。

170㎝と小柄ですが横浜FC戦では屈強なCBガブリエル選手を背負ってポストプレーをしていたりと体の強さも持っている。なおかつ彼はトラップ際のアイデアが素晴らしいんですよね。体をうまく使ってくるっと回転して相手と入れ替わるとか、そうでなくともボールを守ってキープするとか、そういったプレーが非常に上手いです。またスピードもあり、ドリブルもあると。開幕戦ではゴールも決めているし、今年2桁行くんじゃないでしょうか。スイスのスーパーリーグでプレーしていた経歴の持ち主ですが、伊達じゃないなと。ぜひ注目してみてください。

そして、相方の梅木選手彼は成長著しいですね。以前対戦した時は高さはあるけどそこまでゲームに影響力を及ぼす印象はなかったですが、この志垣レノファにおいては欠かすことのできない主軸となっています。若月選手と比べるとうまいタイプではないですが、空中戦がより強くなってきた印象で、サイドでボールを引き出したりもできますし、ロングボールを使った山口の攻撃のターゲットとしてかなりキモになる選手だと思います。

この2トップはすごくバランスのいい組み合わせですし、かなりやりそうだなという印象です。現時点の山口においては欠かすことのできない重要な存在ですけど、裏を返せばそれだけ重たいものが彼らに託されてるとも言えるわけで。2トップが交代するとか、試合に出られないってなったときこそ山口としては正念場でしょう。若月選手に代わって前線で起用されていた小林成豪選手が出られないってのはバックアップという意味で結構痛いのかなと思います。

それから、CBのキム・ボムヨン選手ですがもしかしたら岡山としては彼のところがねらい目かもしれないな?と思います。というのも、CBとしてはやや対人のところで後手を踏む印象があるというところ。そして、ちょっとミスが多いんですよね。とくに後方のボール回しでのミスが散見されるので岡山としては彼のところでチャンスを拡大できたらいいなというところです。

あと、CBの相方平瀬選手はたぶん山口のCBの中で一番対人が強い選手なのかな?という印象です。そして彼はロングフィードがとてもうまいので、彼には蹴らせないようにしたいですね。横浜FC戦でも決定機を作っていますし長短のパスすごく上手いです。要注意ですね。

一方岡山の方は、なんといってもグレイソン選手でしょう。ここ2試合対人で相手を圧倒していて「ここまでやる選手だとは!」とうれしい驚きを与えてくれています。たぶん、山口のひともびっくりすると思う。やってるサッカーも違うし、メンバーも違うので、単純に比較してどうこうってのは難しいですけど、個人的にはミッチェル・デューク選手よりいい印象を持っています。ハイボールの強さはデューク選手並みに強いですし、周りを使う力はグレイソンの方がうまいかなと。とにかく収まるし、ボールを味方に落とせる。山口のCB陣とのデュエルがどうなるか楽しみです。

あとは岡山の両WBと山口のSBが対峙する局面とか増やしたいですね。右の柳(貴)選手は185cmある長身選手なので高さでは新保選手はどうにもならないと思います。逆に左サイドは末吉選手なので、こちらはドリブル、クロスでグイグイやっていきたい。

今年の岡山は個々の局面でも上位と渡り合える度合いが過去一高いと思います。なので、そこを押し出したような場面も見たいなと思います。


この試合の注目ポイント


まず、岡山の守備を考えるうえでは山口のFW梅木選手へのハイボール、あるいは裏抜けに対してきっちりと封じていくことができるか?というところがポイントになってくると思います。

こちらのCB陣もみんな180㎝を越える選手がそろってますし、栃木戦、いわき戦もよいパフォーマンスを見せていました。なので、まず空中戦で負けない。さらにはセカンドボール争いで負けない。それをどれだけできるか?ここで一つ目のポイントかなあと。

次に岡山の前プレと、山口の前プレホイホイからの疑似カウンターのバトル。ここ注目ですね!


山口は4バック化してくるでしょうから、そこにプレスをかけるためには岡山の前3人ではひとが足りない。そこをどう処理してくるだろう?というのが一つ楽しみです。いわき戦ではそうしたプレスのハマらないところを試合の中で修正してハメていく姿を見せてくれていたので、この試合ははたしてどうなるか?というところですね。ここで、山口を追い詰めきれなかったらロングボールを蹴られてしまうので、大きな注目ポイントでしょう。


もし、山口をボックス内まで撤退させることができたらこれは岡山にとってかなりチャンスかな?と思います。というのも、山口の最終ラインはたしかに撤退して疑似カウンターに入っていきますけど、このように自分たちのゴール間近なエリアでのプレーで余裕を欠くシーンが見受けられます。やはりプレッシャーがかかりますし、前を向いてロングボールの届け先を物色するゆとりもあまりない。したがって、窮屈なプレーになる可能性が出てきます。そうなったら岡山としては大きなチャンスなので、前プレホイホイをなぎ倒してそのまま押しつぶしちゃえ!みたいにできるかどうか?も見てみたいところです。

もし取りきれなくとも窮屈なロングボールを蹴らせることができれば栃木戦のような流れに持っていきやすいですしね。

あとお互いにセットプレーから得点を奪っているのでセットプレーも大事ですね。山口はデザインされたセットプレーがうまくて、相手が守りにくい攻撃をやってくるので毎回かなり注意が必要だと思います。

一方岡山は180㎝を越える選手が半分ぐらいいるので高さはかなりあります。そしてキッカーも左右そろっているのでそうした点では優位に立てそうかなと。いずれにせよ、相手のコートでどれくらいプレーできるか?がセットプレーの有利不利にもつながるので、どちらがどれだけ相手のコートでサッカーできるか?楽しみにしたいですね。


ということで、ファジアーノ岡山vsレノファ山口戦のプレビューでした。この記事では主にレノファの今年はどうなんだ?ということで紹介してきましたけども、岡山については栃木戦、いわき戦とレビューしてますのでよかったらあわせてチェックしていただけたらなと思います。


こんな風にサッカーを言葉にできるとすごく楽しくなってきます。そのために必要なベーシックな知識を、YouTubeのメンバーシップでやっているサッカー観戦入門講座『やわらかフットボール』でお伝えしています。

今年の第2期は、5月9日から開講しますので興味のある方のご参加をお待ちしております。以下に、講座の概要と第一クールの初回無料ライブの動画を貼り付けておきますので、ぜひチェックしてみてください!


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